「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

コスパの良い人生、嫌われるダラダラ、効率悪すぎる自民党

「タイパ」に「コスパ」、ありとあらゆるところに効率化を求めるようになっています。映画を2時間かけて観るのではなく2倍速で楽しむ、そんなことはあたり前で、それによって空いた時間をもっと有意義なこと、収入増やキャリアップのために使う、その方が充実感のある生き方「コスパの良い人生」ということのようです。

 

 

 結婚に希望が持てない人が一定の割合で存在するようです。ちょっと信じがたいことでもありますが、結婚についてもコスパが悪いと考える人が意外にも多いといいます。これもまた少子化が進む原因のひとつなのでしょうか。

「結婚を避け、子供をもたない」ほうが人生のコスパが良い…現代の日本人に起きている"憂慮すべき変化" 「自己家畜化」が進み、資本主義の下僕になっている | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 ダラダラと仕事を続けるよりは、効率をアップさせ、テキパキと仕事をこなして、プライベートの時間を充実させる、それはそれでよいのでしょうが、そのプライベートの時間を含め1日24時間を効率的に使うことを考えるようになるとちょっと息苦しくなりそうです。

 何から何まで資本主義の考え方に落とし込み、費用対効果に換算し、人生の価値基準を資本主義のそれに換算することが「コスパの良い人生」ではないかと、プレジデントオンラインの記事は指摘しています。

 そもそも効率化とは時間、労力、資源の節約を目指す行為で、ムダなどを取り除き、余裕を生み出すことのはずです。効率化に終わりはなく無限なものといわれます。せっかくの余裕を楽しむことなく、過度に効率化を追求するばかりでは弊害が生まれそうな気もします。それでは本末転倒です。

 

 

資本主義

 資本主義とは弱者のための制度であったはずです。それ以前の社会は封建制度が支配し、一握りの裕福な領主たちが権力とおカネを独り占めにし、平民の手には何もない時代でした。その後に登場したのが資本主義です。

問題はどれほど良質な制度であっても、目を光らせてよく監視していないと時間とともに錆びついてしまうことだ。(引用:なぜ真のリーダーはいないのか リー・アイアコッカ

 資本主義の下、いつのまにか、富を増やすかばかりが強調されるようになりました。しかし、それも時代の経過とともに変化していくのかもしれません。それが人生の目的ではなく、もっと大切なものがあり、おカネは単にその大切なものを叶えるためのツールにすぎないとの考えがやがて定着することになるのかもしれません。

 一方、政界のおカネへの執着はうんざりです。求められる政治改革はダラダラとして、一向に前に進みそうにありません。これこそ資本主義社会なのですから、もっと「タイパ」と「コスパ」が追求されてもよさそうなものです。

自民党大会始まる 「解体的出直し」明記 “政治とカネ”に危機感|日テレNEWS NNN

 長く続く自民党の一党支配、見方によっては封建時代のようなものなのかもしれません。一握りの者たちだけが権力とおカネを独り占めにし、国民は搾取されるのみなのですから。それゆえのダラダラでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

人の生くるや、直たれ。之 罔(な)くして生くるは、幸いにして免(まぬか)るるのみ。(「雍也第六」 19)

 人が生きてゆくときは正直であれ。それがなくて生きたとすれば、幸運にも刑戮を免れただけのことだと孔子はいいました。

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「木が曲るのはおさえるものがあるからで、おさえなければまっすぐに成長しない木はない」、人間もまた同じで、本来は真直ぐなものだといいます。しかし曲った、邪まなことをして生きている人間がいるのが現実です。本来、こういう人物は刑罰をうけるべきなのだが、偶然にあるいは僥倖によって生きているだけと孔子はいいます。

 維新の時代から政商であった三菱の4代目総帥岩崎小弥太も「僥倖を恃(たの)み詭計を用いて成功するは最も恥ずべきことである。真正の努力を重ね、苦心を積み、いかなる失敗にも屈せず奮闘してから得た成功こそ真の成功である」といっています。孔子と相通じるものがあるのでしょうか。

 まずは不正直者を排除し、速やかに政治改革を進めなければ、資本主義下で受け取ることのできるはず恩恵に授かることができないままになってしまいそうです。健全化を進めることができれば、効率化を求めつつも、そこから生まれる余裕を楽しむことができるようになるのかもしれません。

 

 

「参考文書」

タイパ高める「超圧縮」仕事術 | 日経クロステック(xTECH)

 

 

はびこるディープフェイク、勢い増す生成AI、求められる規制、日本の政治は昭和のまま

 時が移ろえば色々なものが変化していきます。インターネットの普及で利便性が活気的に向上しましたが、そうして生まれたサービスも近頃では利益を追求するようになり、平々凡々なものになってきたなと感じるようになってきました。

食べログ」や「ぐるなび」などのグルメサイトもその一例のようです。消費者の間でグルメサイトを信頼しないという声が聞かれるようになり、飲食店検索では他のツールが台頭しつつあるようです。

食べログ離れ加速、評価への不信と高コスト…「店探しもグーグルとインスタ」 | ビジネスジャーナル

 それに変わるサービスがなければ利用され続けるのでしょうが、サービスとしての進化もなくビジネスライクに陥れば、何となく変だなと感じるようになっていくのかもしれません。グルメサイトにおいて『評点の基準がブラックボックスすぎる』という疑念が生じたのはそれが理由のような気もします。

 自ら変わっていければよいのでしょうが、そうでなければ、新たなサービスにとって代わるのも世の常なのでしょう。グルメサイトの利用率が徐々に減少し、SNSなどの利用が少しずつ増えてきているそうです。

 

 

 一方で、SNSにはSNSなりにいくつもの問題を抱えています。最近では、生成AIを悪用したディープフェイク的な投稿が増えているそうです。

生成AIとみられる女性の「扇情動画」乱立 再生回数稼ぎ、収益目的も背景か - 産経ニュース

 SNSで簡便におカネを稼ぐことが可能となったことが背景で、再生回数や登録者数をより多く得るために手段を選ばなくなっていることがその理由のようです。

 何らかの規制が求められいるといいます。業界団体による規制には限界もあり、法による規制が求められそうですが、今の国にはそれに対処する実力はなさそうです。

あまりにも昭和的過ぎる.....

 長く政権与党を務める自民党があまりにも昭和的過ぎると、裏金事件を端にして明るみになりました。不透明な政治資金の使途と流れ、遅々として進まないそのデジタル化、いつまでも続く高級料亭などでの会食、銀座のクラブ、高級菓子などの贈答、そんなことを政倫審の場でそれが当たり前のことだといわんばかりに説明しています。

自民16道府県連に「政策活動費」 使途不透明OK、地方も定着 | 毎日新聞

 45歳以下の若手政治家が集結する自民党青年局はふしだらな余興に興じ、女性局はSNS上に品行の悪さを露呈し、どちらも局長を辞任する事態になりました。次世代を担うべき議員たちまでが昭和的では、求められるデジタル化が進むことを期待するにも無理がありそうです。

 

 

論語に学ぶ

出でては則ち公卿に事(つか)え、入りては則ち父兄に事う。喪時(そうじ)は敢えて勉めずんばあらず、酒困(しゅこん)を為さず。何ぞ我に有らん。(「子罕第九」16)

 外にあっては主君や長官に事え、内にあっては父兄に事える。葬儀においては礼を尽くすことに努める。酒によるまちがいをしない。これらは、この私において問題はない。これ以外、私に何があるだろうかと、孔子はいいました。

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 今も昔も大切にすべきことは大きな差はないのでしょうが、いつの時代にあっても羽目を外してしまう輩は必ずいるものなのでしょう。それゆえの孔子の言葉ではないでしょうか。

 守るべき規範があって、その意味を十分に理解できていれば、変わりゆく時代においても迷うこともなく、その変化に適正に対応できていそうな気がします。

 

 

 首相が自民党都道府県連の幹部を集めた全国幹事長会議で「政治不信を引き起こし、心からおわびする」と謝罪し、「党本部は命懸けで党再生に努力していく」と協力を呼びかけたそうです。

自民、地方が裏金でけじめ要求 首相、党勢低迷を謝罪:東京新聞 TOKYO Web

 謝罪、そして、いつもの威勢のいい言葉。「火の玉」の次は「命がけ」のようです。しかし、解決の目途が一向に見えてきません。

 自民党にあっては、時代にそぐわなくなった古い慣習を今すぐに止めなければならないのでしょう。今の時代に適合していくことができないのであれば、今すぐに政権与党の座から退くべきです。そうでなければいつまでデジタル後進国から抜け出ることはできず、デジタル敗戦国のままになりそうです。

 

33年ぶりに5%超となった賃上げ、明るいムード、日本経済は好循環するのか

 春闘で満額回答が相次ぎ、ここまでの平均賃上げ率が5.28%と33年ぶりの高水準になったそうです。

 連合の芳野会長は「経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へとステージ転換を図る正念場」と強調し、「これからが本当の正念場。中小企業や組合のない職場で働く人を含むみんなの賃上げを実現しなければならない」と述べたといいます。 

春闘の平均賃上げ5%超、33年ぶりの高水準-日銀正常化へ環境整う - Bloomberg

「30年続いたコストカット型経済から、いよいよ次のステージに移行していくために良い動きを確認できた」と首相も述べ、こうした傾向が中小企業でも継続できるよう、あらゆる手を尽くすと語ったそうです。

 

 

 外的要因の物価高が始まり、賃上げとの「掛け声」が政労使で叫ばれての結果です。このまま定着し、持続的なものにならなければ好循環になりません。「掛け声」だけでは厳しいように思われます。企業の体質とマインドが変わらなければ、どこかで息切れすることになってしまいます。

 兎にも角にも、こうした明るいムードの中、日銀は次週の政策決定会合でマイナス金利の解除に踏み切るのでしょうか。「金利ある世界」、金融政策の正常化によって、今後、円や株価にどんな影響を与え、その動きにどうなっていくのか気になります。

論語に学ぶ

古(いにしえ)の学ぶ者は己の為にし、今の学ぶ者は人の為にす。(「憲問第十四」24)

昔の学ぶ者は、自己を鍛えるために学び、今の学ぶ者は、他人から名声を得るために学び努めていると、孔子は言いました。

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 満額回答が相次いだのが、周囲の目を気にしての結果だとすれば、先々が心配になります。慎重姿勢だった企業に政府、財界、労組が掛け声をかけることは悪いことではないにしても、よくよく考えもせずにそれに従っていてはちょっと危険なような気もします。企業がすべきこともわからずに盲目的に指導的な立場の人に従うようになれば全体主義的な傾向にも思えたりします。まずは自らを奮い立たせて持続的な賃上げを実現できる体制へと変容していくことが求められていそうです。

 

 

哲学者の三木清が『人生論ノート』の中で「部下を御してゆく手近な道は、彼等に立身出世のイデオロギーを吹き込むことである」、そして「成功主義者ほど御し易いものはない」と書いています。(出所:Executive Foresight Online:日立)

 自分で考えて、自分の内なる正義に照らして行動しなければ、容易に他者にコントロールされるようになり、不正や悪事、どんなことも働きかねないといいます。

 掛け声をかける経団連は、政府自民党にべったり癒着し、問題の企業献金を止めようとする気配すらありません。自民党は裏金事件で揺れ、国会ではその追求に明け暮れ、政治改革は進んでいません。

 みなが周りの目を気にして、自分の居場所がなくなるを恐れて口をつぐんでしまえば、実態解明は進みません。これまでの自民党の常識に疑い持つ人が現われ、それを覆す勇気ある人が登場しない限り、この政治改革は進むことはないのかもしれません。

 内部から問題に対する発言があってこそ解消に向かうはずです。問題を抱えたまま何ら進展しない組織に苛立ち、不満を感じてそこから離脱してもいいのかもしれません。こうした離脱や発言がなければ組織はいつまでもそのままで修正されずにどんどん悪化していきます。

 自民党という組織を守ることが、もう自分のためにならないと議員たちが自覚すべきなのでしょう。これだけ世の中からおかしいという声が上がっているのですから。

 世論の関心の高い選択的夫婦別姓同性婚の問題などの解決が一向に進まないのに、防衛力強化や防衛費増額の問題は一気に解決が進んでいきます。自民党の根深い問題がだいぶ白日の下にさらされるようになってきたようにも感じます。

 自民党が変わり、政治が変わって欲しいものです。多少の混乱はあるかもしれませんが、その先にほんとうの好循環がありそうな気がしますし、もっと明るいムードに包まれるようになるのではないでしょうか。

 

 

「参考文書」

春闘での高い賃上げ率に満足せず労働生産性向上の取り組み継続を|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

自分の人生を生きる ソクラテス、アドラー、フロムに学ぶ「勇気」 【その2】人類を信頼して、声を上げる勇気を - Executive Foresight Online:日立

 

「なぜルールを守れない」、選挙買収の前法務副大臣を諭した裁判長

 国会では裏金事件に追求が続いていますが、飽きもせず同じことがただ繰り返されるだけのあまり進展はないようです。一方、自民党では不満がくすぶり始めているようで、「党則改正案など幕引きを急ごうとするあまり、手続きがおろそかになっている」とか「党大会で区切りをつけようと、スケジュールありきで結論を急いだ結果だろう」との声が上がっているといいます。

自民刷新本部急きょ開催、「スケジュールありきだ」反発受け…「森元首相ら聴取」求める意見も : 読売新聞

 政治刷新本部が急遽開催され、「多くの皆さんから声を聞いてもらいたいという強い声が出され、こういった場を持たせていただいた」と首相が冒頭にそう述べたそうです。党内から批判の声があってのことのようです。

 

 

 聞く耳を持たず、問題を長引かせるだけの首相の指導力の問題ということでしょうか。国民に負担を強いることをいとわず支持率を低下させきましたが、いよいよ党内からもそっぽを向かれ始めたのでしょうか。

岸田内閣支持、微増18.0% 裏金対応「評価せず」7割超―時事世論調査:時事ドットコム

 日経平均株価が4万円を突破するなどの明るいニュースもありますが、それらを「追い風」にできていないようです。

選挙買収事件に判決

 東京都江東区長選における買収などの公選法違反の罪に問われた元自民党衆院議員の柿沢前法務副大臣東京地裁が「選挙の公正という民主主義の根幹への信頼を揺るがす悪質な犯行」として懲役2年、執行猶予5年の判決を言い渡したそうです。

有罪の柿沢未途被告「政治家は天職」法廷で見せたプライド 裁判長は一蹴「ルール守るのは当然。なぜできない?」:東京新聞 TOKYO Web

 裁判長は判決理由で、自民党内での自らの立場や影響力を強めようとする自己中心的な発想があったと指摘し、「買収のために投じた金額は多額で、選挙の公正を害した程度は大きい」と非難したといいます。また、「ルールを守るという、ごく当たり前のことがなぜできなかったのか。国民の一般常識に立ち返ってよく考えてください」と柿沢被告を見て厳しく諭したといいます。

 これが自民党の実態ということなのでしょうか。選挙不正、権力構造、そんなことも裏金事件とも符合するように思えてなりません。

 

 

論語に学ぶ

子 子夏に謂いて曰わく、女(なんじ)君子儒と為れ、小人儒と為る無かれ、と。(「雍也第六」13)

 孔子が弟子の子夏に「君子 教養人であれ。小人に終わるなかれ」といいました。

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「君子の儒」とは天下の事に責任をもち、民が安んずる志を持つものであり、「小人の儒」とは自分一身をよくするにとどまって、社会的影響を持ちえない者をいっているといわれます。弟子の子夏は文学に優れ「孔門十哲」にあげられる人物ですが、細節にこだわり、天下を考えることではやや欠けるところがあったようです。孔子は、視野を広くして、大きな問題をみずから考えるようになりなさいと言いたかったようです。

 首相をはじめ自民党議員の多くが子夏のような「小人」、社会に良い影響を与えることの出来ない人物ではないでしょうか。

 

 

 同性婚を認めない現行法の規定は、婚姻の自由を定めた憲法24条1項などに違反すると判断の札幌高裁が出したそうです。

同性婚認めぬ規定は違憲 「婚姻の自由」にも違反―初の二審判決、賠償請求は棄却・札幌高裁:時事ドットコム

異性間の婚姻を認めて同性婚を認めないのは「合理的な根拠を欠く差別的取り扱いだ」とも指弾し、法の下の平等を定めた憲法14条1項にも違反すると結論付けた。(出所:時事ドットコム

「国会が正当な理由なく、長期間立法措置を怠ったとは言えない」として賠償は認めなかったそうですが、立法は議論をすべきということなのでしょうか。

 こうした解決すべき重要な問題を政府自民党はなおざりにしていないでしょうか。こそこそと次期戦闘機の輸出を決めるのではなく、こうした問題を優先的に議論して欲しいものです。この他にも原発問題を含め解決すべき事項が山積みのままです。まずは政治改革、議員たちの意識改革から始めなければならないのでしょう。

 

 

「参考文書」

柿沢未途前議員に執行猶予付き有罪判決 江東区長選買収事件 - 日本経済新聞

次期戦闘機、自民党と公明党が第三国輸出合意 月内に指針改定へ - 日本経済新聞

 

満額回答にわく春闘、日本経済にとっての明るい兆しになるのか

 満額回答相次ぐ、春闘の集中回答日だった昨日、大手企業を中心に高い水準の賃上げが実現したとの朗報が流れていました。政府の掛け声もあってのことなのでしょうか。このままこの流れが持続して欲しいものですが、懐疑的な見方をする専門家いるようです。

春闘集中回答日前夜:賃金予想以上の上振れでも実質賃金の上昇、2%の物価目標達成はなお見えない|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

本来、輸入物価の上昇は、国民所得を減少させ、日本経済には逆風だ。そうした「災い」がきっかけとなって、物価上昇が賃金上昇に転化させることで持続的な物価と賃金の上昇が生じ、実体経済を改善させるといった「禍を転じて福と為す」の展開の可能性を期待するのは、楽観的過ぎるのではないか。(出所:野村総合研究所

 こうした状況を安易に「賃金と物価の好循環実現」と理解べきではないだろうといいます。実質賃金の改善にはもうしばらく時間がかかるとの見方をしているようです。

 そうなのかもしれませんが、明るいニュースがない中、束の間、その余韻に酔いしれたいと思ったりします。

 

 

 世の中にもっと明るいニュースが溢れるようになって欲しいものです。そのためにはもうしばらく忍耐の時間が必要なのでしょうか。

小型ロケットカイロス打ち上げ失敗

 宇宙スタートアップ「スペースワン」の小型ロケット「カイロス」初号機が打ち上げ直後に爆発しました。かつては技術立国として、その高い技術力を誇ったものですが、近頃は技術力向上のスピードが明らかに世界に比して遅くなっていそうです。

スペースワンの小型ロケット「カイロス」爆発、打ち上げ直後に - 日本経済新聞

 これから原因究明されるとのことですが、爆発は飛行中断措置によるものだったようです。

 このロケットは、政府肝入り事業を多く手がけるIHIの子会社がエンジン部品などを担当し、キヤノン電子が駆動系や電子制御に関わる部品の一部を供給していたそうです。このロケットには内閣府情報収集衛星機能をもつ小型衛星が搭載されていたといいます。

 このスペースワンというスタートアップには、このIHIの子会社、キャノン電子の2社の他、清水建設三菱UFJ銀行日本政策投資銀行などが出資しているそうです。

 政府は、1兆円規模の宇宙戦略基金を創設し、官民の打ち上げ能力を年間30件程度確保することを目指しているそうです。米国、中国、ロシアにインドなどが先行し、これ以上引き離されまいと焦っているのでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

子貢曰わく、貧にして諂うこと無く、富みて驕ること無くんば、如何、と。子曰わく、可なり。未だ貧にして楽しみ、富みて礼を好む者には若(し)かざるなり、と。子貢曰わく、詩に云う、切するが如く、磋するが如く、琢するが如く、磨するが如し、と。其れ斯の謂いなるか、と。子曰わく、賜や、始めて与に詩を言う可きのみ。諸に往を告げて、来を知る者なり、と。 (「学而第一」15)

 弟子の子貢が孔子に「貧乏であっても媚び諂うことなく、金持ちであっても高ぶらないというのはいかがでしょうか」と、孔子は「いいことだ、しかし、貧乏でありながら楽しく暮らし、金持ちであっても「礼」世の道理を好む者には及ばないだろう」と答えました。子貢は、すぐさま『詩経』「衛風」の「淇奥(きいく)」の第一章を想起して「切磋琢磨」とはこのことを言うのでしょうかとたずねました。孔子はいたく喜んで、「お前はいっしょに詩の話ができる人間だ」とほめ、「その先のことが見える力がある。言葉を、次元を変えて飛躍的にとらえることのできる頭脳の持ち主だ」といいいました。

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 子貢は諂いと驕りのないことを最高と考えていたようですが、孔子に教えられて、学問の道には終わりがないことを悟って、「切磋琢磨」の詩を引用したのだといわれます。

「切磋琢磨」、道徳をいやがうえにもみがくという意味の他、単なる孤独の瞑想ではなく、群居して、朋友が相互に錬え合うこととの意味もあります。

 

 

 子貢のような頭脳明晰な人物が今の日本には少ないのでしょうか。互いに競い、鍛え合うということを忘れては、技術だけでなく何においても世界から大きく遅れるようなことはなってしまったのかもしれません。ついつい過去の栄光にいがみついたまま高ぶって堕落し、不義に走ることが多くなっているのでしょうか。

 

 国会では政権与党自民党の不祥事の追求が続いています。過激ダンスショーについては会合を主催した和歌山県議の「多様性」発言を巡って質疑があり、首相も答弁する事態になったようです。

自民の女性ダンサー会合「多様だったのはコスチューム」と立民・塩村文夏氏 岸田首相も「多様性と合致せず」:東京新聞 TOKYO Web

 残念なことです。こんなことに貴重な時間を費やさなければならなくなっています。議員たちにはもう少し自覚をもっていただきたいものです。多弱な野党を批判するのもそうなのかもしれませんが、それ以上に与党自民党を追求、批判しなければならないのでしょう。自民党が変わらない限り、切磋琢磨もありえないのでしょうから。

 政治を経済をよりよいものにするためには、良い意味での競い合いが必要なのでしょうが、今はそれが薄れていないでしょうか。

 

 

「参考文書」

春闘 大企業中心に高水準の賃上げ妥結相次ぐ 中小企業や非正規で働く人への波及が焦点に | NHK | 春闘

トヨタ、4年連続の満額回答 最高水準の賃上げ最大2.8万円 | 毎日新聞

日銀マイナス金利政策解除の歴史的瞬間が近づく|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

スペースワンの小型ロケット、打ち上げ直後に爆発-関連銘柄下落 - Bloomberg

 

叩けば出てくるホコリ、時代遅れの自民党の慣習、バブルの残り香

 自民党裏金事件の追求が続いています。参議院でも政治倫理審査会が開かれ、また衆議院でも下村元文科相が出席意向を示しているそうです。

高級クッキー贈答疑惑 「意味が分からない」世耕弘成氏の言い訳 上脇博之教授は「外形的には公選法違反」とも:東京新聞 TOKYO Web

 叩けば埃が出るものなのでしょう。どんなものでも、細部までせんさくすれば、欠点や弱点が見つかるものだといいますが、進歩もなく、悪しき慣習がはびこっている組織においてはなおさらなのでしょう。

 

 

 それにしても、会合の後の懇親会の余興に過激ダンスショー、高級料亭の会合、会食の後の銀座のクラブ、高級菓子の贈答などなど.......。バブルの残り香が漂ってきそうです。古き良き時代として、何の疑問もなくダラダラと続けてきてしまったのでしょうか。こうした甘えが改革を阻んでいるのかもしれません。時代が大きく動いて、自らをそれに適合させ、変化させていかなければならなかったのに、通り過ぎた過去に身につけた習慣(今でいえば悪習)を捨てきれずにいるのではないでしょうか。半場強制的にそれらを終わらそうとすれば、茫然自失し、混乱するのは避けられないのでしょう。愁いてそれを嫌がれば、古い習慣が残り、何ら変化もないもないままに時間が経過していくだけのことなのでしょう。

論語に学ぶ

甚だしいかな、吾が衰えたることや。久しいかな、吾(われ)復(また)夢に周公見ず。(「述而第七」5)

 ひどいものだなあ、この頃すっかり衰えてきた。もう長い間、あれほど憧れ、理想とした周公の夢を見なくなっていると、孔子はいいました。

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 戦争に敗れ敗戦国となり、長く米軍に占領された時代がありました。何とか独立して国際社会に復帰しようとした人物がいて今日の日本があるのでしょう。その頃を懐かしむのならまだしも、あまり健全でなかったバブル時代を良しとして、そこに執着するから、その頃のままで何の進歩もなく世界から取り残されたきたように思えてなりません。

 

 

 宮崎駿監督ではないですが、この時代を「君たちはどう生きるか」と問われているような気がします。そのためにはケリをつけねばならないことにケリをつけなければならないのでしょう。

 差し当たっては自民党政治を終わらせることから始めるべきなのかもしれません。当然、そうなれば、混乱するだろうし、苦悩もあるのかもしれません。しかし、それがあってこそ、新しいことが始まっていくように思います。結局、「変革」は何かを終わらせない限り、始まることはないのではないでしょうか。

 

「参考文書」

自民処分、4月補選前を検討 裏金事件、対象・軽重焦点に:時事ドットコム

日本は「昭和を終わらせる」ことに失敗した…社会心理学が教える「失われた30年」が終わらない本当の理由 変革は何かを「始める時」ではなく、「終わらせる時」に起こる | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

「いら立ちを覚えた米国人も…」アメリカのジブリ研究者が語る「君たちはどう生きるか」の意義 アカデミー賞:東京新聞 TOKYO Web

深遠なテーマを娯楽作に 宮崎監督、日本アニメの国際的評価高める―米アカデミー賞:時事ドットコム

「寅さん」の居場所がなくなった時代のニヒリズム 【戦後保守政治の裏側 ㉖】:時事ドットコム

 

日経平均株価急落、生活実感を伴わない株高のあやうさ

 日経平均株価が大きく下落しました。足元で円高が一気に進んだことが理由のようです。日銀が今月の金融政策決定会合で金融緩和策を修正するとの憶測で円高が進み、それが株価に影響したようです。

TOPIXが一時3%超下落、日銀修正観測や米ハイテク株調整で売り - Bloomberg

 差し当たって市場関係者はこの動きを調整と見ているのでしょうか。いずれにせよ、円の方向性とどのレンジで落ち着くか次第のようです。想定以上に円高が進むともう一段の調整がありそうですが、企業が改革期待を維持できるか次第なのかもしれません。

 

 

 生活実感が伴わない株高といわれています。好調なのは一部大企業のみのようです。トリクルダウン的な好循環で、日本の隅々までに恩恵が行き届くようになればいいのでしょうが、あり得るのでしょうか。それとは別に、好循環を生み出すような力があればいいのでしょうが、個人消費が低迷する中にあってはなかなか厳しそうな気もします。

スキマバイト

 フリマアプリ大手のメルカリが、最短1時間から働けるスポットワークサービス「メルカリ ハロ」をスタートさせました。本人確認や銀行口座登録を済ませれば、面接や履歴書なしで求人に応募できるそうです。

空き時間に「スキマバイト」登録者数700万人…3割は会社員 普段と違う仕事にやりがい

 人手不足や物価高を背景にスポットワーカーが近年急増し、およそ1000万人に上るそうです。スキマバイトは学生以外にも広がっているそうで、登録者のおよそ3割を「会社員」が占めているといいます。

 空き時間の有効活用で、ちまちま稼いで『チリツモ』で収入を増やす人がいたり、「本業ではできない仕事ができる」ことに魅力を感じて始める人もいるそうです。

 この種のサービスでは「タイミー」が先行しているといいます。需要があると大手企業も参入を始めるようです。人手不足解消、物価高対策、それなりの社会的意義もありそうですが、ちょっと考えさせられる事態のようにも感じます。

 

 

 経済が好循環下にあって、未来においても明るい見通しがあれば、心に余裕が生まれて、そんなにあくせく働くこともなくなっていくように思いたいのですが、現実はなかなかそうならず、理想から遠ざからばかりのようです。

 かつて経済を支えていた中間層が消滅し、二極化が進み、格差社会がすっかり定着してしまったのでしょうか。トリクルダウン理論を信奉したかつての政府の失政の結果が今の社会に現実となって現れているように思います。

女子大生の夢は世帯年収3000万 生きづらさ増す国と若者たちの苦悩:日経ビジネス電子版

「私」たち大人は、カネさえあれば常に人生が豊かになる、というほど人の心は簡単じゃないことを知っているはずなのに。心よりカネ、とにかくカネ、とカネの万能感を追い求めている。その末路が、若者の生きづらさ、だ......(中略).......これだけ賃金が上がらない、四六時中働いても「普通の生活すらできない」社会で生きる大人が、カネに絶対的価値を置くのも、ある意味においては理解できる。(出所:日経ビジネス

 若者たちの心が荒むほど痛々しいことはありません。これでは将来が未来がますます暗澹たるものになっていきそうな気もします。これこそが真っ先に解決しなければならない社会課題に思えてなりません。

論語に学ぶ

子 罕(まれ)に利を言うとき、命(めい)と与(とも)に、仁と与にす。(「子罕第九」1)

 孔子もたまに「利」について語るが、その場合には必ず「命」あるいは「仁」と与にした、と意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 一身の利益を図るのではなく、君子は天下のために利を図るべきであって、もし道が民を利することのないものであるのなら、それは道ではないと孔子は考えていたようです。そう考えるのも、個人的な利益に走る者たちが上へ上へとのし上がっていく一方で、多くの民が疲弊する現実があったからなのでしょうか。

 

 

 しかし、どんな時代にあっても孔子同様に考える人物は必ず登場するようです。現代経営学の父とも評されるP・F・ドラッカー、「マネジメント」をはじめて体系化し、個人や組織、社会のあり方などを説いた人物です。

「利益を上げっていた先にあるのが人々や社会の幸せ。それこそが真の企業活動の目的」と説きます。

 もう一度ドラッカーが見直されてもよいのではないでしょうか。そうなれば、賃上げ問題は立ちどころに解決し、日本経済も好循環していきそうなが気がします。しかし、そう単純にいかないのも現実なのでしょう。何せ、孔子の時代から繰り返されている課題なのでしょうから。

 

「参考文章」

日経平均株価が千円を超える大幅下落:日銀の政策修正を契機に円安・株高サイクルは逆回転を始めるか|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)