米国大統領 バイデン氏の不人気ぶりが気になります。「7%に達したインフレ率」、「オミクロン株への対応」など、米国人の半数が大統領のパフォーマンスに不満を感じているそうです。
バイデン政権の苦境鮮明、国民の7割がインフレ対応に不満 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
Forbesよると、CBSニュースの世論調査で、バイデン政権をどのように感じているかという質問に対し、「不満だ」と答えた人は50%に、「失望した」と答えた人は49%、「気がかりだ」と答えた人が40%になったそうです。
なかでも最大の問題と言えるのは、7%と最悪のインフレ率で、大統領を支持しない人の63%が「インフレ率が下がれば大統領に対する見方が改善する」と答えたといいます。また、オミクロン株への対応では、64%がバイデン大統領の対応が「うまくいっていない」と答えているそうです。
そればかりでなく、経済対策も不評のようです。
バイデン大統領は「ビルド・バック・ベター(よりよき再建)」と呼ばれる一連の社会改革の成立に注力しているが、回答者の39%が「大統領と民主党は国民が関心を持たない問題に焦点を当てている」と答え、この改革案が成立すれば大統領に対する評価が上がると答えたのは24%にとどまっていた。(出所:Forbes)
前大統領の極端さを正そうとすれば、その真逆の方向に極端になってしまい、国民がついていけないということなのでしょうか。
「ちょうどよい」を見つけることは極めて困難なことなのかもしれません。
過ぎれば害になる。前の政権との違いを見せつけるかのような経済対策が、インフレの引き金になったのであれば、その好例なのかもしれません。
「邦に道有れば、言を危(みが)き行ないを危く。邦に道無ければ、行ないを危くも言は孫(したが)う」と、論語「憲問第十四」3 にあります。
「国が道理に従っているなら、正しく主張し、正しく実践する。もし国が道理に従っていないなら、正しい実践はするものの、主張は抑えておくのがいい」と解され、「当面の難を避けて順(したが)っておけ」との意味です。
道理を失って極端に走った意見に対抗することばかりにこだわらず、まずは民衆の声に順い対応して、中庸、中和に努めることが肝要ということでしょうか。そうすれば、大統領が主張する「ビルド・バック・ベター」の方向に向かっていくのかもしれません。
現状維持、国内でもじわじわ物価高
国内でもじわじわ物価が上昇しています。日銀が金融政策決定会合で2022年度の物価上昇率見通しを0.9%から1.1%へと引き上げたそうです。
資源価格の上昇などを背景に企業が値上げに踏み切る事例が増えてきたことを反映したといいます。
日銀、物価見通し22年度1.1%に上げ 金融緩和は維持: 日本経済新聞
ただ日銀は、物価目標2%には時間がかかるとみて、金融緩和政策の現状維持を決めたそうです。
最近の物価上昇はコスト高が起点だ。
日銀内では賃上げが鈍いままでは物価上昇は長続きしないとの見方が多い。
賃上げを進めたい政府と、そうはならないだろうと予測する日銀。何とも歯がゆいですね。民間予想では、4月以降の物価上昇率は携帯電話通信料の引き下げの影響が弱まることもあり、物価上昇率が2%に近づくとの見方も出ているそうです。
違った意味で、米国の二の舞にならないことを願うばかりです。
論語の教え
「民の仁に於けるや、水火(すいか)よりも甚だし。水火は吾(われ)蹈(ふ)みて死する者を見る。未だ仁を蹈みて死する者を見ざるなり」と、「衛霊公第十五」35にあります。
「水や薪」 ー 日々の営み、生活に直結することはやはり無視できず、その生活のために命を落とす人もいる。こうした状況を無視すれば、孔子の主張する「仁」から遠く離れてしまう。
苦境を和らげ人々を「仁」に導く、そこに平穏がある。そんなことを感じさせる言葉です。
「物価高」に「オミクロン株」、生活に関わることが問題となっています。道理に従い、そして「仁」を通して問題解決を図ってもらいたいものです。