「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【君子も勇有りて義無くんば、乱を為す。小人 勇有りて義無くんば、盗を為す】 Vol.463

 

子路(しろ)が曰わく、君子は勇を尚(たっと)ぶか、と。子曰わく、君子は義を以て上(じょう)と為す。君子も勇有りて義無くんば、乱を為す。小人 勇有りて義無くんば、盗を為す。(「陽貨第十七」20)

 

(解説)

子路がいった。「君子 教養人は度胸を尊重しますか」と。孔子はこう答えた。「君子 教養人は大義を第一とする。だから、君子とてただ度胸があるだけで大義がなければ、反逆者となる。小人 知識人とて同じこと。反乱者となるだけのことだ」論語 加地伸行) 

 

子路」、もとは遊侠の徒で、孔子にからみに来て論破され、心服して門に入ったという。率直勇敢な情熱家で、孔子に愛された。

 姓は仲、名は由、字名が子路孔子の弟子で、孔子より9歳年少。孔門では年かさの弟子。

dsupplying.hatenadiary.jp

 その子路が「君子は勇を尚ぶか」という言葉を発するの自然なことのかもしれない。

「君子は義を以て上と為す」といい、「君子も勇有りて義無くんば、乱を為す」といって子路を諭したのだろうか。何か自然な会話のように聞こえる。

 

 

 蛮勇をとがめ、義憤でなければ、それは反逆行為になるということであろうか。

「蛮勇」、理非を考えず、むやみやたらに発揮する勇気。向こう見ずの勇気。

「義憤」、道義に外れたことに対して発するいかり。不正に対する怒り。

義を見て為さざるは、勇無きなり」との言葉もそうしたことから生まれるのだろう。

dsupplying.hatenadiary.jp

 しかし、その「義」も、己の欲を捨て、公のために尽くすそうとする「条理」がなければ、不義になる。

「条理」、物の道理、物事の筋道。自然の理法を意味するという。

 社会秩序も条理を基礎に成り立ち、「条理」は法解釈の指針となるという

「天地自然の理法」、太陽は東から上れば、朝を迎え、陽が西に沈めば、夜になる。雨が降れば、人は傘をさす。極めて当然のこと。雨なのに傘をささなければただ濡れるだけのことである。

 

 

 孔子は、「温(なご)やかにして厲(はげ)し。威ありて猛からず。恭(つつし)むあるも安し」であったという。

 そうあることの方が「天地自然の理法」に適っているような気もするし、そんな人格を形成できれば、「大人」ということなのかもしれない。

dsupplying.hatenadiary.jp

 

 「関連文書」

dsupplying.hatenadiary.jp

dsupplying.hatenadiary.jp

 

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

  • 作者:加地 伸行
  • 発売日: 2009/09/10
  • メディア: 文庫
 
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫