トランプ氏の大統領復帰が近づいてきました。ビッグテックがこぞって寄付を申し出、DEI(多様性、公平性、包摂性)に関する取り組みを廃止すると明らかにしました。
メタとアマゾン、多様性対策を廃止 トランプ大統領就任前に | ロイター
大手銀行は気候変動対策を目指す国際的なグループから脱退しています。化石燃料増産を推進したいトランプ次期政権からの政治的圧力から身を守りたいとの意向があるといわれています。
力による現状変更を試みるトランプ氏への忖度なのでしょうか。経団連十倉会長がかつて「民主主義の維持にはコストがかかる。政党に企業の寄付をすることは一種の社会貢献」といったことを思い出します。米国も同じというところでしょうか。それでも米国はオープンで、露骨でわかりやすいといってよさそうです。
米アマゾンは、これまでの多様性と包摂性に関する時代遅れの取り組みを段階的に廃止すると説明したそうです。保守派がDEI施策を批判し、こうした取り組みを行っている企業を訴えると脅していることが背景にあるといいます。
「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」を脱退した米国の銀行は、脱炭素は依然として価値のある目標だと認識していると公式に表明する一方で、最大の責務は顧客ニーズに応えることだとの見解も明らかにしているそうです。
米国での揺り戻しは日本にどんな影響を及ぼすのでしょうか。多くの企業がDEIを含めてSDGsに積極的に取り組み、政府はGX2040ビジョンを掲げ、多額の費用を投じて脱炭素を推進しようとしています。 裏金事件で保守派の力がだいぶ削がれましたが、米国同様に保守派が勢いを増して、揺り戻しがおきるのでしょうか。
論語に学ぶ
賢者は世を辟(さ)け、其の次は地を避け、其の次は色を避け、其の次は言を避く、と。子曰わく、作(た)つ者七人、と。(「憲問第十四」37)
賢人は乱世を避けて隠遁する。その次は、乱れた地を去り、納まった国へ行く。その次は人の顔色を見て危険を避け、その次は悪しき言葉、主張を聞き危険を避けると孔子は言いました。また、「そういうことをができる者は七人いる」といいました。
賢い者は相手を見て、危険人物と思えば深くかかわらず、逆に愚か者は、危険人物でも付き従って、危害が自身に及んで初めて理解すると、孔子は「賢さ」について説きます。
米国大統領が代わるという好機なのですから、賢く振舞って日本のおかれている状況に変化を起こしたいものです。
「トランプ2.0」、トランプ氏の再登場で、米中の対立がますます先鋭化しそうです。健全な対立となって、変革をもたらして世界の発展に寄与するものになればいいのでしょうが、どうみてもその逆になりそうです。自らの正当性を主張し合い、分断を助長して、不健全な対立になっていきそうです。
トランプ氏の大統領復帰で、否応なしに変化に巻き込まれるのは避けがたいことなのかもしれません。これからの4年間はそれに順応していかなければならないのでしょうが、それでも賢く振舞わないければ重荷ばかりを背負わされることになりません。それだけは避けて欲しいものです。
トランプ氏がNATO加盟国に防衛費を5%にするよう要求する考えを打ち出しています。欧州が米国よりも大きなロシアの脅威にさらされていることが理由のようです。
トランプ氏、GDP比5%主張 NATO加盟国の国防費負担―グリーンランド巡り軍事圧力も:時事ドットコム
同じ論理で日本に対してもさらなる防衛費増額を迫ってくることはないのでしょうか。日米同盟を盾に安易に従い、またそれで増税と政府が言い出さないか心配になります。すぐ財源がない主張する政府なのですから。
対立より協調する世界であって欲しいものです。日本はそれに貢献すべきでしょうし、そうあるべきなのでしょう。
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「参考文書」
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