「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

対立を煽る傲慢な米国、進む中国離れ

 いよいよ米国と中国の関係がさらに悪化し、深刻なデカップリングへと進むことになるのでしょうか。

 米政府が、米国の企業・個人による中国への投資を規制する新制度を導入すると発表しました。先端半導体やAI 人工知能、量子技術を対象にするそうです。

アメリカ、中国への投資を厳しく制限 半導体・AIで大統領令 - 日本経済新聞

 政府に届け出を義務付け、中国の軍事開発などに結びつく案件は禁じられることになるといいます。米国の対中規制がヒトやモノだけでなく、カネの流れも制限することになるといいます。

 

 

 米国の対応が、度が過ぎてはいないかと心配になります。

中国は「時限爆弾」 成長鈍化、政府動向に警戒―バイデン米大統領:時事ドットコム

 バイデン大統領の発言が過激さを増しているようです。ユタ州での集会で、中国経済の成長鈍化に言及し、「中国は時限爆弾だ」と語り、「悪い人々が問題を抱えると、悪いことをする」と述べたそうです。

 この発言は中国のさらなる反発を呼びかねず、両国の関係安定化を模索する動きに水を差す恐れがあると記事は指摘します。

 米国の傲慢さが気になります。目的のためなら手段を選ばずになっていないでしょうか。

論語に学ぶ

質 文に勝てば、則ち野(や)。文 質に勝てば、則ち史(し)。文質彬彬(びんびん)として、然る後に君子たり。(「雍也第六」18)

「質」とはもとであり、実質さらに素朴を意味し、「文」はあやであるから、技巧、飾りさらに礼楽であるといいます。「彬彬」とは「相い伴ばする貌(かたち)」。「野」とは野人または田舎者的ということで、「史」はもと史官のこと、文書などをつかさどる役人だが、ここでは悪い意味でのインテリないし文化人を指すそうです。

「質」と「文」とを兼備して始めて君子 教養人といえると意味し、「質」と「文」は人間文化にとって軽重をつけ難い重要な二つの構成要素であるといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 文化には強靭で素朴な生命力がなければならないが、それがそのままあらわれては露骨であり、野性的にすぎて泥臭い。それを人間化するためには、礼楽のような優雅な意味での人為が不可欠である。しかし、それが過度になり、そのためにもとが衰弱すれば形式主義の虚飾となり、悪い意味での文化主義に陥ることになるといいます。 

 この二つを均等に兼ね備えることが、人間文化の具現者としての君子であるといいます。

 

 

 バイデン大統領の「野」を「文」で薄めれば、傲慢さが少し和らぎ、対立の度合いも変わるような気がします。もう少し優美さがあればいいのでしょうが、米国の立ち位置は絶対に譲れないという強欲さがやはり表に出てしまうのでしょうか。

 そんな米国に盲目的に追従することは少々危険であり、下手すればうまく利用されかねないような気もします。しかし、日本政府にも欲があって、漁夫の利を得ようとするばかりに、猛進してしまうのかもしれません。

失速が懸念される中国経済

 中国への直接投資の減少が続き、4~6月期は統計が確認できる1998年以降で最少になったそうです。デフレ懸念が認められ、潜在成長率に翳りがあり、それがまたデフレ懸念を増大させているようです。

中国経済の「日本化」と日本が引きずる後遺症 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 こうした状況は、バブル崩壊後の日本と酷似しているといいます。

「対立」がこうした経済分野だけにとどまっているうちはまだよいのかもしれません。しかし、決定的な対立は避けなければなりません。 

 勢いに乗じて日本は分断を煽るような過激発言は慎むべきなのでしょう。

中国と分断を図るのではなく「関与」こそ必要だ 「有事」危機を軟着陸させるために汗をかけ | 特集 | 東洋経済オンライン

 どう転がろうが、中国は隣国ですし、経済的な結びつきも強く、分断が深刻化すれば、その影響は大きくなりそうです。緊張緩和のために働くべきなような気がします。

 

「参考文書」

外資の対中投資、87%減少 4~6月期、過去最大幅 | 共同通信