「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

人口減、消滅しそうな自治体、行き詰る政策、国の限界

 米国の大学で、ガザ地区に攻撃を続けるイスラエルに抗議する活動が広がっているといいます。学生がキャンパス内にテントを張りパレスチナ支持を訴え、これに対して大学側は学生の排除に動き、多数の学生が逮捕されている事態になっているそうです。

全米の大学でイスラエルへの抗議活動拡大、学生数百人が逮捕 | ロイター

 ニューヨーク大学は、校内の緊張が高まっているなどとして対面授業を中止し、年内は対面とオンラインを併用する形で授業を行うと発表したといいます。カリフォルニア州ののカリフォルニア工科大学ハンボルト校ではパレスチナ支持のデモ隊が敷地内の建物を占拠したためキャンパスが閉鎖されたそうです。

 各地の大学でテントを撤去され、学生が逮捕されているといいます。こうした動きが次の抗議活動につながっているようです。

 

 

 かつてのようにこうした若者たちの抗議活動、そのエネルギーが反戦ムードを醸成し、政治を動かすことになるのでしょうか。大統領選を控えるだけに気になります。

 日本の大学に、米国のような抗議活動が飛び火することはあるのでしょうか。学生たちが声があげ、顕在化しつつある様々な問題に抗議してもいいのかもしれません。

 ガザの問題、気候変動やエネルギー問題、自分たちの未来が古ぼけた政治によって歪められることに抗議してもよさそうです。進まない政治改革、抵抗勢力と化す自民党、どうにも止まらなくなった円安.... 古い政治が解決できなくなった問題の例をあげたらきりがありません。

地方自治体消滅

 人口減少も大きな問題です。民間組織の「人口戦略会議」が、744自治体が消滅する可能性があるとの分析結果を公表しました。全体の4割超にも及び、楽観視できる状況ではないと警鐘を鳴らしているといいます。

全体の4割超の744自治体が「消滅可能性」 東京都豊島区は脱却も「ブラックホール型」に分類 - 産経ニュース

 今回の調査では、人口移動がある場合とないと仮定した場合の女性減少率を組み合わせ、自治体を「消滅可能性自治体」「自立持続可能性自治体」「ブラックホール自治体」「その他」に分類したそうです。言葉が独り歩きしそうな感じます。いずれにせよ、政府の少子化対策を含め深刻な問題なのでしょう。

 

 

国の支援で躓いた青森市コンパクトシティ構想

 少子化、人口減の問題は地方では過疎化となり、税収は減り、人手不足も深刻になり、インフラ維持・整備にも問題が生じているといいます。

豪雪地帯の青森県弘前市では高齢化率が3割を超えており、除雪の担い手不足が課題となっている。(出所:毎日新聞

 そんな中、国は「コンパクトシティ」構想を推進しているといいます。無秩序に広がった都市を「コンパクト化」するもので、住宅や商業施設などを一定の範囲に集約することでコストの抑制や都市機能の維持を図る狙いといいます。全国の市町村の約3割に当たる527の自治体がその実現のために「立地適正化計画」を作成しているそうです。この計画では、住む場所を誘導する「居住誘導区域」と、公共・商業施設を集積する「都市機能誘導区域」を決め、併せて公共交通ネットワークも再編・効率化するといいます。一方、早くも失敗事例も確認されているようです。

地方のミライ:コンパクトシティー30年 失敗の本質は/上 | 毎日新聞

コンパクトシティー」のはしりとして注目されたのが青森市の取り組みだったといいます。当時の市長が、市の中心に商業施設などを集め、その周辺を居住エリアに、その郊外は開発を制限して豊かな自然を保護するという3層に分けた都市計画をつくったそうです。すると国がこの計画に注目、国の事業として推進するようになったといいます。

 国が前面に出てくると、補助金を出す代わりに、訳のわからない指標で管理したがるとといいます。都市の特性はさまざまなのに、国は一律の指標を定めて計画を管理したがる... さらにその数字で成果をアピールすることを求める... 成果をアピールできないと次はなくなってしまう..... 

コンパクトシティーの意味合いは次第に変わる。郊外に広がった居住地を中心部に集めるという概念は薄れ、商業主義を前面に打ち出した「中心地のにぎわい」という議論に偏っていった。佐々木氏は「街の真ん中さえ栄えればよいと誤解する市町村がいっぱい出てきた」と振り返る。(出所:毎日新聞

 国の支援で、市の中心にねぶた文化施設や市民ホールなどのハコモノが整備されていったそうですが、人口減少が進む中、集客は進まず、街中心部のにぎわいは年々失われていくようになったといいます。

コンパクトシティーという言葉だけが独り歩きし、僕から言わせると大変心外だ」、と当時の市長がこう述懐しています。

 

 

論語に学ぶ

哀公(あいこう) 有若(ゆうじゃく)に問いて曰わく、年饑(う)えて用足らず。之を如何せん、と。有若対(こた)えて曰わく、盍(なん)ぞ徹せざらんや、と。曰わく、二も吾猶足らず。之を如何ぞ其れ徹せんや、と。対えて曰わく、百姓足らば、君 孰(たれ)と与(とも)にか足らざらん。百姓足らずんば、君 孰と与にか足らん、と。(「顔淵第十二」9)

 魯の国の君主哀公が弟子の有若に「近ごろ不作で費用が不足だ。どうすればよかろう」と問いました。有若は「どうして税率を十分の一になされませぬか」と答えました。哀公は「十分の二の税でも不足なのに、それをどうして十分の一に下げられようか」と答えます。有若は「もし民の生活が十分でありますならば、君はだれと不十分となるのではありましょうか。もし民の生活が不十分でありますならば、君はだれと十分となるのでありましょうか」といいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 税金を国民のために有益に使うのではなく、ムダつがいばかりであれば、いくら税収があっても足りません。それを隠して税不足を口実にするようではとても生産性ある仕事とは言えません。

 

 

「地方行政は生活と直結している」といいます。そこに着目し活動する若者たちが日本にはいるようです。

地方議員という選択。暑すぎた夏。日本の気候変動対策のいま。 - Patagonia Stories

社会課題についてみんなで話し合い、NPO/NGO/学生団体や各党の政治家と若者が気軽に対話する「民主主義ユースフェスティバル」といったイベントも国内で生まれていて、東京で2回目の開催を経て、今後は地方での開催が予定されています。(出所: Patagonia Stories)

 既得権益を守るような古ぼけたままの政治ではいつまで経っても何も変わらないのかもしれません。全国一律の政策を上意下達で押しつけるのではなく、地域がその特性に合わせて政策を進められるようになればいいのかもしれません。世代交代を進めて若い力がそれらを推進していくことができたらよさそうです。

 米国の学生運動も年老いた政治への反発があったりはしないのでしょうか。

 

「参考文書」

米名門大学でデモ拡大、コロンビア大とエール大の厳しい対応で拍車 - Bloomberg

米大学でガザ攻撃への抗議デモ続く 各地に拡大 | BBC NEWS JAPAN

 


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コンパクトシティー計画、全国市町村の3割で 住宅や商業施設を集約 | 毎日新聞

「連座制」与野党の溝鮮明に 政活費、消極自民に公明不満―政治改革:時事ドットコム