JR九州高速船に対し、国土交通省が、海上運送法に基づく行政処分の「輸送の安全確保命令」と「安全統括管理者・運航管理者の解任命令」を出したといいます。
JR九州高速船に全国初の「解任命令」…浸水隠し3か月運航、国交省「極めて悪質な違反繰り返した」 : 読売新聞
博多と韓国・ 釜山 港を結ぶ旅客船「クイーンビートル」の浸水を隠して3か月以上運航を続けていた問題に対する処分といいます。信じがたい安全軽視の経営体質に驚きます。様々な企業不正が発覚していますが、その中でも最も悪質性が高いように感じます。
「参考文書」
改善報告書提出後も浸水報告せず うその記載指示も JR九州高速船 | 毎日新聞
向こう見ず、無鉄砲な経営といってよさそうです。日本企業もここまで落ちたのかと思うほどの出来事です。
政治においては、忘れかけていた旧統一教会問題がまた報道されています。教団の組織ぐるみのつながりを強くうかがわせる安倍元首相と教団幹部の面談写真を朝日新聞が報じました。
安倍晋三氏と旧統一教会会長、自民党本部で選挙支援確認か 写真入手:朝日新聞デジタル
これが真実であるのなら、自民党が行った「点検」は一体何だったのでしょうか。あの時、茂木幹事長は「党として関係はない」と組織性を否定していました。
真偽がよくわかりません。しかし、報道機関が報じる以上はそれなりの確証があってのことなのでしょう。後々になって様々な文書や証拠が見つかり、歴史における史実解明が進みます。政治においてもそれは同様なのでしょう。
それにしても故人も随分無鉄砲なことをしていたのだと思わざるを得ません。数々の功績が評価されないのも、こうした行動があるがゆえのことなのかもしれません。改革が頓挫したのもまた同じなのでしょう。こうした向こう見ずの行動の悪影響が世の中に伝播し、痕跡として残っているに思えてなりません。
論語に学ぶ
子 顔淵に謂いて曰わく、之を用うれば則(すなわ)ち行ない、これを舎(す)つれば則ち蔵(かく)る。唯 我と爾(なんじ)と是れ有るか、と。子路曰わく、子 三軍を行(や)らば、則ち誰と与(とも)にせん、と。子曰わく、暴虎馮河(ぼうこひょうが)し、死して悔ゆる無き者は、吾 与にせず。必ずや、事に臨んで懼(おそ)れ、謀(はかりごと)を好んで而(しか)して成す者たれ、と。(「述而第七」10)
孔子が弟子の顔淵にむかって、自分を任用しようという者があれば、世の中へ出て活動する。しかし、見捨てられたら隠遁する。こうしたとらわれのない自由の境地、そこに到達しているのは、わしとお前だけだね」といいました。すると側にいた弟子の子路がやっかんで口を出し、先生が三軍を率いて戦うときには、誰を連れていかれますかと質問しました。あの青白い顔君では役に立たないだろうといわんばかりだったといいます。孔子は、素手で虎を捕えようとか、大河を舟なしで歩いて渡ろうとか、そういう無謀なことをして、死んでもかまわないとするような者はお断りだ。一緒に仕事することはできない。私の仲間としたいのは、ことにあたって慎重に構え、十分に計画を練って成功するような人間だ」といいました。
ここ最近における政治家も企業経営者も、向こう見ずの子路タイプの人間が多くなっていないでしょうか。「暴虎馮河」、遮二無二、無鉄砲、無謀に、後先を考えずに行動するから行き詰ってしまうのではないでしょう。
その子路は衛国の内乱に巻き込まれ殺されたといわれます。もうそろそろ異なるタイプのリーダーが求められていそうです。それは日本だけのことではないのでしょうけれども。