財務省が今月発行する10年ものの国債の「表面利率」を、0.5%に引き上げると発表しました。
これまでの2倍になるそうです。日銀の金融緩和策の修正で、市場の利回りが上昇していることを踏まえたことによるものといいます。
国債の「表面利率」0.5%に引き上げ、8年ぶり高さ 財務省: 日本経済新聞
表面利率が上がると国が毎年支払う利払い費が増額することになるそうです。財政悪化が続くなかで利払い費の負担が増せば、経済政策にも悪影響を及ぼす可能性があると記事は指摘します。
ただ今年度の当初予算で、国債の利払い費の利率を1.1%と想定していて、今回の引き上げで直ちに国の事業などに影響を与えることはないといいます。
財政規律に目が向くのか
専門家は先の日銀の決定からして、特段驚くことではないといいます。一方、利払い費増加による政府債務コストが顕在化することで、財政規律の意識が正常化することにつながる側面があると指摘します。そうあって欲しいものです。
何において、これを念頭にして議論されているべきだったということなのでしょう。
現下の総需要が弱い中、財政の緊縮化は避けるべきであると思いますし、非戦略的な増税も愚策であると思います。(出所:日本経済新聞)
またこの専門家は「予算執行の杜撰さは目に余るものがある」と指摘、「震災やコロナなど緊急事態に乗じた国家財政の予算編成と執行のあり方について、猛省が求められる」ともいいます。
国債の乱発は利払いコスト増を伴い、打ち出の小槌ではないということを肝に銘じなければならないのでしょう。
何より議論の方向性と前提を変えていかなければならないのでしょう。
異次元の少子化対策、またしても増税なのか
自民党の税制調査会の幹部である甘利前幹事長が、少子化対策を進めるための財源について、消費税率の引き上げも検討の対象になるという認識を示したそうです。
自民 甘利氏“少子化対策の財源 消費税率引き上げも検討対象” | NHK
「異次元の少子化対策に挑戦する年にしたい」と、岸田首相が年頭会見で述べたことを受けてのことのようです。
「岸田総理大臣が少子化対策で異次元の対応をすると言うなら、例えば児童手当なら財源論にまでつなげていかなければならない」と指摘しました。
そのうえで「子育ては全国民に関わり、幅広く支えていく体制を取らなければならず、将来の消費税も含めて少し地に足をつけた議論をしなければならない」と述べ、少子化対策を進めるための財源として、将来的な消費税率の引き上げも検討の対象になるという認識を示しました。(出所:NHK)
少子化対策は喫緊の課題であることは間違いないのでしょうし、未来の世代をみなで支えることには異論もないのでしょう。ただ極めて優先順位が高いはずの課題を後回しにしておいて、もっともらしく増税とよくいえるものです。
摩訶不思議です。これで国が治まるのでしょうか。自ら無能さを露呈し続け、これまで良くなることがなかったのに、よくも国民に向かってもっと身を粉にして働け、そしてもっともっと納税せよと言えるものです。
愚弄するのはやめて頂きたい。
論語に学ぶ
苟(いやし)くも其の身を正しくせば、政に従うに於いて何か有らん。其の身を正しくする能(あた)わずして、人を正すを如何せん。(「子路第十三」13)
もし政治家自身がその身を正しくしたならば、行政はたやすいものだ。自分自身を正しくすることができないで、人々をどのようにして正そうとするのかと意味します。
この言葉に尽きるのではないでしょうか。
「参考文書」
10年もの国債 利息示す「表面利率」0.5%に これまでの2倍以上 | NHK