全世界株指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」において、日本株が14銘柄減ることになるそうです。世界の株式が成長が続くなか、日本株の相対的な存在感が低下しているといいます。
日本株、円安で薄まる存在感 全世界株指数から14銘柄減 今堀祥和 - 日本経済新聞
円安でドル建ての時価総額が目減りしていることが理由のようです。こんなところにも円安の悪さが影響しているようです。
史上最高を更新し、期待先行で続伸するといわれた日経平均株価もこのところさえません。これまでは、円安は輸出企業にとって利益の押し上げ要因となるため、日本株にとってもプラスに働くとされていました。しかし、過度な円安の進行は原材料やエネルギーなどの輸入コストの上昇につながり、内需系企業の利益や個人消費を圧迫する恐れがといいます。最近では、後者の説が勢いを増して、株式相場に悪影響となっているようです。
ブラックロック、円安進行が海外投資家の日本株離れを招く恐れ - Bloomberg
足元では少しばかり円高に振れているようですが、まだやはり円安基調というところでしょうか。さらなる円安を期待する動きがある一方で、もう一段円高に振れれば、日本株ももう少し活気づくとの声もあるようです。
なるべく早くに落ち着いて欲しいものです。感覚的には、しばらくは緩やかな円高基調に転ずれば、輸入コストも落ち着き、企業、生活者双方にとって好ましいことではないでしょうか。
過度な円高ではなければ、輸出企業にとっては不利になることもないのでしょう。円安効果は剥落するかもしれませんが、しっかりとしたモノが作られ、顧客をがっちり抑えられているのであれば、販売数量が極端に落ち込むこともなく、影響をミニマイズできるはずなのですから。
ここ最近の円相場の混乱は、日銀植田総裁の発言からはじまりしました。様々な憶測を呼び、円安円高の是非論が過熱します。何が真実で、正解かはよくわかりません。
これは「インフレ税」の始まりなのか。実は減り出した日本の政府債務 | Business Insider Japan
日銀の金融政策が為替のためはないにしても、それによって円相場が動き、世情も動くのも事実のようです。
永濱利廣氏「円安を貿易赤字の主因に据えるのは過度な悪玉論」:日経ビジネス電子版
日銀はしっかり金融政策を運営し、また政府においても経済政策を適正に遂行していただきたいものです。
論語に学ぶ
子 罕(まれ)に利を言うとき、命(めい)と与(とも)に、仁と与にす。(「子罕第九」1)
孔子もときたま「利」に言及することがありましたが、その場合には必ず「命」あるいは「仁」と与にしました。
天下のために「利」が図られれば、安民に近づくということのようです。一身の利益をはかるのではなく、民が利するようにしなければ、それは道ではないというのが孔子の考えのようです。
さて、政府・日銀はどこまで私たち民のことを考えて政策運営してくれているのでしょうか。
円安理由のメーカー値上げ広がる 食品で上げ幅3割超 5月、単月で過去最高 - 日本経済新聞
日銀の一挙手一投足に様々な方面から注目が集まっています。それは海外を含めてです。
「待望」のインフレを手にした日銀、立ちすくんでいる場合ではない | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
政治が安定し、日銀とともに正常化への歩みを確実なものにできれば、円相場もやがて安定してくれるかもしれません。それに加え、企業も市場からの期待に応えて改革を確実に進めていければ、株式市場も持続的な成長が続くことになるのでしょう。今が踏んばり時のようです。
企業改革が躓き市場の期待を裏切ることはもってのほかです。それは政治改革においても同様なのでしょう。ちょっと心配です。期待がそんな長い時間続くことはないのだろうから。
「参考文書」
自動車株にも効かぬ円安、行き過ぎで蜜月に亀裂-背景に円正常化警戒 - Bloomberg
上場企業、2025年3月期は4%減益予想 中国・欧州減速警戒 【イブニングスクープ】 - 日本経済新聞
ブラックロック、政策転換後の日本への投資機会を高く評価 - Bloomberg