株価が、日銀の内田副総裁の発言を受け、大幅上昇しました。明るい兆しのようですが、過去最高を更新し続ける米国株価のようになっていくのでしょうか。それともどこかで息切れを起こすのでしょうか。
目減り続く実質賃金
一方、実質賃金は21カ月連続でマイナス続きです。昨年2023年の実質賃金上昇率は-2.5%と前年の-1.0%に続いて大幅減少となっています。こちらは株価のようにはいかないようで、プラス圏に浮上にはまだ大分時間がかかるというのが専門家の見方のようです。
政府や経団連などは、今年の春闘で30年ぶりとなった昨年を上回る賃上げ率の実現を目指しているが、仮に昨年の水準を多少上回ったとしても、実質賃金上昇が年内に前年同月比でプラスに転じることはないだろう。実質賃金上昇への道のりはまだ遠く、それが実現するのは2025年半ば以降になると予想する。(出所:野村総合研究所)
なかなか厳しそうです。政府の対策にもまずさがあるようです。
子育て増税
少子化対策の財源を巡っては、1人当たり月平均500円弱の負担が生じると首相は答弁しつつ、「歳出改革と賃上げにより負担軽減の効果を生じさせるので、実質的な負担は生じない。『子育て増税』との指摘はあたらない」と強弁したといいます。
少子化対策支援金、国民1人500円弱負担…岸田首相「歳出改革と賃上げで増税にならない」 : 読売新聞
理解に苦しむ首相の答弁です。実質賃金の改善が思い通りに進まない中、首相が主張する実質負担ゼロは実現するのだろうかと疑問が沸きます。
再燃旧統一教会問題
旧統一教会問題が再燃しているようです。野党の追求を受ける盛山文科相は答弁を修正し、「記憶がない」と述べ、推薦状をすべて破棄したと明言したといいます。同じく関係が疑われる林官房長官も記憶外としているといいます。そんな岸田派議員たちを首相は更迭するそぶりも見せず、かばい、党内から反発の声が上がっているそうです。
「大平ハプニング解散」の再現? 文科相不信任案浮上で懸念も 政界の断面 | カナロコ by 神奈川新聞
「記憶も記録もない」、首相の言動を見ていると、首相の職責を全うできるのかと疑いたくなります。
論語に学ぶ
仲弓(ちゅうきゅう)子桑伯子(しそうはくし)を問う。子曰わく、可なり。簡なればなり、と。仲弓曰わく、敬に居(お)りて簡を行ない、以てその民に臨まば、亦(また)可ならずや。簡に居りて簡を行なわば、乃(すなわ)ち大簡(だいかん)なること無からんや、と。子曰わく、雍(よう)の言然り、と。(「雍也第六」2)
弟子の仲弓が子桑伯子に人柄について師に問うたところ、孔子は「まあよかろう。こせこせしないあたりが」と答えました。すると仲弓は「己に厳しく自律し、他者に対して寛大にして政治を行ないますれば、よろしいのではありますまいか。己に寛大、そのまま民にも寛大というのでは、「大簡」無秩序でありましょうが」と問いました。孔子は「その通りだ」といいました。
首相を筆頭に近頃の自民党議員たちはみながそろって、己に寛大になり過ぎていないでしょうか。国民に対しても、寛大であってほしいものですが、それはなさそうです。政治の無秩序化がどんどん進んでいきそうです。
体感治安悪化
刑法犯認知件数は2002をピークに減少を続けていましたが、22年に20年ぶりに増加に転じ、昨年も増加したといいます。また「体感治安」も悪化しているそうです。
刑法犯が2年連続増、コロナ前水準の70万件…10年間「体感治安」は7割が「悪化」回答 : 読売新聞
路上強盗や自転車盗などの犯罪」が増加、また傷害や暴行事件も増えているといいます。性犯罪などの「重要犯罪」も増加、改正刑法で処罰要件が見直された「不同意性交」「不同意わいせつ」が計8807件に上っているといいます。
警察庁が実施したアンケート調査では、「ここ10年で治安は良くなったと思うか」を尋ねと、7割以上の人が「悪くなった」「どちらかといえば悪くなった」と答えたといいます。
政治が乱れ、議員たちが規範を無視して好き勝手に振舞っています。こうした無秩序が社会にも伝播していなかと心配になります。
「参考文書」
【日本市況】円下落して株バブル後高値、緩和的姿勢と内田日銀副総裁 - Bloomberg