「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

「めっちゃ」という新しい日本語表現と監視が厳しくなる電車の中【名正しからざれば、則ち言順ならず】 ~ 炉辺閑話 #44

 

 文化庁が国語施策の参考とするため、毎年「国語に関する世論調査」を実施している。

 「めっちゃ」ということばが浸透し、「じみに痛い」や「そっこう帰る」と言う人が4割近くいるという結果が、日本語の新しい表現についての調査でわかったそうだ。

令和2年度「国語に関する世論調査」の結果について | 文化庁

 その調査は、「日本語を大切にしているか」という問いから始まり、7割台半ばの国民が「大切にしている」と答える。 日本語を大切にしている理由には、「日本語によって、ものを考えたり感じたり善悪の判断をしたりしているから」と、5割の人々がそう答えたそうだ。

 

 

「めっちゃ」6割近く使用 「まるっと」1割、浸透せず―文化庁国語世論調査:時事ドットコム

「がぜん」の意味を「とても、断然」と回答したのは67%で、本来の「急に、突然」の23.6%を大きく上回った。

「破天荒」も、「豪快で大胆な様子」を選んだ人は65.4%で、本来の「誰もなし得なかったことをすること」を選んだのは23.3%だった。 (出所:JIJI.COM)

 多くの人たちが日本語を大切にしているながら、その言葉の使い方は時代とともに変化していくのであろうか。日常会話はそれでもいいのかもしれないが、仕事となれば、そうもいかない。

論語の教え

「君子は其の知らざる所に於いては、蓋(けだ)し闕如(けつじょ)たり。名正しからざれば、則ち言順(げんじゅん)ならず」と、論語子路第十三」3 にある。

 弟子の子路が「衛の国君が、先生を礼遇して政治を委ねられるとしますならば、先生は何から手をつけようとなされまするか」と、孔子に質問すると、「決まっている、名を正すことだ」と答え、「君子 教養人たる者は、自分が知らないことについては、知らないままにすることだ。名が正しくなければ、言が妥当でない」といったという。

 さらに孔子は、「言順ならざれば、則ち事成らず、事成らざれば、則ち礼楽(れいがく)興(おこ)らず。礼楽興らざれば、則ち刑罰 中(あ)たらず。刑罰 中たらざれば、則ち民 手足を錯(お)く所無し。故に君子 之を名づくれば、必ず言う可し。之を言えば、必ず行う可し。君子は其の言に於いて、苟(いやしく)もする所 無きのみ」と述べたそうだ。

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 「名」とは、文字や記号をいい、「言」は、言葉や筋、論理のこと。

言が妥当でないと、事が達成されない。事がが達成されないと、礼楽(規範や道徳)が盛んとならなくなる。礼楽が盛んにならないと、刑罰が当を得なくなる。刑罰が当を得なくなると、民には不安でゆっくり手足を伸ばして安らかに暮らすことができなくなる。だからこそ、君子 教養人は、名づければ、主張の筋を通すことができ、それができると政事が完成し、道徳が守られ妥当な刑罰を行える。その発言においては、知らないことは知らないままにしておき、軽はずみがあってはならない。 (参考:論語 加地伸行

 

 

 小田急線で8月、電車内で乗客が刺される事件が発生したのを受け、国土交通省が、その再発防止に向けた警備強化や被害回避・軽減対策を発表した。

小田急線の刺傷事件で国交省が対策発表 AIやピクトグラム活用 | 毎日新聞

 毎日新聞によれば、 人工知能(AI)の最新技術を活用するなどして、防犯カメラの画像を解析して不審者や不審物を検知する機能を高度化、技術の共有化を検討するそうだ。

 つい先日、JR東日本が不審者に対する防犯カメラの顔認証機能を使わないとしたが、その流れに反し、ひとつの事件がきかっけで、罪なき人々までもが監視されるかのようになってしまう。

言順ならざれば、則ち事成らず、事成らざれば、則ち礼楽 興らず。礼楽興らざれば、則ち刑罰 中たらず。刑罰 中たらざれば、則ち民 手足を錯く所無し

 こうしたことも言葉の乱れの影響があったりするのだろうか。