「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

ジャニーズという名は残すべきなのだろうか

 ジャニーズ事務所が、今後の会社運営の方針を10月2日に公表すると明らかにしたといいます。会見を開いて説明することになるのでしょうか。

 関連報道が活発になり、経済3団体のトップもこの問題に言及しています。みなが注目する出来事になったようです。対応次第で、今後の社会のあり様にも影響しそうな気もします。

ジャニーズ事務所、10月2日に新方針 創業家株式や社名を議論 - 日本経済新聞

 創業者故ジャニー喜多川元社長による性虐待被害者への補償の具体策、藤島ジュリー景子氏が100%保有する株式の問題、社名変更、所属タレントの今後や処遇などが焦点になるようです。

 

 

ブランドイメージ

 大手企業を中心にし、所属タレントのCM起用を見直す動きが広がっています。

「人権」、企業動かす 経営にリスク、取引見直し―ジャニーズ性加害:時事ドットコム

企業の商品やサービスのイメージアップに貢献してきたタレントたちだが、性加害という人権侵害を放置することは国際社会が許さず、経営のリスクに直結すると各社が判断しているためだ。(出所:時事ドットコム

「タレントに罪はないから契約を継続する」という考えは海外で通用しない、との意見も主流になりつつあるそうです。東京海上日動火災保険は「広告契約はジャニーズ事務所を介したものであり、タレントだけ切り離せない」と説明しているといいます。

 加担しているとみられてしまえば、企業としてのブランドイメージも棄損される可能性があるのでしょう。

ジャニーズという名

 ジャニーズファンは戸惑い、応援するグループの名にも影響することからか、ジャニーズの名を残して欲しいと心配顔で事態をみているようです。ただ、この問題の現実を直視できているかが気がかりです。

 

 

論語に学ぶ

子路(しろ)曰わく、衛君 子を待ちて政を為さば、子 将(まさ)に奚(なに)をか先にせんとする、と。子曰わく、必ずや名を正さんか、と。子路曰わく、是れ有るかな、子の迂(う)なるや。奚(いずくん)ぞ其れ正さん、と。

子曰わく、野(や)なるかな、由(ゆう)や。君子は其の知らざる所に於いては、蓋(けだ)し闕如(けつじょ)たり。名正しからざれば、則ち言順(げんじゅん)ならず。言順ならざれば、則ち事成らず、事成らざれば、則ち礼楽(れいがく)興(おこ)らず。礼楽興らざれば、則ち刑罰 中(あ)たらず。刑罰 中たらざれば、則ち民 手足を錯(お)く所無し。故に君子 之を名づくれば、必ず言う可し。之を言えば、必ず行う可し。君子は其の言に於いて、苟(いやしく)もする所 無きのみ、と。(「子路第十三」3)

 弟子の子路が「衛の国君が、先生を礼遇して政治を委ねられるとしますならば、先生は何から手をつけようとなされまするか」と質問します。孔子は「決まっている、名を正すことだ」と答えます。子路は「それですよ。先生の考えは現実離れしています。どうして名を正すなどということでいいものですか」と問います。

 すると孔子は「現実的過ぎるぞ由(子路の名)よ。君子 教養人たる者は、自分が知らないことについては、知らないままにすることだ。名が正しくなければ、主張、論理が妥当でない。主張、論理が妥当でないと、事が達成されない。事が達成されないと、礼楽が盛んとならなくなる。礼楽が盛んにならないと、刑罰が当を得なくなる。刑罰が当を得なくなると、民には不安でゆっくり手足を伸ばして安らかに暮らすことができなくなる。だからこそ、君子 教養人は、正しく名づければ、主張の筋を通すことができ、それができると事が実行で達成できる。その発言においては、軽はずみがあってはならない」と諭しました。

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「礼楽」とは、礼節と音楽。社会秩序を定める礼(規範や道徳を形としてあらわしたもの)と、人心を感化する楽。転じて文化となる。

 「名」とは、名分という読みと、文字や記号と解するものがあるといいます。

 

 

 やはり、犯罪に類する行為をした創業者の名を残することには無理があるのかもしれません。被害者を慮ってもそうなのでしょうし、音楽を通じて文化を担う事務所とタレントが、犯罪者の名を冠して活動していてはどんな影響が社会におよぶのでしょうか。どんな悪行もバレなければ、問題ではないという風潮がますます強くなっていきそうな気がします。

 性虐待は人権問題であるといのはその通りなのかもしれません。人権を守ることが国際社会の通念となっているのであれば、それに従うのもまた当然なことなのでしょう。

 しかし、それ以前に悪事を許容してもいいのかと問わなければならないような気がします。

代表取締役残留

 ジュリー氏の「代表取締役残留」は相続税支払い免除のためだったと文春が報じています 

《ジャニーズ性加害問題》ジュリー氏「代表取締役残留」は相続税支払い免除のためだった 国税庁関係者は「被害者やファンを馬鹿にした話」 | 文春オンライン

 こうした行為も、特に法律に触れことはないといいます。しかし、世間からすれば少々疑問を感じることではないでしょうか。

 ジャニーズもまた法に反していないと言い訳することになるのでしょうか。それとも、「善」を求めて、正しいこと、社会にとってより良いことを選択することになるのでしょうか。より良い文化を築いていく存在であって欲しいものです。

 

「参考文書」

性加害は「ジャニーズだけか」 日商会頭、メディア調査を | 共同通信

櫻井翔、日本ラグビー協会がアンバサダー続投決定もジャニーズ問題の波及で関係者は「急遽降板もあり得る」背景にサントリーの毅然たる態度 | 週刊女性PRIME

コーセーがジャニーズ問題への声明を訂正し謝罪 「タレント移籍促す意図ない」 - WWDJAPAN

ジャニーズ 社名変更を検討 ジュリー氏保有株の取り扱いも見直しか 10.2会見 東山社長名義で発表 | デイリースポーツ芸能