「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

目減りする実質賃金、賃上げは期待通りになるか、ピークアウトしない物価、それでも増税するのか

 

「働く人1人あたりの基本給や残業代などの現金給与総額は27万5787円」、厚生労働省の9月の「毎月勤労統計調査」による結果といいます。前年同月と比べて2.1%増えているそうですが、物価上昇が3%を超え、賃金の上昇が追いついていないといいます。

 物価上昇を反映させた「実質賃金」は、6か月連続でマイナスで、9月も前年同月比で1.3%の減少しているといいます。

賃金どうなる?エコノミスト 大学教授 元日銀幹部 見解は【コラム】 | NHK | コラム 株・円相場

 記事によると、経済の専門家たちの多くは、賃金は上昇するが、物価の上昇を上回るまでには至らないと予想しているといいます。

「日本企業は国内のマーケットが縮小し、自身の成長にも不安を抱えているので、賃上げや積極的な投資を避けてきた。企業が賃上げをしないから消費者の所得が増えず、マーケットが縮小するという悪循環に陥っている」と指摘するのは、慶應義塾大学教授の 小林慶一郎氏、さらに「将来への悲観論を変えなければならない」と述べています。

 的を得た指摘ではないでしょうか。

 

 

この30年間、日本ではずっとゼロ金利政策が続き、リスクをとらなくても企業経営が成り立つ”ぬるま湯”の状態が続いてきた。その結果、少子高齢化社会保障、財政の持続性といった問題への対応も先送りされてきた。(出所:NHK

少子高齢化」「社会保障」、「財政の持続性」、これまでの政府がこうした問題に真摯に向き合わず、結果になり、これで良い方向に向かうんだと国民が納得する策が講じられることがなかったというなのでしょう。もう政府は成長戦略を語らず、これらを優先課題とし、この解決のみに注力すべきなのでしょう。

「雇用の流動化」「人への投資」、こうした施策が必要と専門家の多くが述べているそうです。成長分野に人材がシフトする流れができれば、賃上げを促し、日本経済の成長力を高めることができるといっているそうです。そうなのかもしれませんが、企業にとっても、国民にとっても「リスキリング」するにしてもコストはかかり、努力して「学び直し」して得た知識が給与アップにつながるのかとの不安もあるのではないでしょうか。将来不安が社会に残って入れば、チャレンジしようとする気が萎えないでしょうか。

論語に学ぶ

 弟子の子貢が「政」を問うと、孔子は、「食、兵、これらを民が信じること」と答えます。すると子貢と孔子は、この三者についての優先順位を問答し、為政者への信頼がなければ、国家も人も立ち行かなくなるとし、「信」を第一にあげます。次にあげるのが「食」、食がなければ生活は成り立たないからとします。そして、優先順位が一番低いのが「兵」軍備といいます。(「顔淵第十二」7)

dsupplying.hatenadiary.jp

 内閣の支持率が下落しています。共同通信による全国電世論調査で、支持率が前回調査から4.5ポイント下落し、33.1%となり過去最低を更新したそうです。また、不支持はが51.6%となり、内閣発足以来初めて半数を超えたといいます。

内閣支持33%、不支持51% 共同通信の世論調査: 日本経済新聞

 世論調査の数字がすべてではないのでしょうが、数字を注意して分析し、対策すべきなのでしょう。

 

 

統一教会問題を巡る被害者救済新法についてはマインドコントロール(洗脳)された人の寄付の取り消し規定が必要との回答が75.8%に上った。政府は洗脳下での禁止規定を新法に明記しない方針だ。(出所:日本経済新聞

 また、問題ある閣僚たちの更迭について「遅過ぎた」との意見が多く、岸田首相がいつまで続けるべきかの問いには「できるだけ早く辞めてほしい」が30.2%で最多になったといいます。また自民党の支持率も前回から7.0ポイント減少し、34.7%になったそうです。

 質問の仕方によるのでしょうが、その数字の意味するところを正しく取られる必要があるのでしょう。

 政府が進める防衛力強化については、日本が反撃能力(敵基地攻撃能力)を持つことに賛成と回答した人は60.8%になったといいます。ただ内閣支持率の改善には寄与していないとみていいのではないでしょうか。

 また食料品などの値上げが「非常に打撃になっている」との回答は前回調査からほぼ横ばいで28.4%とだったそうです。物価高騰が収まる気配をみせず、この数字に甘んじていいのか気になります。賃上げが期待通りに進むのであれば、目を瞑ってもいいのかもしれませんが、期待外れとなったときの影響は大きくなることはないでしょうか。

 孔子の教えもまんざらではないのでしょう。首相は国民からの信用獲得のため、この先何を実行するのでしょうか。防衛費増額のために、賃上げの先行きが不透明な中で、増税する選択はないのでしょう。これ以上の我慢を強いたら、「信」を失うことにはならないでしょうか。

 

「参考文書」

岸田首相「防衛費GDP2%、27年度に」 財源は年内決着: 日本経済新聞