「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

説明責任を果たせない要人たち、更迭しやっている感を醸す自己陶酔の罪悪

 

 10月のCPI 全国消費者物価指数が前年同月比3.6%上昇したといいます。3%台は2カ月連続で、日本銀行が定める物価安定目標2%を7カ月連続で上回っています。中でも、食料についてはは前年同月比5.9%上昇しているそうです。

全国コアCPI3.6%上昇、価格転嫁進み約40年ぶり高水準-10月 - Bloomberg

 円安進行による輸入物価の上昇の影響で消費者物価を押し上げられているといいます。

 黒田総裁は、輸入物価の上昇に伴う価格転嫁の影響は減衰し、物価上昇率は年明け以降に徐々に低下していくと指摘し、今後の企業の価格設定行動や賃金の動向を丁寧に点検していく方針を示しているそうです。

 

 

 また、黒田総裁は国会で、物価上昇加速により実質賃金が低下し、家計に悪影響を与えているのは事実との認識を示したといいます。

物価3%なので実質所得低下し家計に影響との指摘「その通り」=日銀総裁 | ロイター

黒田総裁は「賃金上昇率が1%程度、物価上昇が3%なので実質所得が低下しているというのはその通り」「実質所得の低下がマインド悪化を通じ家計に影響しているというのはその通り」と発言した。(出所:ロイター)

 それでも金融緩和を継続する方針を示し、その上で「時間はかかるものの、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定の目標を持続的、安定的に達成することができる」と語ったそうです。

 違和感を覚えます。国民に犠牲を強いていることを認め、その上、時間はかかるが、さらに我慢せよとの論理では、何のための同じ金融政策を続けるのでしょうか。

 「円安進行は日本経済全体にマイナスで望ましくない」とも黒田総裁が語る一方で、円安による輸入物価については、企業に価格転嫁を求め、それに加え、賃上げも求めます。企業になお一層の経営改善しろとのメッセージなのでしょうが、現実はそうはならずに、国民を苦しむ結果になっています。

 一方、政府は積極財政を続けていますが、状況が好転する兆しもないようです。

 

 

 経団連の十倉会長が、防衛費増額の財源に法人税引き上げが検討されていることに言及したそうです。「安全保障の重要性をひしひしと感じている。防衛費は広く薄く国民全体で負担するというのが経団連の考え方だ。法人税が独り歩きするのは腑に落ちない」と述べ、法人税引き上げに反対の立場を表明したといいます。

 輸入物価の上昇に苦しめられ、なおかつ賃上げの期待にも応えなければならない、その上、防衛費増額のための財源に協力しろでは音を上げるのも無理からぬことに思えます。

 他方、一連の外交日程を終えた岸田首相は、タイ バンコクで記者会見し、「日本が戦後最大級の難局に直面していると、国民の皆さんも直感的にわかっておられるんだと感じている」と述べたといいます。

岸田首相の内外記者会見での発言詳報: 日本経済新聞

経済対策の実現のための補正予算の成立、また世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に向けた新法の策定、また防衛力の抜本的強化、さらにはコロナ第8波への対応、ポスト冷戦期の次の時代の新たな国際秩序づくりなど、歴代政権が取り組んできたが道半ばとなっている難しい課題に一つ一つ結論を出していかなければならない。(出所:日本経済新聞

 

 

 また、「政治とカネ」の問題で国会を騒がせている寺田総務相を続投させるのかと問われると「これら課題の一つ一つに集中していきたい」と述べ、課題解決を優先事項とし、一方、「各閣僚においても各自に求められる説明責任は徹底的に果たしていただかなければならない」と語ったといいます。また、人事については、「首相として判断をしていきたい」とも語ったそうです。

 何か腑に落ちません。自分で問題を作っては、自分は真摯に取り組んでいるともっとらしく顔色を装って吹聴するばかりでは、国民のためになりません。

 外に向かっては、力による現状変更を批判し、秩序の回復を求めますが、内にあってはまるで権力を誇示するかのように振舞い、秩序を乱し、国民を犠牲にしていないでしょうか。それではどこかの国の横暴な元首たちと同列といっても過言ではないような気がします。

 問題を起こす議員たちは、平気で「法には触れてはいない」「事務的なミス」だと釈明します。立法に携わる議員が、決して述べてはならないことではないでしょうか。こうした「法の抜け穴」を防ぐのが議員たちの本来の仕事なのではないでしょうか。

 問題指摘されたことの善悪、正邪を問い、規制を強化すべきか否かを論議することが秩序を維持していくには求められることではないでしょうか。

 秩序や風紀が乱れるのがわかるような気がします。世の中に良心や良識が育たなくなるのは当然なのかもしれません。もう飽き飽きです。

 

 

論語に学ぶ

巧言・令色・足恭(そくきょう)なるは、左丘明(さきゅうめい)之を恥ず。丘も亦之を恥ず。怨みを匿(かく)して其の人を友とするは、左丘明 之を恥ず。丘も亦之を恥ず。(「公冶長第五」25)

  口先が巧みで、顔つきが穏やか、媚び諂い、そうしたものを左丘明は恥じた。私もまた同じだ。また、人への恨みを隠して友人づきあいをするようなことも恥じたが、私もまたそのなのだと孔子が言ったといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 寺田大臣が、「これまでの説明で国民の納得は得られたと考えるか」と野党に問われたのに対し「私が接する国民はほとんどが地元の方々だが、激励をいただいている。『正直に説明していて感心した』という声しか私は聞いていない」と答えたといいます。

 何に基づいて発言されているのでしょうか。自己を律しようとする理性や良識はあるのでしょうか。 唖然とするしかありません。

 結果論かもしれませんが、説明能力のない人に説明責任を求めるのはどうなのでしょうか。それで辞任に追い込むのでは、自己陶酔にしかならないような気がします。

 

「参考文書」

賃金上昇伴う形で物価安定、時間かかるが達成可能=日銀総裁 | ロイター

日銀の黒田総裁、物価上昇率3%超え「かなりの上昇」: 日本経済新聞

十倉経団連会長、消費者物価の伸びは「一過性。持続的でない」 - 産経ニュース

寺田総務相 “事務的ミス遺憾 岸田内閣支える”重ねて辞任否定 | NHK | 政治資金