「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【文は猶 質のごとく、質は猶 文のごとし】 Vol.289

 

棘子成(きょくしせい)曰わく、君子は質なるのみ。何ぞ文を以て為さん、と。

子貢曰わく、惜しいかな、夫子の君子を説くや、駟(し)も舌に及ばず。文は猶 質のごとく、質は猶 文のごとし。虎豹(こひょう)の鞟(かく)は猶 犬羊(けんよう)の鞟のごとし、と。(「顔淵第十二」8)

 

  (解説)

棘子成が「君子は質実であればいいのだ。どうして文飾の必要があろうか」と言った。

子貢はこう言った。「残念だな。彼の君子論は失言だ。ひとたび口に出した言葉は、駟馬で追いかけても及ばない。文は質と同じくらい、質は文と同じくらい貴ぶべきものなのだ。虎や豹のなめし皮も、犬や羊のなめし皮も同じで区別がなくなるではないか」と。」論語 加地伸行

 

「棘子成」は、衛国の大夫。

 ここでの「夫子」は棘子成のことを指す。

「駟」は四頭立ての馬車。

 

文は猶 質のごとく、質は猶 文のごとし

 「虎や豹の毛皮の文様は、犬や羊のそれよりも華やかで美しいが、毛を抜き取り、なめし皮にすると、虎や豹のなめし皮も、犬や羊のなめし皮も同じで区別がなくなるではないか」

 

「雍也第六」27 で、孔子は、「君子は博く文を学び、之を約するに礼を以てせば、亦(また)以て畔(そむ)かざる可きか」といい、「君子」のあるべき姿を示した。

 

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(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫