「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

見えない停戦、薄れるG7の影響力、求められる新しいタイプのリーダー像

 

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を始めて1年経ちました。西側諸国を中心にして、平和を祈る集会が各地で開かれたといいます。

 しかし、このままこの紛争が長引くのがもっぱらの見方のようです。

【ウクライナ】ゼレンスキー氏、勝利確信と発言-支援継続なら年内に - Bloomberg

「速やかな停戦」を、その願わざるを得ない状況が続きます。

 

 

 大国のリーダーたちがもっとらしい話をしますが、変化は起きません。

 G7 主要7カ国首脳が、中国やイランを念頭に国際社会に対し「ロシアの戦争に対して物的支援の提供をやめるよう求める」との警告を発したそうです。

 ウクライナのゼレンスキー大統領も中国に対し警戒してのことか、「中国はロシアに兵器を供給しないと確信している。自分にとってこれは重要で、一番のポイント」と発言し、「これを防ぐため、自分はあらゆることをする」とも語り、中国の習近平国家主席と会談する計画だとも述べたそうです。

対ロシア非難 賛成141カ国、反対7カ国 ウクライナからの軍撤退など求める決議を国連総会会合で採択:東京新聞 TOKYO Web

 西側、民主主義陣営の政治も劣化しているのでしょうか。

 ロシアを非難する決議に、未だ反対する国が7ヶ国あり、中国やインド、南アフリカなど32カ国は棄権票を投じ、13カ国は無投票で、ロシアに配慮を見せる姿勢もあるといいます。G7の影響力が薄れていそうです。

論語に学ぶ

巧言令色、鮮なし仁 (「学而一」3)

「言葉を巧みに飾り立てたり、外見を善人らしく装うのは、「仁」すなわち他者を愛する気持ちは少ない」と意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

この孔子のことば、官界、政界などにおける下位者が上位の権力者に対する際の態度について述べたのであろうといいます。

 言葉巧みに、顔色をやわらげて権力者に取り入るような人物に人民の心などわかるものではない、との訓戒といいます。

 逆に言えば、人民の幸福を願っての巧言令色はほめるべきものでもあると言えそうです。愛する者に気持ちを伝えようとすれば、ついつい巧言令色となるのが人間であると桑原武夫は解しています。

 

 

日銀総裁候補の所信聴取

 日銀の次期総裁候補の植田和男氏の所信聴取が国会で行われました。2時間以上にわたる質疑では受け答えにつまる場面は見られず、後席に座った関係者に、助言を求める様子もほとんどなかったそうです。

コンビニ弁当で「値上げ実感」、質問通告「不要」 植田日銀総裁候補:朝日新聞デジタル

 記事によれば、国会で慣例となっている、事前に質問内容を答弁者に知らせる「質問通告」について「いらない」とし、「ぶっつけ本番」で答弁したそうです。

 また、日常生活で物価高騰を感じるかと問われた植田氏は「大学に勤めているので毎日、昼ご飯はコンビニのお弁当で済ませている。ここ1年くらいの間に、例えば450円くらいのお弁当が、500円を超す水準にまで値上がりしたなと実感している」と答え、庶民的な一面ものぞかせたといいます。

学者出身

 学者出身の日銀総裁候補、就任すれば戦後初のことといいます。新しいタイプのリーダーとして期待してよいのでしょうか。

 

 

真実は堂々と公言すべきである。しかし、正しいことならどんなに不味い表現で仏頂面をしてわめいてもよい、ということには決してならない。 (引用:「論語桑原武夫

「文明社会とは、内容の真実を美しい形式と調和させる努力ということではなかろうか」と、文学者の桑原武夫はいいます。また「文学を学ぶとは内容を伝達するだけでなく、言葉を巧みにすることであり、礼儀作法を知るとは容色を柔らげることではないのか」ともいいます。

 これまでの政治色に染まることなく、「教養」を知る新しいタイプのリーダー像を示して欲しいものです。

 

「参考文書」

ウクライナ侵攻1年 ロシア、20世紀型大国の落日 - 日本経済新聞

日銀総裁候補の植田和男氏 「金融緩和を継続」と所信 - 日本経済新聞