「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

上昇修正された物価の見通し、収束しそうにない高騰、ぼやける新しい資本主義

 物価高騰が続いています。11月は値上げとなる商品が少ないそうです。しかし、これが収束を意味することではないといわれます。そんな中、日銀が「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表、消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)の前年度比上昇率を上方修正しました。それによれば、来年24年度も2.8%となっており、引き続き物価は高騰を続けそうです。

 

 

 また、金融政策決定会合では、YCC 長短金利操作の再修正を決め、長期金利の事実上の上限としていた1%を「めど」として、一定程度超えることを容認することにしたといいます。

日銀YCC再修正で正常化へ一歩前進との見方、為替動向が波乱要因に - Bloomberg

「YCCの運用をさらに柔軟化する」と植田総裁が語ったといいます。市場では様々な反応をみせています。

 YCCの形骸化が一段と進み、事実上の撤廃とみる向きもあるようです。米金利上昇の力を借りて「長期金利1%」への備えを早めに済ませたとの指摘もあります。

為替変動、物価見通しに大きな影響あれば政策変更も-日銀総裁 - Bloomberg

物価見通しの上方修正と合わせて、市場では2%の物価安定目標の実現や金融政策の正常化に向けて一歩前進したとみられているが、今後の政策運営では為替動向が波乱要因になる可能性もありそうだ。(出所:ブルームバーグ

 期待以上のものではなかったものの、想定範囲内だったということなのでしょうか。それなりに市場の期待と折り合いをつけているともいえそうです。ただ総裁の会見後、円安が一段進んでいるようです。引き続き、その動向を注視していく必要がありそうです。

論語に学ぶ

子游 武城の宰と為る。子曰わく、女人(なんじびと)を得たるか、と。曰わく、澹台滅明(たんだいめつめい)という者有り。行く径(こみち)に由らず。公事に非(あら)ざれば、未だ嘗(かつ)て偃(えん)の室に至らず、と。(「雍也第六」14)

 弟子の子游が南方の強国呉、越などの防ぐ要塞の地「武城」の長官となったとき、孔子が「人材を得たかな」と質問しました。子游は「澹台滅明という人物がおります。どこかに行きますとき、近道を通ることをいたしません。また、公用でなければ、決して私の自室に入ることをいたしません」と答えました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 近道しない人間は愚物視され、上役の部屋に出入りしないとおろそかにしているとみられてしまうが、そうではなく、孔子は、堅物、生真面目な人間こそ必要であると言いたかったのだろうといわれています。

 学者出身の植田総裁は案外、澹台滅明のような生真面目タイプの人かもしれないと感じます。少し時間は要してしまうのでしょうが、目標に向け、間違いが少ない手順で前に進めているのかもしれません。

 

 

  一方で、政治は乱れに乱れているようです。また岸田内閣の一員が不祥事を起こして辞任しました。いつまでこんな混乱が続くのでしょうか。

[社説]支持率急落は岸田文雄政権への警鐘だ - 日本経済新聞

首相の指導力や経済対策への不満の声が目立ち、3年目に入った政権運営への警鐘と受け止めるべきだろう。一時的な対応の積み重ねではなく、難しい課題を解決していく道筋を有権者に明示してほしい。(出所:日本経済新聞

「先送りできない課題に答えを出す」といっては手を広げすぎ、掛け声ばかりで政策がフラフラしています。成果は見えず、問題ばかりが露呈しています。

 あれだけ首相が力説した「新しい資本主義」とは何だったのだろうかと思います。進捗はあるのでしょうか。そうでないのなら、やらないことを決めた方がすっきりするのかもしれません。

 

 

「参考文書」

日銀植田総裁、長期金利「1%大幅には超えず」 - 日本経済新聞

金利操作を葬り去った日銀 米金利上昇を奇貨に - 日本経済新聞

日銀「展望レポート」公表 3年間の物価見通し上方修正 | NHK | 日本銀行(日銀)