「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

素直に喜べない株高、実力以上の高値、進まない自信の回復

 

「本当はミャンマーで教育者になりたかったけど、安定して働ける状況ではなかった」、技能実習生として来日したミャンマー人がそんな心情を吐露しています。

[新連載]ミャンマーが“最後のとりで” 人材確保、苦悩する日本:日経ビジネス電子版

 この人は大学では数学を専攻していたそうです。本来であれば、ミャンマーの将来を担うこともできたはずなのに、政情不安などで将来選ぶことができないといいます。

 政治の混乱が、その国の民を苦しめるという典型なのかもしれません。

 

 

 記事によれば、人手不足の日本にあって、人材確保に向けミャンマーが最後の砦といいます。かつて多くの東南アジアの人々を集めることができていたのに、今ではその目は、地理的にも近いオーストラリアやシンガポールに向いているそうです。世界を巻き込んで東南アジアの人材争奪戦が激化しているといいます。

 日本の魅力が急速に失われているようです。長期低迷し、国際競争力の低下が顕著に示されています。

実力不足の株高

 一方、日経平均株価が高騰を続けています。日本経済が回復し、力強さを取り戻しているのかといえばそうでもないようです。世界経済の中にあって、日本株相対的に選好されているだけとの指摘があります。

日経平均33年ぶり高値、経団連会長「喜んでばかりいられない」 | ロイター

 この株高について、「素直に喜びたい気持ちはあるものの喜んでばかりはいられない」と経団連の十倉会長が述べたといいます。

日本経済の絶対的な実力が上がってきたかといったら「そこまでの自信はない」。(出所:ロイター)

 また、もう少し中長期な目で日本経済を評価すべきと十倉会長は指摘、これから日本もインフレが続くようなことがあれば、金融政策の修正や変更も当然検討されるだろうとも語ったそうです。

 デフレ脱却と語られる物価高も、周回遅れのインフレ、その入り口にあるとの懸念が示されているのでしょうか。

古い政治

 そうはいっても、国の税収は過去最高を更新しています。それなのに、お金が不足しているといっては増税を口にするのが今の政府です。

「入るを量りて出ずるを為す」、税収の額を計算し、それに応じて支出の計画をたてればいいはずなのに、それも出来ないのであれば、知恵なしといっても過言ではないような気がします。

「三人寄れば文殊の知恵」といいます。知恵が無いなら、他者の力を借りて、知恵を拝借するのも決して悪いものではないはずです。それもできないのが今の政府のようです。

 

 

 会期末が迫る国会で、防衛費増額に向けた財源を確保するための法案に野党が反対し、「緊迫の度を加えた展開になることが予想される」と首相が自民党の役員会で述べたそうです。こんな時に野党との対決色を強める必要もないような気がします。

岸田首相 “終盤国会は緊迫の度を加えた展開予想” 党役員会で | NHK

  一方の野党も野党です。野党第一党の座を争っている場合でないのでしょう。

 また、早くも立民のなかでは、ポスト泉が党の関心事になっているそうです。

野田元首相に党代表待望論 泉氏発言が契機、反発も | 共同通信

 解散総選挙が近づいているのでしょうか。変わらない古い政治のままです。

 こんな状態のままだから、国の魅力は低下し続け、高い税負担、苦役に国民は耐え続けなければならないのでしょう。

論語に学ぶ

冉有(ぜんゆう)曰わく、夫子は衛の君の為にするか、と。子貢曰わく、諾。吾 将に之に問わんとす、と。入りて曰わく、伯夷(はくい)、叔斉(しゅくせい)は何人なるや、と。曰わく古(いにしえ)の賢人なり、と。曰わく、怨みたりや、と。曰わく、仁を求めて仁を得たり。又 何ぞ怨みん、と。出でて曰わく、夫子は為にせず、と。(「述而第七」14)

 弟子の冉有が「孔子は衛の君主を助けようとされるだろうか」といいました。同じく弟子の子貢は「よろしい。私がそのことをおたずねしてみよう」と答えました。子貢は孔子の居室に入り、「伯夷、叔斉はどういう人たちでありましょうか」と質問します。

 孔子は「古の賢人である」と答え、子貢はさらに「恨みを抱きましたか」と質問します。孔子は「仁(人の道)を求め、仁という生きかたを得た。どうして恨んだりすることがあろうか」と答えました。子貢は退出して冉有に「孔子は助けようなどと思っておられない」と告げたといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 当時の衛国は輒(ちょう)が君主の位にあり、孔子がその君主を助けていいのだろうかと、冉有や子貢の疑問をもっていたといいます。

 先代の霊公は後継ぎであった輒の父親を追放し没したので輒が君主になったそうです。輒は、霊公没後、帰国しようとした父の入国を拒みますが、それが衛の内戦へとつながっていきます。孔子はどちらの側にもつくことはなかったそうです。

 

 

台湾問題

 台湾の第2野党の民衆党主席の柯文哲 前台北市長が来日し、早稲田大で講演したそうです。「第三の勢力として新しい政治文化をつくっていく」と述べといいます。

「新たな政治文化つくる」=台湾総統選の野党候補が講演―東京 - 海外経済ニュース - 時事エクイティ

柯氏は来年1月の台湾総統選に出馬するそうです。また現在の台湾政治について、与野党が「台湾の独立か、統一かの問題に執着し、イデオロギー論争ばかりやっている」と強調し、短期的な利益を追求していると批判、変革の必要性を訴えたそうです。

 また、中国側との交流は、短期的には有権者の支持拡大にはつながらないが「長期的には台湾の利益になる」と主張し、政治的な交流は難しいとしても、経済・文化面での中国との交流は推進するべきとの考えを明かしたそうです。

 こうした勢力が現れるのも自然な流れのような気がします。

 台湾問題を気にかけることは大切なことなのでしょう。しかし、問題解決はその国の民にゆだるべきのような気がします。当事者なのですから。

 実力以上に他国の問題に首を突っ込むことは避けるべきではないでしょうか。そのしわ寄せが自国民にくるのであれば、なおさらで、好ましいことではありません。

 

「参考文書」

柯文哲氏、中国との文化交流訴え 台湾総統選野党候補、早大で講演:東京新聞 TOKYO Web