「4万4000人の観衆がサプライズを目の当たりにした」、ボクシング4団体統一世界スーパーバンタム級王者井上尚弥が第一ラウンドでいきなりダウンを喫し、まさかの展開になったことが話題になったようです。
この試合は34年ぶりに東京ドームで開催されたそうです。人気の高さの現われなのでしょうが、試合中継は地上波で放映なかったそうです。
「何とか地上波の各局は、責任といたしましてどっかしらでやってもらうか。あるいは持ち回りでもいいから各局がお金を出してこの試合はとるべきじゃないか。地上波で流してもらいたいと思えてなりません」と徳光さんが語っています。
徳光和夫さん、ラジオ生放送でボクシング「4団体統一王者」井上尚弥の試合中継でテレビ各局へ提言「各局は責任といたしまして…流してもらいたい」 - スポーツ報知
バスケットボールBリーグなどスポーツ業界が盛り上がる一方で、テレビ局各社はあまり元気がないようです。
ジリ貧のテレビ業界
日本の総広告費が過去最高を記録した一方、地上波テレビの広告費はじり貧で前年割れの減少となっているそうです。YouTubeやネット配信に押され、テレビ視聴率の低下に歯止めがかからないようです。業績も悪化、PBR 株価純資産倍率は1倍割れとなり、各局とも、いかに成長ビジョンを描くかが問われているといいます。
PBRは1倍割れ、株主圧力高まる「テレビ局」の活路 放送以外の収益拡大へM&Aなどを模索するが… | メディア業界 | 東洋経済オンライン
外資規制による外国人投資家の株式保有制限や放送法など規制も多い業界で苦労が多いことは理解できますが、政治の影響を受けず、またあまり政治的にならずに、娯楽や文化などに力を入れて、新しいトレンドがテレビの中から生まれてもいいのかなと思います。
行き詰まる芸能プロダクション
テレビ業界を支える芸能プロダクションもあまり状況がよろしくないようです。倒産が増加しているといいます。
ORICON NEWS:帝国データバンク「芸能プロの行き詰まりが表面化」 倒産状況を調査・分析 | 毎日新聞
女優の吉岡里帆さんが所属するエー・チームが休業を発表し、タレントの壇蜜さんが所属するフィットが破産するなど、芸能プロの行き詰まりが表面化しているそうです。
近年はテレビ局の制作費削減に伴う出演料の減少や番組の整理・終了といった状況に直面したほか、SNSの台頭でYouTuberやインフルエンサーとして活動する個人も増え、芸能プロが従来得意としてきた新人タレントの発掘なども難しくなっている。(出所:毎日新聞)
娯楽・文化の豊かさ、多様性のためにもテレビなどメディアには一層の経営改革に取り組んでもらいたいものです。芸能プロはもちろんのこと、スポーツや音楽など様々な分野と共創、協奏してもらいたいものです。
論語に学ぶ
達巷(たつこう)の党人曰わく、大なるかな孔子。博学にして名を成す所無し、と。子 之を聞きて、門弟子(もんていし)に謂いて曰わく、吾 何を執(と)らん。御を執らんか、射(しゃ)を執らんか。吾は御を執らん。(「子罕第九」2)
達巷党の人が「孔子さまはやはり偉大なかただ、色々なことを学ばれたが、とくに有名な専門といわれるものをお持ちにならないのだから」といいました。すると孔子は「それじゃ、私は何を専門にすればいいのかな。御者になろうか、射者になろうか。私は御者がいいな」といいました。
孔子はたいへんな博学だったそうですが、専門家づらをしたことがなかったといいます。それを褒めた知己の言葉に孔子も気が和んだのであろうといいまう。
「博学にして名を成す所無し」、 今も昔も専門の看板を掲げて、この一筋に生きている、ほかのことについては一切無知であるという顔するのが、純粋に見えて出世の早道であった。雑学はいつも貶(けな)し言葉である。 (参考:「論語」桑原武夫)
孔子が生きた時代は、「礼」「楽」「射」「御」「書」「数」を六藝といって身につけなければならない教養六課目であったそうです。
ネットメディアが台頭するのは避けがたいにしても、テレビにはテレビの良さがあってもよいのでしょうし、それを再発見すべきではないのかなと思います。ましてネットの世界における問題も多く語られるようになってきているのですから。
ポストデジタル経済ともいわれ始めています。スマホひとつですべてが解決するのではあまりにもつまらない世界になっていくように思えてなりません。
「参考文書」
米政府「メディアの自由を」 イスラエルのアルジャジーラ停止に懸念 | 毎日新聞
井上尚弥のダウンからの逆転劇 海外メディアも驚き 英紙「手負いの井上が最も危険な『モンスター』かも」ESPN「4万人がサプライズ目の当たり」/ファイト/デイリースポーツ online
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