「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

物価高騰と賃上げ、政治家給与も賃上げへ、首相は6000円アップ也

 来年の春闘に向け、サントリービックカメラ明治安田生命など大手企業が賃上げを表明し始めています。この流れが定着、確かなものとなれば、日銀の金融政策にも好影響を及ぼし、政策修正に弾みがつくのでしょうか。それが円安是正につながり、物価安定に寄与していくことを期待したいものです。

 こうした流れに乗ってのことでしょうか、閣僚など特別職国家公務員の給与を上げる法案が国会に提出されたそうです。

本気なのか?岸田政権が狙う「政治家の賃上げ」 首相で月6000円アップ法案提出 世間知らずな金銭感覚:東京新聞 TOKYO Web

 この法案が成立すれば、今年4月にさかのぼって、首相や閣僚たちの賃上げが実施されるそうです。これから議論が始まるであろう所得減税に先んじることになるのでしょうか。減税は早くても来春以降での実施といわれています。

 

 

論語に学ぶ

樊遅(はんち)従いて舞雩(ぶう)の下に遊ぶ。曰わく、敢えて問う、徳を崇(たか)くし慝(とく)を脩(おさ)め惑いを弁ぜんことを、と。

子曰わく、善いかな問いや。事を先にして得ることを後にするは、徳を崇くするに非(あら)ずや。其の悪を攻(せ)めて人の悪を攻むること無きは、慝を脩むるに非ずや。一朝(いっちょう)の忿(いか)りに其の身を忘れて、以て其の親に及ぼすは、惑えるに非ずや、と。(「顔淵第十二」21)

 弟子の樊遅が孔子に従って舞雩壇附近へ遊覧に出かけたときのことである。樊遅が「どのようにすれば、人格を高め、心の中の悪を正しく、迷いを分別することができましょうか」と質問しました。

孔子は「なかなかいい質問だ。まず実行、その報いは後、これが人格を高めることではなかろうか。己の悪は責め、他人の悪を咎めない。これが心中の悪を正しくすることではないであろうか。かっとなって怒り、我を忘れて争い禍いが親にまで及ぶ。これが迷いではないであろうか」と答えました。

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 樊遅はできが悪い弟子といわれ、たびたび論語に登場しますが、孔子はその言葉で教え諭しています。

 首相もこうした言葉を学んでほしいものです。そうなれば「増税メガネ」といわれても、迷走しなくても済みそうです。権力者の徳のない行動が、社会を不安定化させ、国民相互における不信を助長するような事態は避けなければなりません。「まずは実行、報いはその後で」、これによって人格から高めて欲しいものです。

 

 

 政府が月内に取りまとめるを予定している総合経済対策で、介護職の処遇改善策として月6000円の賃上げをする案を検討しているといいます。

介護事業者「月6000円賃上げでは足りない」 厚労相は「妥当」 | 毎日新聞

 武見厚労相は「国民の皆さんの負担のあり方から考えてみても、6000円程度がおそらく妥当な線になってくると思う」と語ったといいます。

 介護職の賃金水準は他の産業と比較し低いとされています。それが首相の賃上げと同額というのはどうなのでしょうか。

 行財政改革を着実に推進するということから、首相の給与の内3割は国庫に返納されているそうですが、月額の給与額面は201万6千円になるそうです。これに対し、2022年の賃金構造基本統計調査によると、施設勤めの介護職員の給与は月24万2200円といいます。

 並みの人にはできないことをいとも簡単に平然として実行できるのも、人徳に欠けるという証なのかもしれません。このままでは社会に不満ばかりが溜まっていくことにならないでしょうか。

 

  

「参考文書」

所得減税、規模・財源が焦点 消費下支えへ給付とセット―岸田政権:時事ドットコム

岸田首相、政権浮揚へ「減税カード」 補選意識、自民に異論も:時事ドットコム