「金利ある世界」日銀が利上げを実施し、17年ぶりに金利が復活することになりました。異次元の金融緩和が終わり、日本経済の節目になるといいます。
日銀が17年ぶり利上げ決定、世界最後のマイナス金利に幕-YCC廃止 - Bloomberg
日銀が金融政策を転換させ、世界で最後のマイナス金利を解除し、YCCイールドカーブコントロール 長短金利操作を止め、ETF上場投資信託の新規購入の停止も決定、長く続いた大規模な金融緩和政策に終止符を打ちました。
今回、異次元緩和を終了させることについて、「短期金利を主たる政策手段とする普通の金融調節になる」と植田総裁は会見で語っていました。また、この新たな措置についてもネーミングすることはないそうです。
サプライズ好きだった黒田前総裁とは異なり、手堅く政策転換を進めたおかげで市場では大きな混乱はなかったようです。想定内ということで日経平均株価は4万円を回復し、また円は150円超で推移しているようです。政財界の反応も悪くはないようです。
「ようやくぬるま湯の時代が終わった」と経団連の十倉会長は述べ、企業がイノベーションを起こして経済が成長する工夫が必要と語ったそうです。
「ぬるま湯時代終わった」と十倉経団連会長 日銀のマイナス金利解除で - 産経ニュース
銀行界からは「金利ある世界への大きな変化の節目、ゲームチェンジという認識だ」とみずほフィナンシャルグループの木原社長がコメントし、経済同友会の新浪代表幹事は「企業や個人も徐々に金利のある世界に備えていく必要があるだろう」と述べたそうです。
金利はないという常識が覆り、これからは金利を意識することを新常識としていかなければならないようです。
論語に学ぶ
蓋(けだ)し知らずして之を作る者有らん。我は是(こ)れ無きなり。多く聞きて其の善き者を択(えら)びて之に従う。多く見て之を識(しる)すは、知るの次なり。(「述而第七」27)
問題について本当に理解することなくして、新説を作り出す者がいる。しかし、私はそういうことはしない。まず可能な限り学んで、その内の最善を選び取り、それに従う。可能な限り多くの資料に当たり、それらを記憶するというのは、理解することの前段階なのであると、孔子はいいました。
「奇をてらう」、サプライズや異次元なことも時に有効なことはあるのでしょうが、長く続けてそれを常識化させては害があるような気もします。金融政策もまた然りで、海外の事例からしてもいえることではないでしょうか。
今回の日銀の政策転換を通して、政府が大好きな「異次元」がどんな意味を持つものを理解しておいてもよさそうな気がします。
「失われた30年」が続き、金利のない時も長く続きました。それまでの非常識が常識となり、それまでの常識が否定され続け、非常識を押しつけられてきたのかもしれません。そして、こうした異常しか知らない人ばかりになっているのが、現在の日本ということなのでしょう。それが世界から遠く遅れることの一因にもなったような気もします。
しかし、良い機会が訪れているのでしょう。身につけてしまった習慣を見直し、もう古いと判断したものは使用を停止するときなのかもしれません。それができれば遅れも挽回もできるのではないでしょうか。
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1つの価値観や狭い世界の中で窮屈だったり、苦しんだりしているなら、「その外にも世界はたくさんあるよ」「そして、どんどん変わっていくんだよ」と伝えたいと思います。もっと気楽に、視野を広げていけば、きっと自分に合う世界はあるはずです。「冒険の書」著者 孫泰蔵さんからのメッセージ」(出所:日経BOOKプラス)
もうちょっと「アバンギャルド」であってもいいような気がしてなりません。
「参考文書」
【速報】日銀 「マイナス金利政策」解除 17年ぶり金利引き上げ 金融政策を転換 | NHK | 日本銀行(日銀)
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