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【赤い波と米中首脳会談】レッドラインが協議事項に、国内はまたも前言撤回騒動

 

 米国の中間選挙の結果確定にはまだ時間がかかりそうです。ただ共和党による「赤い波」はさざ波に近いものだったようです。

「Make America Great Again(アメリカを再び偉大にする)」(MAGA)という米保守主義のブランド力が今なお有効なのか、疑問符がついている状態とBBCは指摘します。

【米中間選挙】 トランプ氏にとってどれだけ痛手になったのか - BBCニュース

 バイデン大統領は記者会見で、「赤い波」は起きなかったと断言し、主が下院多数派を「維持する可能性はまだある」との認識を示したといいます。また、「理にかなっていれば共和と妥協する用意がある」とし、「多くの問題で常に米国民のニーズと利益を第一に考えている」と強調、「この先も政治闘争が続くことは望んでいない」と語って共和党に協力を呼びかけたそうです。

 さらにトランプ氏や信奉者を「MAGA(マガ)」と呼び、「MAGAの熱は冷めていないが、共和の少数派だ」と訴えたといいます。

 

 

 しかし、トランプ前大統領が個人的に推薦した候補者の勝率は8割強に上り、まだ侮れないようで、今後のトランプ氏の動きが気になります。

 評価も様々で、トランプ氏の選挙支援は「コアなトランプ支持者を結束させる一方で、民主党の穏健派や左派の有権者を『反トランプ』で団結させた」との分析があるといいます。一方、トランプ人気は世論調査で示されていて、いずれにせよ、影響を残すことになり、今後の大統領選に向け、共和党はこの事実に立ち向かなくてはならないとBBCは指摘します。

トランプに代わって共和党のトップに立とうとする人は、トランプの存在を無視することはできない。トランプは巨大な存在で、あらゆる争いを、政策ではなく人間としての在り方そのものの争いにしてしまう。(出所:BBC

「関わらないという選択肢はない」、「対立する相手がどう思っていようと、狙いを定めた相手にトランプは関わってくる。やり返す以外の選択肢はない」ともいいます。

 他方、米国と対立する国にとっては、米国が混乱してくれた方が好都合なのかもしれません。トランプ氏の対立をあおる手法は米国内の分断を広げ、社会は混沌としていく、そして、これを歓迎するのは、中国、ロシア、北朝鮮日本経済新聞は指摘します。

 共和党とトランプ氏の動きからまだ目が離せそうにもありません。

 

 

 ただ「レッドウェーブ(赤い波)」がさざ波程度のものとなるのなら、これを好機として、国際情勢を不安定化させかねない国々と向き合って、ことの鎮静化を図ってもらいたいものです。

 バイデン大統領が「COP27」で何を語るのか、そしてまた、G20サミット前に開催されることになった米中首脳会談でもまた同様です。

米中首脳、14日に初会談 バリで対面、台湾問題協議 | 共同通信

米中競争が軍事衝突などに発展することを避けるため、双方の「レッドライン(譲れない一線)」を協議すると語った。中国の軍事圧力で緊張が高まる台湾情勢も話し合いたい意向だ。(出所:JIJI.com)

 JIJI.comによれば、バイデン氏は、中国との衝突は望んでおらず、会談では「互いのレッドラインを説明し、彼が信じる中国の国益を理解したい」と強調し、利益が対立する場合は、衝突を避ける方策を模索すべきだとの考えを示したといいます。

 

 

 一方で、こうした動きと裏腹に、日本の政治は混迷を深めるばかりのようです。首相の派閥である宏池会所属の葉梨法相の発言が物議となり、また前言撤回したようです。

葉梨法相「死刑のはんこ押す地味な役職」「金や票集まらず」: 日本経済新聞

「だいたい法相は朝、死刑(執行)のはんこを押す。昼のニュースのトップになるのはそういうときだけという地味な役職だ」と述べたといいます。

 与野党双方から反発があるといもいいます。

 そればかりでなく「法相になってもお金は集まらない。なかなか票も入らない」と強調したといいます。また、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を受け、テレビ露出が増えたとの趣旨の発言もしたそうです。

 呆れるばかりです。内内の会合で気が緩んでのことかは知りませんが、それにしても、いつ何時も選挙のこととお金のことしか考えることができないのでしょうか。

 衆院倫理選挙特別委員会で、衆院小選挙区定数を10増10減する公選法改正案が可決され、今国会で成立する見通しとなったといいます。

「黄金の3年」一転「暗黒の1年」 「総辞職しか」危機感 | カナロコ by 神奈川新聞

 これによって、岸田文首相は「解散権」の行使が当面難しくなるそうです。新しい区割りで総選挙には1年程度の地ならしが必要とされるためといいます。

 神奈川新聞によれば、政権内には「信を問えない状況下で追い詰められたら内閣総辞職しか道がなくなる」との危機感が広がっているといいます。また、与党内では「黄金の3年」に代わり、国民の信を問う術がない「暗黒の1年」が語られ始めているそうです。

 

 

論語に学ぶ

子 子夏に謂いて曰わく、女(なんじ)君子儒と為れ、小人儒と為る無かれ、と。(「雍也第六」13)

「君子の儒」とは天下の事に責任をもち、民が安んずる志を持つものであり、「小人の儒」とは自分一身を善くするにとどまって、社会的影響を持ちえぬ者であろうと意味です。

dsupplying.hatenadiary.jp

 弟子の子夏には細部にこだわる一面があり、その性格を見越してこうアドバイスしたのではないかといわれます。首相と子夏が重なるところがあるのかもしれません。

 首相がよく口にしていた「検討する」が、最近になって「検討を加速したい」に変わったといわれているようです。そんなことでよいのでしょうか。国内外で課題は山積しています。

 孔子ではないですが、「君子儒と為れ」といいたいですね。もう少し「君子」に近づけば、国民の意も理解できるようになるのでしょうし、何が優先的課題もわかり、行動が変わるのでしょう。

 それにしても最近の政治家が「小人儒」ばかりになることが気がかりです。

 

「参考文章」

アメリカ中間選挙 下院は共和前進も民主猛追、バイデン氏「赤い波起きず」: 日本経済新聞

ほくそ笑む新「悪の枢軸」 トランプ劇場の既視感: 日本経済新聞

【速報解説】バイデン「敗北」で決められない政治が始まる

習氏と衝突回避協議へ G20で米中首脳会談なら―バイデン氏:時事ドットコム