「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」という書店振興を考える議連が自民党内にあるそうです。この議連の幹事長を務める斎藤経産相が、東京都港区の書店を訪れ、書店経営者ら6人と意見交換したといいます。
減少する街の書店、どう救う? 経産省が専門チーム発足 フランスでは「反アマゾン法」も… 23日は本を贈り合う日:東京新聞 TOKYO Web
「リアルなコンテンツとして非常に重要なものが日本列島上からどんどんなくなっていく、いかがなものかという思いがもともとあった」、斎藤経産相はプロジェクトチームを立ち上げた理由をそう語ったといいます。
「ネット書店による送料無料化や過剰なポイント付与という実質値引き等により、書店は不公正な競争環境にさらされている」と議連の提言書にあるそうです。書店減少の背景に、ネット通販の影響を挙げているといいます。
「子供からお年寄りまで様々な地域コミュニティの方が気軽にコンテンツに入れることができる場所。書店の機能は、将来の文化産業を考える上でもすごく重要」と経産省の担当者も話しているといいます。
公正取引委員会も、書店議連の提言を受け、ネット書店による送料無料について、書店や出版業界にヒアリングを始めている。今後はネット書店の事業者にもヒアリングを行い、実態把握に努めるという。(出所:東京新聞)
アルゴリズムによって制御された情報が溢れるネット社会、過度な「レコメンデーションシステム」、「エコーチェンバー」や「フィルターバブル」などの問題も指摘されるようになっています。こんなシステムに依存するようになると世の中の見方がゆがむという専門家もいます。
ポイント経済圏における過度な囲い込み競争もデジタル社会の弊害に思えたりします。ポイントに縛られて、ときに選択の自由が奪われているのではないかと感じることもあったりします。
街の書店では、好む好まざるにかかわらず、一度に溢れるばかりの情報が目に入ります。売れ筋の本のタイトル、雑誌表紙を飾る文字などから何となく世の中の動きを察知することも出来たりします。それはリアルな新聞紙面も同じです。
何か弊害が見え始めているのであれば、その次を妄想し議論がってもいいのかもしれません。
「書店議連」、自民党らしからぬ活動にも見えます。期待してもよいものかと思案しますが、ポストデジタル社会を議論してみてもよさそうです。
論語に学ぶ
季氏 周公より富む。而(しか)るに求や之が為めに聚斂(しゅうれん)して之に附益(ふえき)す。子曰わく、吾が徒に非(あら)ず。小子(しょうし)鼓を鳴らして之を攻むるも、可なり。(「先進第十一」17)
魯の国の実力者季氏は君主周公よりも豊かであった。にもかかわらず、冉求は季氏のために税を多く取り立て、季氏をさらに富ませていた。孔子は「もはや私の仲間ではない。弟子たちよ、まっこうからその罪を声(な)らして攻めてよいぞ」といいました。
冉求は孔門十哲のひとりで、才芸に秀で政治の才もあったといわれる人物です。ただ必ずしも善き政治を行ったとは言い難いところもあったようです。
その政治の才が活かされるのは、ときの環境次第ということなのかと思ったりします。
進まない政治改革
政治改革が進みそうにありません。改革が機運が高まる中、依然、阻む力も存在しているようです。
「岸田首相に政治改革の覚悟はあるのか」公明もイラつくやる気のなさ あれもこれも「議論する」止まり:東京新聞 TOKYO Web
「政治にはお金がかかる。透明性を高め、ルールを守るという実効性を伴った制度にするかを与野党で議論すべきだ」、経団連の十倉会長は企業献金廃止に反対の考えを表明したといいます。
経団連・十倉雅和会長「ナンボでも政治献金することはない」けれど…メザシの土光さんの「廃止」論に同調せず:東京新聞 TOKYO Web
かつて、経団連は政治改革を促すときもあったそうです。そのとき会長を務めた土光氏は、政治にはお金がかかるが、金をかけすぎると民主主義を破壊すると語って、「企業は政治献金をすべきではない」として経団連が政治献金に関与しないよう政治改革に全力で取り組んだそうです。
膨張する世界の軍事費
世界の軍事費が膨張しているようです。昨年2023年は前年比で実質6.8%増の総額2兆4430億ドル(約378兆円)で、過去最高を更新したそうです。
世界の軍事費、過去最高 安保環境悪化で前年比7%増―国際平和研:時事ドットコム
世界各地で紛争がおこり、安全保障環境が悪化していることが影響しているといいます。ウクライナ問題を抱える欧州での伸びが突出しているようですが、日本の防衛費の伸びは、中国や緊張が続く中東地域全体での伸び9%を上回って、11%になっているそうです。
国際情勢を無視することはできないにしても、それを是とすれば、岸田政権は力を発揮しているのかもしれません。ただそれでほんとうに良いのかといえば違うような気もします。
国内に目を転じれば、裏金事件をはじめ山積みの問題の解決が一向に進みません。どちらを優先するのかということなのかもしれませんが、別なリーダーが求められていそうです。
政治のニュースが飛び交い、選挙が関心事になったりして盛り上がっているようです。悪いことではないのでしょうが、これが良い社会なのかといえば、ちょっと違うような気もします。それでもそれに近づけていくための政治改革でもあるのでしょう。
「参考文書」