「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

気になる衆院補選、新しい日本、驕れる自民が政権を失うとき

 衆院補選が熱を帯びているようです。与野党対決となる保守王国島根1区ではそれぞれの党首が最後のアピールをしたといいます。どんな結果になるのか興味津々です。

 逆風にさらされる自民党、首相はかなり危機感をお持ちのようにも見えます。あちこちに登場しては、饒舌になったり、熱を込めて語っているようです。

岸田首相「自民は結党以来の深刻な状況。歯がゆい場面あるのでは」 [自民]:朝日新聞デジタル

遅い、歯がゆい、という場面が多々あるのではないか。内外の様々な事態に対応しつつ、党内の合意をまとめていくプロセスに取り組んでいることに理解をいただきたい。自民党に対する信頼回復がなければ、この国には責任政党も、国民政党もなくなってしまう。こうした緊張感で、次世代のために、不退転の決意をもって、自民党再生に取り組んでいく。(出所:朝日新聞

 言葉も過ぎれば、傲慢に見えてしまいます。首相は何をいわんとしているのでしょうか。驕るのではなく、もう少し謙虚さがあれば、映る姿は違うかなと思います。

 

 

 エマニュエル駐日米大使が日本への称賛の言葉を惜しまないそうです。岸田政権が進めてきた安全保障強化の成果を強く後押ししているようにも見えるといいます。

【コラム】米国の対日認識、米大使がアップデート求める-リーディー - Bloomberg

岸田首相は「20年どころか2年で、抗議も一切受けず、最も急進的な改革を実施した」とエマニュエル氏は指摘。岸田政権下の変化として、防衛装備輸出規制の緩和や防衛費の対国内総生産(GDP)比2%への引き上げ、反撃能力の整備計画、韓国との関係改善などを挙げた。(出所:ブルームバーグ

 さらにエマニュエル大使は民主主義国家における政府の方針に国民が示す反応の違いに言及し、東京の街頭での静けさ、フランスや韓国、米国の大学での抗議行動を対比させ、「私はある種の感銘を受けている」と語ったといいます。

 どれもこれも米国側にとっては好ましい事実なのでしょうが、ちょっと考えさせられてしまいます。

 首相は安倍路線を継承し、安倍元首相が成し得なかったことをいとも簡単に進めることができたようです。そこには元首相の成果であったのかもしれません。

日本は米国の占領下にあったという歴史があり、日本政府は対等なパートナーとして扱われることを望んでいる。(出所:ブルームバーグ

 米中がひどく対立するになり、その恩恵を授かったのが首相ということなのでしょう。

 そんな首相を米国は国賓待遇で出迎えてくれました。自民党の宿願に一歩近づいたということなのでしょうか。それに対して礼をもって返せば、願望の実現に近づいていきそうです。しかし、一歩間違えれば、米国の手先になりかねません。対等であるということは、率直に語り、時に諫め、批判する勇気がなければ成立しないのかなと思います。

 

 

論語に学ぶ

学びて思わざれば、則ち罔(くら)し。思いて学ばれば、則ち殆(まど)う。(「為政第二」15)

 知識や情報をたくさん得ても思考しなければ、どう活かせばいいのか分からない。逆に、思考するばかりで知識や情報がなければ、一方的になり、独善的に堂々巡りに陥り、疲労困憊し不安定な妄想で終わってしまうと、孔子はいいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 偉人をまねてみなければ、より秀れた新しさが生まれるはずもないといいます。しかし、深い思慮もなく模倣することは危うさもあるようです。一方的になり、度が過ぎれば偏るようになり、また独裁的になったりすることもあるのかもしれません。

 安倍元首相が良くも悪くも偉大なリーダーであってことはまちがいなのでしょう。かと言ってそれを無批判に模倣したり、追従することがあってはならないのでしょう。しかし、首相はその危険を冒しているのかもしれません。元首相には清濁併せ吞むところもあったのでしょうが、それはまねるべきではないのかなと思います。今は、良いものは良いものとし、悪しきことは悪しきこととして分別することが求められていそうです。

 

 

 政治改革、政治資金規正法改正論議がスタートしたようです。しかし、自民党と野党の間で隔たりが鮮明となり、意見が対立しているといいます。 また連立を組み公明党はいら立ちを募らせているそうです。

公明、裏金自民と距離 規正法で不満、補選応援も控えめ:時事ドットコム

 政治資金規正法改正に向けた与党協議の合意を先送りし、衆院補選では唯一の自民候補への応援も控えめになっているといいます。悪しきを悪しきにできず、独善的になる自民党に愛想をつかしているのでしょうか。

 やれやれです。首相は一体何をしたいのでしょうか。この国をどこに導いていこうとしているのでしょうか。

 

 

 この補選で自民党が政権を失うかもしれないと思わせる結果が望ましいのかもしれません。その現実を突きつけられてはじめて首相、そして自民党の危機感が本物になり、真に変わろうとする気になるかなと思います。それが「新しい日本」に変わっていくためには避けては通れない道ではないでしょうか。

 

「参考文書」

「連座制」の仕組みに隔たり 与野党、企業献金でも溝―衆院政治改革委が初開催:時事ドットコム