ロシアの蛮行はいつまで続くのだろうか。戦争を止めなければならない。明るみになった残忍な行為に世界各国が非難し、警告を発した。そうであるにもかかわらず、ロシアは強気を崩さず、そうした声を無視し、対立という形で返礼するかのようだ。
そんな中、これまで、ロシアへの批判を控えてきたインドの態度に変化があるという。
インド、ウクライナでの民間人殺害を非難 対ロ姿勢硬化か | ロイター
インドのティルムルティ国連常駐代表は、安全保障理事会の会合で「ブチャでの民間人殺害に関する報告は実に悲惨だ」とし「こうした殺害を明確に非難し、独立した調査要請を支持する」と述べた。(出所:ロイター)
イエレン米財務長官が、今年のG20の会合に米当局者は参加しないと述べたという。
イエレン財務長官、米国はG20に出席せず-ロシアが排除されない限り - Bloomberg
イエレン長官は下院金融委員会の公聴会で、「ロシアが参加する限り、われわれは数々の会合に出席しない方針だとインドネシアの同僚らに私は明確に伝えた」と発言した。(出所:ブルームバーグ)
規範に反し、国際ルールを破って戦争を遂行するロシアと、国際秩序について建設的な討議ができないというメッセージなのだろう。
いつになったら、ロシアはこうした声を理解することができるようになるのだろうか。
論語に学ぶ
能(よ)く礼譲を以て国を為(おさ)めん。何か有らん。礼譲を以て国を為むる能(あた)わずんば、礼を如何せん。(「里仁第四」13)
人間社会の規範、そして、謙譲の精神、これによって政治を行ってみよ。困難があるだろうか。規範・謙譲をもって政治を行うことができなかったならば、礼があっても何の役にも立てないと意味する。
「礼譲」とは、礼儀正しくへりくだった態度をとることをいう。また、国際礼譲という慣行があって、国家間の関係を円滑にするために、儀礼上、諸国によって尊重されているという。そして、こうした礼譲から国際法の規則が育つことが少くないともいう。
社会は兎角、対立することが多いのかもしれない。だからこそ手を抜かず、意識的に「礼譲」を守り、規範を育っていく必要があるのではないか。
プーチン大統領はいつになったら気づきを得ることができるようになるのだろうか。
晏平仲(あんへいちゅう)善く人と交わる。久しくしてもこれを敬す。(「公冶長第五」17)
「晏平仲」、名は嬰(えい)斉の宰相。賢人政治家といわれる。質素を旨とし、常に国家を第一、上を恐れず諫言を行い、人民に絶大な人気があり、君主もまた彼を憚ったという。
その晏平仲は人との交際が立派だった。交際が長くなっても馴れっこにならず、相手に敬意を持ち続けた。また、相手も晏平仲に対して敬意を失わなかったと意味する。
「善く人と交わる」の善くとはどういうことかと桑原武夫は疑問を投げかける。
「あけっぴろげで、こだわりなく誰とでもつきあう。相手は、晏先生は気軽なお方だ、などと軽く考えて交際を続けるうちに、彼には叡智と毅然としたところがあることをしだいに発見して、立派なお方だ、ああいう方につき合っていただいているのはありがたいことだ、と思うようになってしまう。いかにも天成の政治家だ」と、孔子がいったのであろう、と桑原は解説する。
西側諸国による経済制裁が続くことは致し方ないとしても、晏平仲のような人物が登場し、ロシアを説得し、戦争を止め、恒久的な平和を築いていかねばならない。
「口は一つなのに耳は二つ」、プーチン大統領は他者の話を聞いているのだろうか。