バイデン米大統領が、日本は排外主義的と発言をしたそうです。それは、ワシントンで行われた選挙資金集めイベントでのことだったといいます。
日本は「排外主義的」と米大統領批判-移民受け入れ消極的と指摘 - Bloomberg
なぜ中国が経済的にこれほど行き詰まっているのか、なぜ日本は問題を抱えているのか、なぜロシアやその他の国はこうなのか。彼らは排外主義的で移民を望んでいないからだ。(出所:ブルームバーグ)
アジア系や太平洋諸島出身の献金者を前に「われわれの経済が成長している理由の一つは、あなたたちや他の多くの人々のおかげだ。われわれが移民を歓迎しているからだ」と発言した上でのことだったといいます。選挙活動中での発言なので、大目に見る必要がありそうですが、如何なものなのかなと思います。
中国を念頭に安全保障を基盤とし日米同盟を強化しましたが、米国からみれば日本は問題多い国にすぎないということなのでしょう。安全保障では問題意識を共有できても、それ以外はでんでダメだとも受け取れ、自民党の政策を暗に非難しているだけなのかもしれませんが。
『外国人1割社会』で日本経済は再生できるか? | 2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)
しかし、このタイミングでこう発言されてしまうと、岸田さんもコケにされたようなもです。道具として扱われたようにも感じます。一方で、バイデンさんはいかに米国人らしいとも思えます。目的、目標を実現するためには、自身の信条や価値観は徹底的に守り、儀礼は最低限尊重するが、利用できるものは何でも利用するという合理的考え方といってもよさそうです。
論語に学ぶ
其の以(もち)うる所を視、その由(よ)る所を観、其の安んずる所を察すれば、人焉(いずく)んぞ廋(かく)さんや、人焉んぞ廋さんや。(「為政第二」10)
その人物の現在の行動をしっかりながめ、その由るところ、原因や動機を観察し、未来の着地点、どう落ち着こうしているのかを洞察する。そうすれば、その人物は自分を隠そうと思ったところで、隠しおおせるものではないと、孔子は言いました。
バイデン大統領の発言後、カービー戦略広報調整官が「これは世界中の人が認識していることとは思うが、大統領が言いたかったのは米国が移民の国であり、それがわれわれのDNAに刻まれているということだ」と解説し、「それによってわれわれはより良くなり、より強くなった。この先も背を向けることはない」と述べたといいます。
これが米国の歴史であり、英国の植民地支配から独立した国という誇りもDNAになっているのでしょう。しかし、それを意図的に誇示し、その価値観を露骨に、過剰に押しつけようとするから他国が反発するのかなと思います。
また、カービー戦略広報調整官は「バイデン大統領が同盟国とその友好、価値観、貢献をいかに大切なものと考えているか」を同盟国はしっかり理解しているとも述べたそうです。一定の配慮は示したというところでしょうか。
派手さや目立つことを避け、内面の豊かさや繊細さを大切にする奥ゆかしさがあれば、米国人たちの発言ももう少し違ったものになるのでしょうが、そうではなく率直に語るのも米国流というところでしょうか。
さて日本政府はこの発言にどう反応するのでしょうか。気になります。
「参考文書」
木内登英の経済の潮流――「外国人技能実習制度の見直し:日本経済の潜在力向上も視野に」 | NRIジャーナル | 野村総合研究所(NRI)