昨年11月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比3.8%減少といいます。実質賃金の減少は8カ月連続になったそうです。
現金給与総額は11カ月連続で前年同月を上回っていますが、物価上昇のペースに賃金が追いつかず実質賃金はマイナスが続いているといいます。
国は「インフレ率を超える賃上げ」を経済界に直接要請しました。
増税、金利上昇、円安によるコストアップ、この環境下で企業はどこまで踏み込んだ対応ができるのか、またそれを持続的なものにすることができるのか、注目されます。
開いたパンドラの箱、金利の行方
日銀の金融政策決定会合が今月17、18日に開かれるそうです。現段階でさらなる政策の修正があるとの見方は少ないようです。それよりは、黒田総裁の後任人事の方に関心が集まっているようです。
一方、先の日銀の政策修正を受けて、早速、新発10年国債金利が0.5%に上昇したそうです。約2週間半で「上限」に到達し、市場では、海外金利が急低下しない限り、海外勢を中心とした円債売りが断続的に続く「日銀アタック」が再燃するとの見方が出ているそうです。
アングル:長期金利が上限0.5%に到達、「日銀アタック」再燃か | ロイター
基本的には日銀が各種オペを総動員して抑えることが可能だが、売りと買いがぶつかる攻防戦がしばらく続くのではないか」という。(出所:ロイター)
早くも市場は金利上昇を見越して、準備を始めているのでしょうか。0.5%は通過点に過ぎず、今後は低下するよりも、さらに上昇するリスクの方が大きく、今、国債を買うインセンティブはないという専門家がいます。
また、「大企業中心に3%超の賃上げが行われ、インフレの上振れや中国の経済再開の恩恵もあって、今年の日本経済は悪くなさそうだ。日銀もどこかでYCCイールドカーブコントロールの変動幅拡大やマイナス金利の解除を行う可能性がある」という見方をしているといいます。
別の専門家は、「日銀はパンドラの箱を開けた」といい、「市場にさらなる政策修正の思惑が出れば、変動幅のさらなる拡大もあるかもしれない。日銀は意図せずして、YCC撤廃に向けた事実上の一歩を踏み出したのではないか」と述べているそうです。
専門家たちの見立て通りに現実は進むことになるのでしょうか。いずれにせよ、日銀は意表をつく行動ではなく、対話することが求められているのでしょう。
世の中には様々な専門家がいます。専門家の見立てはどこまで正確なのでしょうか。
防衛の専門家はいいます
増税に頼る防衛費増額には断固反対なのですが、その根拠は気になるものです。
「もしも中国が台湾に侵攻すれば......、そしてその時日本は」と、元国家安全保障局次長が語っています。
台湾有事はあるか、そしてその時日本は 兼原信克:時事ドットコム
習主席の性格を分析し、中国軍の優位性を指摘し、その対応策をあげます。専門家による見立てということでしょうか、それともシミュレーションなのでしょうか。
NATO水準のGDP比2%の防衛費が実現できれば、岸田首相は戦後史に残る大首相になるそうです。このお金で日本がやるべきことは山ほどあるともいいます。
この専門家によれば反撃力など当たり前のことだそうです。「撃たれたら撃ち返す」のは個別的自衛権の範囲内ともいいます。
医者も足りない。台湾戦争では数千人、数万人の将兵が死傷する。防衛医大の医師だけで足りるはずもない。どうするつもりなのか。戦死したり、あるいは負傷したりして退職した後の自衛官たちの家族の生活を万全にする予算もない。そもそも、どうして命を懸けて国を守る自衛官の給料が警官や消防士より低いのか。肉片となって帰ってくる将兵のDNA鑑定能力も極めて低いままだ。これでは士気も下がるだろう。(出所:JIJI.com)
ただ驚きます。最悪を想定することも必要なことかもしれませんが、こんな見立てで防衛費の議論があっていいのかと思えてしまいます。
「政治家が「国民の命を守る」と言うのは簡単だが、具体的施策がなければ国民の信頼を裏切ることになる」と、この専門家はいいます。
お金もないのに、争いに巻き込まれることが無謀なことではないでしょうか。どんなに武器を揃えたところで、いざぶつかり合いになれば、多数の犠牲者が出るということなのでしょう。
それを避けなければ「国民の命を守れない」というのが結論であるべきではないでしょうか。どんな手段を使っても断固争いを阻止する、それが日本の役割で、それなくして国民を守ることはできないはずです。自衛隊員も国民であり、それを使い捨てるような思想があれば、それは先の戦時中と何ら変わりません。こんな発想しかないのでしょうか。
論語に学ぶ
君子は人の美を成す。人の悪を成さず。小人は是に反す。(「顔淵第十二」16)
君子 教養人は、他者の美徳を達成させるし、悪名があればそれを消滅させる。小人 知識人はこれと全く逆のことをすると意味します。
様々な専門家が様々な見立てを立て、この先を予測します。どれが正しいことかはわかりませんが、ただ行きつく未来はひとつしかありません。
未来はただひとつ
願う未来は、安寧であって欲しいし、そうあるために、今すべきことは、生じるリスク、課題を軽減できるかということではないでしょうか。
別な専門家はいいます。遠くない将来、中国のGDPが米国を上回り、日本は先進国から脱落するといいます。当たらないかもしれません。
ただ米国一辺倒を見直さざるを得ないときがやってくるのかもしれません。
どうする日本。
「参考文章」
実質賃金3.8%減、物価高進む中で8年半ぶり減少率-昨年11月 - Bloomberg
日銀はYCCの再修正急がず、12月決定の影響と効果見極め-関係者 - Bloomberg