「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【過ぎたるは猶及ばざるがごとし】 Vol.272

 

子貢(しこう)問いて曰わく、師と商とは孰(いず)れか賢(まさ)れる、と。子曰わく、師や過ぎたり。商や及ばず、と。曰わく、然(しか)らば則ち師は愈(まさ)れるか、と。子曰わく、過ぎたるは猶及ばざるがごとし、と。(「先進第十一」16)

 

  (解説)

子貢が「師(子張)と商(子夏)と、どちらがすぐれていますか」と尋ねたところ、孔子がこう答えた。「師は多いな、商は少ないな」と。子貢は「では師のほうがすぐれているのですか」と尋ねたが、孔子はこう教えた。「多いも少ないも同じことだ」と。論語 加地伸行

  

「子張」、陳の人、姓は顓孫、名は師、字名が子張。孔子晩年の弟子。もっと若く秀才といわれる「礼」の専門家。

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 子夏と議論したとき、子夏の激しい調子を批判し、孔子のゆったりと相手の意見を聞く態度を学んでいないといい、さらに、小人の議論は、自分の意見だけが正しいと言い張り、目を怒らせ、腕をむき出しにし、早口で口から涎(よだれ)がたれ、目が赤くなり、勝を得ると喜びまわる等々と言ったという。

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 「子夏」、姓は卜(ぼく)、名は商。孔子より44歳若く、孔子学団の年少グループ中の有力者。文学にすぐれた、つまり最高の文献学者だったという。孔子晩年の弟子。

 孔子が外出しようとしたとき、雨が降ったが、傘がなかった。弟子が「子夏がもっていますよ」というと、孔子は「あれはケチだからなあ」と答えたという。続けて「人の長所を言い、短所を忘れることによって、長くつきあいができるのだ」と言ったと、加地は「孔子家語」の一節を紹介する。 

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過ぎたるは猶及ばざるがごとし

 「過」も「不及」も同格であって、中庸を失っている点では、ともに良くないという意味である。   

 

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「子貢」、姓は端木、名は賜、字名が子貢。孔門十哲の一人と言われる。孔子の死後、衛の宰相となったといわれる。 

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「関連文書」

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(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)