プッチンプリンの出荷が止まったと話題になっているようです。江崎グリコの物流センターで発生したシステム障害が原因といいます。経済産業省が危惧していた「2025年の崖」が現実化したということなのでしょうか。
プッチンプリン出荷停止 江崎グリコ、基幹システム更新に「2025年の崖」 - 日本経済新聞
「2025年の崖」、基幹系システムなどを担うIT人材が不足し、システムの刷新を担う人がいなくなることで、レガシーシステムを使い続けることになる問題です。
江崎グリコはERP 基幹システムの切り替えに300億円以上を投じ、2019年12月から進めてきたそうです。独SAPの「SAP S/4HANA」へ切り替るこのプロジェクトは目論見通りに進まず、費用の膨張と延期に見舞われ、今回のトラブルになったようです。出荷再開はいつになるのでしょうか。気になるテーマです。DXがさかんに説かれていますが、同じような問題が他の企業も起きないかと心配になる案件です。
円安、節目の155円突破
円安が止まりません。政府の口先介入や尽力を嘲るかのように、節目の155円を突破してしまいました。
そんな中、日銀の金融政策決定会合が明日までの日程で開催されます。今回は追加利上げもなく現状維持となるのではないかといわれますが、この時勢で植田総裁が何を発言するかに関心が集まります。
日銀は金融政策維持との見方、タカ派的発信あるか注視-根強い円安で - Bloomberg
追加利上げは9月がメインシナリオのようですが、6-7月への前倒しとなるリスクが高まりつつあるといいます。円安が進めば、輸入インフレ・ショックは続き、物価上昇に影響を与えることになります。植田総裁は無視できない大きさの影響が発生した場合は、金融政策の変更もあり得ると述べていました。企業活動、日常生活にも影響するだけに、これもまた気になるテーマです。
円安の慢性化
慢性化する円安がもたらすデメリットを気にする声が聞こえてくるようになりました。
円安は輸出企業にプラスといわれていますが、さすがに度を過ぎれば、あぶく銭的な利益増よりも次第にコスト増が重くなるのかもしれません。
JAL新社長、止まらない円安に懸念-1ドル130円ぐらいが望ましい - Bloomberg
そればかりでなく、円安に輸入インフレで物価高も慢性化するようになれば、消費者にとってもデメリットです。
追加利上げに懸念を示す自民党
日銀がいつ追加利上げに動くかに注目されていますが、早くも自民党内から「ありえない」と不快感を示す声が上がっているそうです。解散総選挙が取り沙汰され、国民生活に不安を与えかねない材料を可能な限り排除したいとの思惑が背景にはあるのではないかといいます。
自民党内に日銀の追加利上げは時期尚早との声-年内は困難との見方も - Bloomberg
利上げの是非について聞いた同党議員10人は、住宅ローン金利の引き上げなどを通じて国民生活に直接的な影響が出てくるため時期尚早との懸念を表明。うち6人は政治資金問題に対する選挙区での風当たりは強く、解散・総選挙前に金利が上昇すれば自民党が歴史的な大敗を喫する可能性もあると指摘した。(出所:ブルームバーグ)
選挙ばかりに目が奪われ、目先のことしか考えることができないのでしょうか。物価高騰の慢性化とそれによる実質賃金の改善の遅れなどについては気にならないのでしょうか。こういう風潮も、亡国の政策と揶揄される「アベノミクス」「異次元緩和」の後遺症のように感じます。
何だか複雑になった連立方程式を解かないと、日本の経済が健全化することはなさそうです。根深い問題だとつくづく感じます。気になるテーマです。
明るい未来は何処に
このまま「失われた30年」の状態が続くと、2040年ごろには新興国に追いつかれるという見通しを経済産業省が明らかにしたそうです。思い切って投資しないと、国が貧しくなって技術の発展も遅れ、世界と勝負できなくなるおそれがあるそうです。
2040年「日本は新興国並み」経産省見通し、失われた30年続けば:朝日新聞デジタル
経産省は日本経済が停滞した理由として、企業が安いコストを求めて生産拠点を海外に移し、国内での投資を控えていたと指摘。このままでは賃金も伸び悩み、国内総生産(GDP)も成長しないとみる。今後、GDPで世界5位に後退するとの試算もある。(出所:朝日新聞)
改革、変革が求めていそうですが、政府自民党、それにべったりの企業が呼応することはあるのでしょうか。マインドセットを変え、ピボットが求められているのでしょう。
論語に学ぶ
君子は食に飽くるを求むることなく、居(お)るに安きを求むること無し。事に敏に、言に慎み、有道に就きて正す。を好むと謂う可(べ)きのみ。 (「学而第一」14)
君子 教養人はたらふくものを食べ、豪華で心地よい邸宅に住んでみたいなどとは思わない。公の仕事に努めなければならない。行動は敏捷で仕事はすばやくこなす。しかし、発言は慎重で出しゃばらない。もし意見があれば、まずは優れた人格者を訪れ、自分の言動について批判を乞うて自ら正すようにする。こういう人こそ好学の士と言うのだと、孔子はいいました。
孔子には、特権者たちの虚飾やぜいたくに対する強い倫理的反感があったそうです。当時の一般市民の生活は貧寒なもので、それに対して特権階級が暴飲暴食に走るようなことはもってのほかといわざるを得なかったのでしょう。
経済産業省が危惧する 「2040年 日本は新興国並み」という見通しがこのままでは現実化そうです。ほんとうに様々なことを変え、急ぎ問題解決を進めていく必要がありそうです。しかし、相変わらず政治家たちは口ばかり達者なだけで、知的生産性は乏しく、必要な改革を俊敏に進める能力はなさそうです。ほんとうに崖が迫ってきていそうな気がします。
「参考文書」
稼働が1年超遅れたグリコの基幹システム刷新、投資額は当初比1.6倍の342億円に | 日経クロステック(xTECH)