日銀植田総裁の発言をきっかけにして円高が進みました。「チャレンジングな状況が続いている。年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になるとも思っている」と国会で発言したことに市場が反応したためとみられています。
植田総裁発言で早期利上げ観測が浮上か|2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)
この植田総裁の発言には「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになると思っているので、情報管理の問題もきちんと徹底しつつ、『丁寧な説明』、適切な政策運営に努めていきたい」と続いており、過剰反応との見方もあるようです。
日銀前総裁の頃に比べれば、市場との対話に改善が見られ、それなりに『丁寧な説明』がなされていると思っていましたが、米国FRBのようにまだそれが十分ではないのかもしれません。
ただいずれにせよ、時期がいつになるかは別にして、金融政策が転換され正常化に向かうというのがメッセージなのでしょうし、それからすれば円高方向に向かいそうな気がします。それを緩やかにするのも日銀総裁の説明能力にかかっているのでしょうか。
焦点:近づくマイナス金利解除の足音、正常化へ歩み 迎える正念場 | ロイター
口ばかりで不誠実ばかりがまかり通ることが増えているように感じるだけに、経済に大きな影響を及ぼす日銀においては範となる発言を心がけて欲しいと願うばかりです。
論語に学ぶ
巧言令色、鮮なし仁 (「学而第一」3)
言葉を巧みに飾り立てたり、外見を善人らしく装うのは、「仁」すなわち誠実な人間愛が乏しいということだと、孔子がいいました。
孔子は、この章の「仁」に公の徳、人民の幸福を願う心という意味を込めているのではないかといいます。私的なもの媒介せず、真実ないし誠実が問題がされる領域での話であるといいます。君主などに言葉巧みに、顔色をやわらげて人に気に入られようとする人物に人民の心などわかるものではない、との訓戒といいます。
国会が荒れています。裏金疑惑をめぐって官房長官や首相の答弁が誠実さを欠いているからのようです。建設的な論戦によって、イデオロギーの差を超えて、日本が世界からリスペクトされる健全な国になれるよう、適正な合意を形成し、政策推進できるようなって欲しいものです。ただそのためにはやらなければならないことが多々ありそうです。
パーティー裏金疑惑の松野官房長官を更迭へ、首相「役割果たして」から一転・後任調整 : 読売新聞
首相が官房長官を更迭するようです。それで問題解決することはなさそうです。いつまでこのゴタゴタは続くのでしょうか。残念ですが、これがこの国の実力ということなのでしょう。この窮地から抜け出ることはできるのでしょうか。
「参考文書」
日銀 植田総裁 今後の金融政策発言で円高ドル安進む | NHK | 日本銀行(日銀)
2024年は円高の一年に|2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)
パー券収入、派閥の重要資金源 ずさん会計、裏金づくり温床か:時事ドットコム