「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

不安を煽る言動ばかりでは、いつまで経っても先は見通せない

 

 ありふれた表現なのだろうが、激動の時代、不確実性の時代と呼ぶのは相応しいことなのだろう。先行きが見通せなければ、やはり将来が心配になる。仕事をしていても、成長を実感できず、このままでいいのだろうかと、漠然と不安を感じる。

 国も会社も社会も成長を謳歌し、前に進んでいると実感できればいいのだろうが、現実は大きく乖離している。打ち手はいつもはずれて、五里霧中から抜け出せない。

 

 

 国の借金「長期債務残高」が、2021年度末時点で初めて1千兆円の大台を超え、1017兆1千億円になったという。18年連続で過去最大を更新したそうだ。

国の長期債務1千兆円超え 社保費、コロナの巨額対策 | 共同通信

 地方においても同様に債務は膨れ上がり、長期債務残高が193兆円となる見込みで、国と地方の合計は1210兆円に達するという。借金頼みの経済財政運営が続いている。22年4月の総人口で単純に割ると、国民1人当たり約966万円の借金を抱えている計算になると共同通信は指摘する。

 どこぞの元首相が、日銀が市場を通じて政府の国債を買い入れていることに触れ、「日銀は政府の子会社だ」と述べたという。「日銀は政府の子会社なので60年で返済の満期が来たら、返さないで借り換えて構わない」とも語ったそうだ。

アングル:国債入札日も日銀オペ、財政ファイナンス懸念高まらず 麻痺する市場 | ロイター

 困ったものである。それなりに影響のある人物が、それを笠に着て、いつまでも好き勝手なことを言っていたら、状況が好転しようはずもない。いつまで経っても閉塞感は解消されない。もうそろそろ自覚したほうがいいのではなかろうか。もう過去の人になったことを。

論語に学ぶ

周は二代に監(くら)ぶれば、郁郁乎(いくいくこ)として文(あや)なるかな。吾は周に従わん。(「八佾第三」14)

 周は、その前の夏・殷二代に比べると、華やかに発展している。私は周の文化に従うと意味する。

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 絶好調は永遠に続くことはない。浮き沈みはつきものである。時に沈んだ時期が長引くことがあるのかもしれない。でもその失政を活かしていけば、ものごとは良化し、また成長し始め、前の時代を踏み台にして発展するということなのだろう。 

 いつまでも過去にとどめようとするから、閉塞感が生まれる。

 

 

非武装中立

 昨今の国際情勢をもとにすれば、「非武装中立」という論理の現実味が薄れているという。歴史的な事件を目の当たりにして、非武装中立が日本にとって正しい選択だと考えていた人たちが、自らの誤りに気づくことを期待したいとForbes は指摘する。

「非武装中立」が幻想にすぎないことを、明白に示した歴史的事件 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

今回のロシアによるウクライナ侵攻は、まさしく、すべての隣国が「平和を愛する」わけでもなく、「公正と信義」をもっているわけではない、ことを証明した。したがって、非武装では「われらの安全と生存を保持」できない。(出所:Forbes)

 いわんとすることは理解はできるが、平和を希求し、非武装中立を守るべきとして何が悪いのだろうか。現実、日本には強力な自衛隊が存在し、日米同盟の傘の中にいる。変え難い事実だし、世界の国々も日本が非武装中立の国とは誰も見てはいないのではなかろうか。

 過去の大失敗があるから理想を望むようになる。しかし、その理想も現実の社会に影響し、形骸化するときもあるのだろう。それでも望み捨てずに主張することも是であり、希望は捨ててはならないのだろう。希望があるから人は努力し、成長できるものだ。

 

 

「先進の礼楽に於けるは、野人なり。後進の礼楽に於けるは、君子なり。如(も)し之を用いなば、則ち吾は先進に従わん」(「先進第十一」1)という。

周王朝のはじめの頃の人たちの礼楽のあり方は、素朴であった。後世の人たちのそれは、華やかで整っている。もし礼楽を用いるとあらば、私は素朴なありかたに立ってみよう」と読まれる。

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 質(野人)が文(君子・はなやか)になってゆくのは時の流れとして普通のことであり、孔子は整美を否定しているのではなく、初心の質朴さ(飾りけがなく純真・素直なこと)を忘れるなと言っているという。

 兎角、御都合主義に流されたりするのかもしれない。理想を追求することより、その方が遥かに容易なのだろう。それで前進するかもしれないが、「初心忘るべからず」、希望を紡ぐでいくようにしていかねばならない。そうでなければ、いつまでも先を見通すことはできない。