「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【最後の会見】言い訳のように聞こえ見苦しかった黒田総裁、その評価は

 

 上手くときも、そうできないときもあるものです。上手くいかないとついつい言い訳をしてしまいがちです。そうでなく、みなが受け入れることをできるように努めればいいのですが、なかなかそうできないときもあったりします。

 言い訳もできずにふさぎ込んでしまうのなら、いっそのこと言い訳するのも悪くないのではないかと思うこともあります。

最後の会見

 日銀総裁を10年にわたり務めた黒田氏が退任しました。最後の会見で、「物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなった」と成果を誇示したといいます。

[社説]植田日銀は柔軟な政策と明快な対話磨け - 日本経済新聞

 デフレ対応が不十分だとする日銀への批判も消えたと記事は指摘します。

 そうなのかもしれませんが、物価高騰やそれの影響も受け実質賃金げ目減りする状況が続いています。当初見られた成果よりも後半になると負の側面が多く顕在化したのではないでしょうか。どこかで軌道修正されるべきだったのでしょうが、そのきっかけをつかむことができずに終わったように感じます。

政府は財政運営で日銀頼みの誘惑を排し、長期の財政健全化の道筋づくりを急ぐべきだ。経済再生への政策の主役は企業や個人の創意工夫を促し、障壁をなくす成長戦略や構造改革だ。政府・与党は植田日銀発足を機に、金融政策に過度に依存しない経済政策の形を整える必要がある。(出所:日本経済新聞

 任期中に顕在化しつつあった問題を問わず、退任してから批判し、新総裁にその是正を求めるのでは、どうかと思います。メディアの機能も低下した10年ということではないでしょうか。黒田前総裁が剛腕で対話が不得意だったからもしれませんが、そこにメスを入れて欲しかったと思います。

台湾問題

 フランスのマクロン大統領が台湾情勢について、「欧州は対立する米中両国のどちらにも「追随」すべきでない」との考えを示したそうです。

マクロン仏大統領「欧州は米中追随回避を」 台湾情勢で - 日本経済新聞

マクロン氏は、台湾情勢の急変は欧州諸国にとって利益にならないと指摘した上で「最悪なのは、欧州がこの問題で米国のペースや中国の過剰反応に追随しなければならないと考えることだ」と主張。「私たちの優先事項は他国の予定に合わせることではない」とも述べた。(出所:日本経済新聞

 日本も同じ立場にあって欲しいものです。

 真意はわかりませんが、「イデオロギー対立は避け得ないものだが、衝突は不用」とのことを言葉を代えて語ったのでしょうか。

 フランスも国内で政治問題や多くの課題を抱えているようです。年金制度の変更が不評でデモ活動が活発化し、また右派の動きに警戒も怠れなくなっているといいます。

焦点:先細る富、「厳しい時代」の到来に怒る欧州市民 | ロイター

 衝突を扇動するような行為を抑えて、何とか国内問題を優先し、それに集中したいとの意図もあるのでしょうか。

論語に学ぶ

棘子成(きょくしせい)曰わく、君子は質なるのみ。何ぞ文を以て為さん、と。子貢曰わく、惜しいかな、夫子の君子を説くや、駟(し)も舌に及ばず。文は猶 質のごとく、質は猶 文のごとし。虎豹(こひょう)の鞟(かく)は猶 犬羊(けんよう)の鞟のごとし、と。(「顔淵第十二」8)

 棘子成が「君子は「質」であればいい。どうして「文」の必要があろうか」と言いました。弟子の子貢は「残念だな。彼の君子論は。ひとたび口に出した言葉は、駟馬で追いかけても及ばなくなる。文は質と同じくらい、質は文と同じくらい貴ぶべきものなのだ。虎や豹のなめし皮も、犬や羊のなめし皮も同じで区別がなくなるではないかと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 虎や豹の毛皮は犬や羊のそれよりも華やかで美しい。しかし、「文」なる毛皮をなめし皮にしてしまえば、「質」になるが、違いが判らなくなる.....

 君子は「質」本質を求めるべきなのかもしれません。しかし、他者との交わりにおいては、伝えるという作業が常に伴います。そのためには言葉を「文」(かざる)ことも必要なことなのでしょう。しかし、ときにそれが誤解を生んだり、間違って伝わることの原因になります。それゆえ、言語の扱いは注意しなければならないのでしょう。

放送法

 放送法を巡る総務省の行政文書問題を端にして、放送局への批判があるようです。

「放送局の目線は、国民でなく政府に向いている」(出所:東京新聞

 一方、放送局は言い訳し、言葉を文っているようです。

政権批判すると「飛ばされる」 放送法解釈変更、TV局萎縮の実態 | 毎日新聞

 そもそもメディア報道には偏向があって当然と思った方がよいのかもしれません。

 色々な考え方があり、ものの見方も異なるものです。多様な意見があって然るべきではあるのですが、ただみながみな同じようなことを報道するようになるともう仕舞いというような気がします。

 公平を貫き、時の問題を鋭く突くメディアがひとつでも増えて欲しいものです。そうすれば、停滞から抜け出る時間が短くなりそうです。

 

「参考文書」

放送法の政治的公平 総務省は「全体で判断」…でも高市早苗氏が答弁した「一つの番組でも」との整合性は?:東京新聞 TOKYO Web

黒田総裁が踏みにじる記者会見倫理 最後も「全く考えておりません」:朝日新聞デジタル

ハンバーガー110円が1年で170円…黒田緩和10年で「円」の価値は目減りした 円安政策は曲がり角:東京新聞 TOKYO Web

日銀の植田和男総裁へ「私の注文」 中曽宏元副総裁ら4氏語る - 日本経済新聞