「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

物言う株主、セブン&アイに改革を求める、祖業イトーヨーカ堂はどうなるか

 

 東芝やセブン&アイが、物言う株主、アクティビストに振り回されているように見えてしまう。しかし、アクティビストの主張にも一理はあるのだろう。

 米アクティビストのバリューアクト・キャピタルが、セブン&アイ・ホールディングスのガバナンス改革を求める提案書を公表したという。

「ヨーカ堂売却を」 バリューアクト、セブンに改革提案: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、百貨店のそごう・西武の売却を完了させ、総合スーパーのイトーヨーカ堂の売却意向を早期に表明するなどして、コンビニエンスストアを中心に食品小売業に集中するよう求めたという。

 コンビニ事業への集中などの改革を実行した場合、セブン& アイの株価を2倍以上に高められ、1株利益は40%改善すると主張しているそうだ。

 

 

「小売の神様」と呼ばれ、カリスマ経営者として君臨した鈴木敏文前CEOが押し広げてきた戦略からの離脱を、アクティビストが要求しているようだ。

 イトーヨーカドーの創業者の伊藤雅俊氏に乞われ入社し、セブン&アイにまで大きく成長させた鈴木氏が去って6年、経営の曲がり角なのかもしれない。

 振り返れば、鈴木氏が退任した理由は、井阪隆一氏を更迭しようと試み、それに同意を得ることができなかったことによる。その井阪氏が現在セブン&アイの社長を務める。何か因果のようなものを感じる。

セブン&アイ「そごう・西武売却」その先の超難題 | 百貨店・量販店・総合スーパー | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 東洋経済オンラインによれば、イトーヨーカ堂の衣料品事業を建て直すことを目的に、鈴木氏は当時のそごう・西武からなるミレニアムリテイリングを傘下に収めた。そこには、相乗効果の期待もあったそうだ。イトーヨーカ堂入社の鈴木氏にすれば、悲願でもあったのだろうか。

 井阪体制に6年余り、しかしその改善は進まず、イトーヨーカ堂の業績は低迷する。こうした状況が続けば、アクティビストの提案も理解できないわけではない。

 

 

論語に学ぶ

人曰わく、大なるかな孔子。博学にして名を成す所無し、と。

子 之を聞きて、門弟子(もんていし)に謂いて曰わく、吾 何を執(と)らん。御を執らんか、射(しゃ)を執らんか。吾は御を執らん。(「子罕第九」2)

「達巷党の人が、孔子さまはやはり偉大なかただ、色々なことを学ばれたが、とくに有名な専門といわれるものをお持ちにならないのだから」といった。

 孔子はたいへんな博学だったが、専門家づらをしない。それを褒めた知己の言に孔子は気が和んだのであろう、「それじゃ、私は何を専門にすればいいのかな。御者になろうか、射者になろうか。私は御者がいいな」と、側近の弟子たちにややユーモラスにいったのであると桑原武夫は解説する。

dsupplying.hatenadiary.jp

「博学にして名を成す所無し」

 今も昔も専門の看板を掲げて、この一筋に生きている、ほかのことについては一切無知であるという顔するのが、純粋に見えて出世の早道であった。雑学はいつも貶(けな)し言葉であるという。 

 アクティビストは、投資の専門家として経営を知っているのかもしれない。ただ、その動機は利益還元だったりするのだろうか。

なぜセブンは最強コンビニなのか…それは「お客のため」ではなく「お客の立場」で考えているからだ 「小売の神様」鈴木敏文の経営哲学 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 鈴木前CEOはよく「お客様のために考えるのではなく、お客様の立場で考えろ」と言わていた。何かの専門家でもなく、多種多様なことに挑戦できたのは、そうした考えがあってのことなのかもしれない。イトーヨーカ堂の衣料品事業の立て直しも究極的には「お客様の立場」で考えてみてのことだったのだろうか。鈴木氏が去らなければ、衣料品事業の立て直しは叶っていたのだろうか。

 さて、井阪社長はどんな決断をしていくことになるのだろうか。