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【円安と安いニッポン】驚愕の営業利益5兆円、トヨタ独り勝ちの様相

 トヨタ自動車の昨年度 2023年度の営業利益が5兆3500億円となり、日本の上場企業で初めて5兆円を超えたといいます。売上にあたる営業収益は前年度から21.4%増の45兆953億円で、過去最高を更新したそうです。販売が好調だったことに加え、円安が要因だといいます。

トヨタ 2023年度決算 営業利益5兆円超え 日本の上場企業で初 | NHK | 自動車

 想定外の円安効果ということなのでしょうか。このくらいの円安水準であれば、かつて夢想したトリクルダウンも起きることがあると思わさせるトヨタの決算です。

 

 

 一方、今期 2025年3月期の営業利益は20%減の4兆3000億円を見込むとしたといいます。

トヨタ、「足場固め」で今期営業益2割減予想-市場予想下回る - Bloomberg

 認証不正の影響も考慮、販売台数の減少を見込み、また、労務費の増加、成長領域への投資拡大などが利益の押し下げ要因になるといいます。また、為替前提を前期実績と同に1ドル=145円に設定することの影響もあるそうです。

 実質賃金が24カ月連続のマイナス

 この円安にも光と影がありそうです。トヨタなど優良な輸出企業には恩恵を授け、その一方では円安の悪影響を受ける人たちもあるのでしょう。

 実質賃金が24カ月連続のマイナスになり、景気が低迷していたリーマンショックの時期を超え、過去最長を更新したといいます。

実質賃金減、過去最長に 24カ月連続、リーマン期超え | 共同通信

 物価高騰が続きに消費者物価指数は3.1%上昇しているの対し、賃金上昇が追い付かず、名目賃金は伸びているはいるものの、0.6%増にとどまっているそうです。今年の春闘では賃上げが相次いでおり、実質賃金がプラスに転ずるかどうかが焦点になるといいます。専門家たちの予測では夏以降といわれていますが、想定外の円安が物価に悪影響とならないことを祈るだけです。

論語に学ぶ

原思(げんし)之が宰と為る。之に粟(ぞく)九百を与う。辞す。子曰わく、毋(なか)れ。以て爾(なんじ)の鄰里郷党(りんりきょうとう)に与えんか、と。(「雍也第六」5)

 弟子の原思が、孔子の知行地の頭となりました。孔子は粟九百を与えましたが、原思は多過ぎると思ったのか、それを受け取りませんでした。すると孔子は「給与の水準としては世間と同程度なのだから断るな。多いと思うなら、お前の近郷近在の困っている者に分けてやればいいではないか」といいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 原思は、貧しい学究だったといいます。それを知る孔子は給与面で多少手心を加えたのではないともいわれます。

「君子は急を周して富めるを継がず」、君子 教養人は生活の危急にある者に手厚く援助はするが、富める者に対してさらに継ぎ足すようなことはしないともいいます。

 

 

 円安、為替が、富める者をさらに富ますようになるのだけでなく、困っている者も広く助けるようになればいいのでしょう。その頃合い、水準は難しそうです。為替はコントロールされるものではないにしても、当局が注視することは怠れないのでしょうし、施策を機動的にして不公平を最小化する努力を続けるべきなのかもしれません。

 円安、為替対応ばかりでなく、ここ最近、うまく機動的に対応できていないことが目に付くようになっています。

 安直な発想で物事を進めてはどうにもいかなくなり、行き詰まって頓挫する。甘々の戦略でスタートしてはプロセスも軽視、制度設計、システム設計も甘くなって、まったく人間の行動が考慮されていないものが世に実装されていく。

これでは問題だらけの世になるのも当然かなと思います。

 

 

 JR東日本みどりの窓口の縮小計画を凍結すると発表していました。有人窓口を減らして、デジタル化、チケットレスへの移行を目指していたそうですが、うまくいっていないようです。

 LINEヤフーはLINEとPayPayのアカウント連携を延期するそうです。不正アクセスによる情報漏洩が何度も発生する事態に陥ったことの影響もあるのでしょうか。

  何か欠けているピースがあるように思えてなりません。独り勝ちのトヨタを分析すれば、そこにヒントがありそうな気もします。

 

「参考文書」

JR東日本、みどりの窓口縮小を凍結 デジタル化進まず - 日本経済新聞

LINEとPayPayアカウント連携は延期へ LINEヤフー セキュリティ強化に150億円 | Impress Watch