「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【民 信ずる無くんば立たず】 Vol.288

 

子貢(しこう)、政を問う。子曰わく、食を足らし、兵を足らし、民 之を信ず、と。

子貢曰わく、必ず已(や)むを得ずして去らば、斯(こ)の三者に於いて、何をか先きにせん、と。曰わく、兵を去らん、と。

子貢曰わく、必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて、何をか先きにせん、と。曰わく、食を去らん。古(いにしえ)自(よ)り皆死有り。民 信ずる無くんば立たず、と。(「顔淵第十二」7)

 

  (解説)

子貢が為政者の心構えを質問した。孔子はこう答えた。「民の生活の安定、十分な軍備、そして政権への信頼である」と。

すると子貢は質問した「三者のうち、どうしても棄てなければならないとしましたならば、まずどれでしょうか」と。孔子は「軍備だ」と答えた。

子貢はさらに質問した。「では残った二者のうち、どうしても棄てなければならないときは、どれでしょうか」と。孔子はこう教えた。「生活だ。古来、人間はいつか必ず死ぬ。もし為政者への信頼がなければ、国家も人も立ち行かないのだ」と。」論語 加地伸行

 

 

 

「政」、政治を司る為政者の心構えということであろうか。

 

最後の節の原文は「民無信不立」、この読みは諸説があるようだ。民の社会は「信用」「信頼」を無くして成立しないと直接的に読みたいところであるが、そうであるからこそ、為政者は民から信頼を得なければならないとの訓戒のようにも聞こえる。

   

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫