「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

なぜ、若手経営者の集まりの経済同友会が「45歳定年制」を説いたのか

 

 サントリーの新浪社長(62)が経済同友会セミナーで「45歳定年制」を導入すべきだと発言し、SNSなどで話題を集めたことがあった。

サントリー新浪社長「45歳定年制」を提言 定年延長にもの申す:朝日新聞デジタル

 「日本企業はもっと貪欲(どんよく)にならないといけない」と訴え、日本企業が企業価値を向上させるため、「45歳定年制」の導入によって、人材の流動化を進める必要があると述べた。 (出所:朝日新聞

 その後、発言の真意について語ったようだが、みなが納得する説明だったのだろうか。

 

 

 それまでの拝金・拝物主義的な経済が廃れ、「人間らしさ」、人中心の経済活動にシフトしようとしてきたのが、ここ最近の流れではなかったのだろうか。

 SDGsは「誰一人取り残さない」ことを標榜し、ダイバーシティインクルージョンの世界を目指すが、その流れに逆行するような発言に聞こえた。

 2014年から内閣府経済財政諮問会議のメンバーになり、現在も経済同友会の副代表幹事を務めているという新浪さん。長く経済、財界のリーダーとして活躍されてきたようです。

 しかし、期待されたほどに日本経済が活気を取り戻すことはできたのだろうか。そういう状況下にあって、問題を人財に置き換えるのは如何と感じてしまう。

論語の教え

「大なるかな、堯(ぎょう)の君たる、巍巍乎(ぎぎこ)たり。唯天もて大なりとなし、唯堯 之に則る。蕩蕩乎(とうとうこ)として、民 能(よ)く名づくる無し。巍巍乎として、其れ成功有あり。煥乎(かんこ)として、其れ文章有あり」と、論語「泰伯第八」19 にある。 

「堯」、中国神話に登場する聖人。陶唐氏ともいう。

「高大であるな、堯の君徳は。高山を見上げる感じだ。もちろん、天が最も大であり、堯は天の子として天の意向に従った。その君徳は広々として(蕩蕩乎)おり、民は名づけることができないでいる。山を見上げるほど高いな、堯の政治の成功は。輝ているな(煥乎)、堯の開いた制度、文化は」と訳される。

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 人徳の高い天子の下には、同じように人徳があり、有能な人たちが集まり、民のために尽くす政治が行われ、民は安心して暮らすことができるものという。

 さて、現世はどうなのだろうか。国や企業のリーダーたちは聖人「堯」のように振舞えているだろうか。

 

 

経済同友会」、経営者が個人の資格で加入する会員制組織で、当初は新しい経営理念で第2次世界大戦後の経済再建を目指す若手経営者の集まりであったという。

 それが、今日では各自の企業の特殊利害をこえた国民経済的見地から、財界としての建設的意見や要望を表明することによって、それらを国の経済政策に反映させることを目的とする点に特色があるという。近年、会員の年齢構成が高まり、同友会の伝統が希薄化しているとの批判もあるそうだ。

 新浪社長も62歳と聞く。まずはご自身が経済同友会から定年し、若手経営者に道を譲るべきなのかもしれない。いつまでも自分たちの価値観を押しけるようなことがあってはならないはずだ。