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【物流2024年問題】進まない働き方改革、生み出される違法状態

 物流の2024年問題、トラック運転手の「働き方改革」が4月1日から始まりましたが、なかなか思うように改革が進んでいないのでしょうか。「運転手に『ただ働き』を押しつける商習慣が変わっていないのに、改革なんて無理」との声が現場から上がっているといいます。

「死ぬぎりぎりまで働けってことですか」トラック運転手の働き方改革、国の主導で実現できる? 長時間労働+ただ働き…どうなる物流の2024年問題 | 47NEWS

立場の弱い下請けで働く運転手は、たとえ過積載や労働災害隠しなどに加担させられても声を上げられない。だから違法状態がまかり通っている。(出所: 47NEWS)

 

 

「運転手の働き方改革は、本当に実現するのだろうか」。

 物流問題として取り組み企業がある一方で、その広がりは進まず、実態が変わっていないということでしょうか。

 国の主導で始まった「働き方改革」も掛け声ばかりなのかもしれません。脱法行為に甘く、改革の進展を望まない政府自民党と同じ類いの問題のようにも見えてしまいます。

「運転手は法律に明記されたことをしっかり主張してほしい。荷主側は、今のままのほうが利益になることがはっきりしている。それを変えるだけの圧力を国がかけられるのかという、ある意味単純な話でもある」と、労働問題に詳しいNPO法人代表理事が話しているそうです。

 改革を進めるのですから、当事者がその進める方法を知るべきなのでしょうし、なぜ改革をするのか、その本質を理解しなければならないはずです。

 補助金がばらまかれ官民連携が進み華やぐ産業がある一方で、こういう過酷な労働現場、弱い立場にある者たちはおざなりにされてしまう。今の政治の問題ではないでしょうか。

論語に学ぶ

哀公問うて曰わく、何を為せば則ち民服せん、と。孔子対(こた)えて曰わく、直きを挙げて諸を枉(まが)れるに錯(お)けば、則ち民服す。枉れるを挙げて諸を直きに錯けば、則ち民服せず、と。(「為政第二」19)

 魯の国の年若く無力な君主哀公が「どうすれば、人民は心服するであろうか」と質問しまた。孔子は「直」、正しい人間を抜擢して、「枉」、真直ぐでなく曲がった正しくない者の上に置くならば、人民は心服する。逆に、不正な人物を抜擢して、これを正しい人間の上に置くならば、人民は決して心服することはないだろう」と答えました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 哀公が魯の国を統治していた頃の中国は、 民が各地で反乱が起こしていたそうです。それに怯えて哀公は質問したのではないかといわれます。正しい人間が不正な人間を感化することに期待するだけではなく、正しい人間を上に置くことで威圧感も醸しているといいます。孔子流リーダーシップ手法、マネジメント術というところでしょうか。

 

 

 物流の効率化は古くて新しい問題、いつの時代になっても問題として取り上げられます。ムダの固まりであると同時にゴールがないのかもしれません。あのアマゾンさえいまだにテクノジーを応用しサービス開発を続けたりしているのですから。

 ドライバーの働き方改革は新たな制約条件にすぎない、サプライチェーン全体の効率化、改革からみればそういえそうです。それぞれがそれぞれの立場で効率化を進めるようとすれば、「ドライバーの働き方改革」もおのずと進むはずなのですが。

 人とは安定を好み、変革は好まないものです。推進に協力する人よりは邪魔する人の方が多いのかもしれません。誰を推進者、リーダーに抜擢するかでその結果は大きく異なることになりそうです。

 

 

 アイリスオーヤマはは今も昔も生活用品を主戦場としています。収納家具や家電などユニークな生活用品をユニークな方法で販売し、「メーカーベンダー」という独特な立ち位置で、成熟し、競争が厳しいレッドオーシャンで、好業績を上げているといいます。

楠木建氏が解説 アイリスオーヤマの『いかなる時代環境でも利益を出す仕組み』 | 日経BOOKプラス

 アイリスはメーカーであると同時に問屋機能まで内部に抱えているそうです。ホームセンターのような小売業者に対して直接商品を納入し、売り場作りや販促まで自ら行っているといいます。

普通のメーカーであれば、工場から出荷した製品がどこにどのように流れているかは分かりません。しかし、メーカーベンダーであればいつどこで何が売れたかが分かります。データの裏付けをもって仮説を立て、商品を企画し、ユーザーからのフィードバックに基づいて改良することが可能になります。(出所:日経BOOKプラス)

 問屋を通さずに直接取引すれば中間マージンを排除でき、コスト削減が可能となります。アイリスの意図とは異なるのでしょうが、そうすることでモノの流れとデータ活用に道が開けます。それらを手に入れて分析、検討すれば物流の効率化のヒントを得ることはできそうです。

「物流の2024年問題」、「ドライバーの働き方改革」も視点を変えれば、そのヒントとなりそうなことは多々あるのではないでしょうか。

 物流、モノの流れは商流によって生じるのです。それをセットにして考えると色々な改革アイデアも浮かぶような気もします。そこにDX:デジタルトランスフォーメーション的な手法やソリューションを組み込み合わせてもいいのかもしれません。

 改革、変革もベストプラクティスを探し出し、それをまねてみて、うまくいかないと七転八倒、試行錯誤を繰り返し検討を続ける、そうすると独自性が生まれて、成果が上がるようになっていくのでしょう。口で言うほど実行することは簡単ではないですが、そういうもののような気がします。