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米国債の格下げ、トリプル安となった日本

 格付会社フィッチが米国債の格付けを最上級の「AAA」から「AA+」に1段階引き下げました。これを受け、米国で300ドル超の株安となり、日経平均株価も下落、この2日間で1300円超で株価が下がりました。それに加え、円も日本国債も値下がりが進み、「トリプル安」になったそうです。

アングル:想定外の日本株安、日銀修正の余波も 金利上昇を警戒 | ロイター

米長期債の格下げをきっかけに利益確定の売りが広がったとの解釈が一般的だが、市場の一部には日銀の政策修正による長期金利の上昇を警戒する声も出ている。(出所:ロイター)

日本株は高値波乱の様相をみせている」とロイターは指摘しますが、総じて、この影響は短期的なものになるとの見方が多いようです。

 そうは言っても、格下げ理由は気になるものです。

 

 

米国債格下げ

米国人というものは一般的に何でもナンバーワンになって当然と思っている。だからこそ過去に1度しか前例のなかった米国の格下げは、国の威信と世界の金融システムを揺るがした。(出所:ブルームバーグ

米国はなぜ格下げされたのか、それは何を意味するのか-QuickTake - Bloomberg

 今後3年間で予想される財政状況の悪化や、政府債務の負担増の影響、債務上限引き上げを巡って繰り返される政治的対立の激化が格下げの主な理由になったようです。

「繰り返される政治対立が財政運営の信任をむしばんでいる」とフィッチは指摘しています。フィッチは今後の財政見通しについて、GDP 国内総生産に占める財政赤字の比率が高まると予想しているともいいます。

 身勝手な米国ですが、それでも信認されているようです。他者から信用されるものは何かと考えてしまいます。

日本国債

 同じくフィッチによる日本国債の現在の格付けは「A」で、中国の「A+」よりも下です。これまで繰り返し引き下げられてきた経緯があります。政府負債の増大、ソブリン信用力に関するリスク、財政再建計画に切迫感が欠け、またその計画の遂行には政治リスクが伴うことなどが指摘されていました。 

フィッチ、日銀YCC撤廃なら日本国債格下げの可能性 - 日本経済新聞

 記事によれば、日銀総裁が交代となったことで、その金融政策に変化があれば、格付けが変更となる可能性があるといいます。

 気になるところです。格付けの現状から言えば、米国より遥かに信認の度合いが低くく、なおかつ中国にも劣っています。問題指摘されているのだから、改善できればよいのでしょうが、なかなか進展しません。

 

 

警戒

 自民党の安倍元首相に近かった幹部らから、日銀の金融政策をけん制する声が上がっているといいます。先の日銀金融政策決定会合で決定した長期金利上限の運用柔軟化が、大規模金融緩和を進めたアベノミクスの修正につながるとみているためといいます。

自民安倍系、「植田日銀」けん制 大規模緩和の修正警戒:時事ドットコム

安倍内閣の閣僚経験者は「これが限度だ。ここまでは許すが、越えればアベノミクスの変更になる」と、金融政策での「レッドライン」を引いてみせた。(出所:時事ドットコム

 政治的圧力が強まれば、日銀の「独立性」を妨げることにもなりかねないと記事は指摘します。

論語に学ぶ

其の位に在らざれば、其の政を謀(はか)らず、と。曾子(そうし)曰わく、君子は思うこと其の位を出でず、と。(「憲問第十四」26)

 その地位にいるのでなければ、差し出がましく全体運営について口を挟まないと孔子はいいます。曾子は「君子 教養人は、その考えることは、自分の本務を越えることのないようにしている」といったといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 

 

 差し出がましく口を挟むべきではないのに、余計なことに口出しすのは、影響力を見せつけたいからでしょうか。困ったものです。

日本のデフレ脱却宣言はまだ先、金融緩和維持が必要-自民・甘利氏 - Bloomberg

 こうしたことが植田総裁への信認を棄損させ、混乱のもとになるのではないでしょうか。もしかしたらこうした行為が日本の信用にも影響しているのかもしれません。

 格付けを落とす要因になっている政治的リスクとはこういうことを言うのかもしれません。

 口を慎むことの大切さを知ってもらいたいものです。学び直しが必要なのかもしれません。

 

「参考文書」

米国債を最上級から格下げ 「財政悪化を考慮」―フィッチ:時事ドットコム

バフェット氏、米国債を購入-フィッチの格下げ「心配いらない」 - Bloomberg

日銀の国債買い入れは格付けの支え、次期総裁も承知のはず-フィッチ - Bloomberg

フィッチによる日本国債の格下げについて(SBI証券)