「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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深刻な円安、低下続ける実質実効為替レート、気になる日銀の政策変更

 リセッション 景気後退との予想を跳ね返して、米国経済は思いのほか堅調のようです。19、20日に開かれたFRB 米連邦準備制度理事会FOMC連邦公開市場委員会で、政策金利が据え置かれました。これを受けて日米の金利差がまた意識されて、円安が進んでいるといいます。

きょうから金融政策決定会合 日銀の金融政策 方向性が焦点 | NHK | 日本銀行(日銀)

 物価上昇の局面にあるだけに円安の進行が気になります。

 本日の日銀の金融政策決定会合の結果と、植田総裁の会見の内容に関心が集まっているといいます。

 

 

円安

 円の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」も低下を続け、1970年以来、53年ぶりの低水準になったそうです。円が1ドル=360円の固定相場制だった時代と同水準で、日本の対外的な購買力の低下が鮮明になっているといいます。

円の実力レートが53年ぶり低水準、固定相場時代に戻った日本の購買力 - Bloomberg

実質実効為替レートの低下は本来、日本企業の輸出競争力の向上を意味するが、海外への生産移転が進み、その効果は薄れている。一方、円の購買力低下は海外からのモノやサービスの購入コスト増を意味する。輸入企業にとって収益悪化要因となり、商品への価格転嫁が進めば物価上昇による実質賃金の低下を通じて家計を圧迫する要因となる。(出所:ブルームバーグ)                                  

 ここ10年あまりは円安トレンドが定着し、その流れは今も継続しているといいます。名目ベースの円安に加え、物価や賃金が諸外国に比べ低い伸びを続けてきたことが実質実効為替レート低迷の背景にあると記事は解説しています。

 専門家は、異次元緩和やアベノミクスなど日本の特異な経済対策や構造的な問題を指摘しています。

堅調な米経済

 日本での対策、改善が進まないうちに、早くも米国では、来年の政策金利の見通しが大きく修正されたといいます。来年は利下げとなると予想されているそうですが、その幅が大きく縮小されているといいます。FRBが発したメッセージは、米経済の底堅さを背景に金利をより高くより長く維持する必要があるという内容だったといいます。

FRB、より高くより長く金利据え置きのシグナル-利上げほぼ終了 - Bloomberg

 色々問題もあるのでしょうが、健全に経済が回っていることの現れなのでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

樊遅(はんち)稼(か)を学ばんと請う。子曰わく、吾は老農(ろうのう)に如(し)かず、と。圃(ほ)を為(つく)ることを学ばんと請う。曰わく、吾は老圃(ろうほ)に如かず、と。樊遅出(い)づ。

子曰わく、小人なるかな、樊須(はんす)や。上(かみ)礼を好めば、則ち民は敢(あ)えて敬せざること莫(な)し。上 義を好めば、則ち民は敢えて服せざる莫し。上 信を好めば、則ち民は敢えて情を用いざる莫し。夫(そ)れ是(かく)の如(ごと)くんば、則ち四方の民、其の子を襁負(きょうふ)して至らん。焉(いずく)んぞ稼を用いん、と。(「子路第十三」4)

 弟子の樊遅が田の作り方を教えていただきたいと願い出たことがありました。すると孔子は「私より手慣れた農民のほうがよく知っている」と答えた。樊遅は続いて畑の作り方をと言ったので、孔子は「私より手慣れた圃人(はたけつくり)がよく知っているぞ」と答えた。樊遅が退出したあと、孔子はこう言った。

「小人 知識人に終わっているな、樊須は。為政者(指導者)が「礼」規範を大切にするならば、必ず民衆は尊敬する。為政者が「義」道義を重視するならば、必ず民衆は支持する。為政者が「信」誠意を尽くすならば、必ず民衆は「情」に頼ることなく、言い訳をしなくなる。そのようであれば、四方の人々がぜひにと、その子を襁(むつき)で背負って集まってくるだろう。どうして為政者が農業の振興を第一とすることがあろうか」と。

dsupplying.hatenadiary.jp

 デフレ経済からの脱却を目指して長きにわたり様々な経済政策が実施されても代わり映えしない効果で失われた時間が積み重なるばかりでした。孔子ではないですが、政治が経済を第一とせずに、秩序や規範を第一として、人心の安定を図ったなら今とは違う展開もあったのでしょうか。

 

 

終わらない不正

 また不正が露見しました。国のがん研究の中核を担う国立がん研究センター東病院に勤務していた医師が収賄の疑いで逮捕されました。これも氷山の一角にすぎないのでしょうか。

国立がん研究センター医師逮捕 カテーテル選定巡り収賄容疑 警視庁 | 毎日新聞

 終わらない不正、不正の連鎖とでもいうべき状況が続きます。それだけ人の心がすさんでいるということなのでしょうか。

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 政治の世界も相変わらずのようです。自民党幹部たちが代表を務める自民党の政党支部が、国の公共事業を請け負っている事業者から寄付を受けていたことがわかったといいます。同じようことが何度も繰り返され、そのたびに「誤解を招かぬよう道義的見地から返金をしました」と言い訳します。こうしたことが積み重なって人の心にも影響していくのかもしれません。 

 

「参考文書」

円相場 一時148円台半ばまで値下がり | NHK | 株価・為替

追加利上げの有無から利下げ時期とペースに焦点が移る(9月FOMC)|2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)