子曰わく、其の以(もち)うる所を視、その由(よ)る所を観、其の安んずる所を察すれば、人焉(いずく)んぞ廋(かく)さんや、人焉んぞ廋さんや。(「為政第二」10)
(意味)
「その人物の日常生活の現在をしっかりと視る。その人物が経てきた過去を観めみる。その人物が落ちつこうとしている未来の着地点を察する。そうすれば、その人物は自分を隠すことはできぬ。本当の姿が分かるわな。」(論語 加地伸行)
【其の以うる所を視、その由る観、其の安んずる所を察すれば、人焉んぞ廋さんや】
慧眼、シャープアイのことを言っているのであろう。 その持ち主のひとりに元ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディジョーンズがいる。
弱小チームだった日本代表を、2015年のワールドカップで見事に3勝を挙げるまで成長させた。今年、2019年のワールドカップではイングランド代表を指揮し、決勝戦まで進出した。
チームの特徴を知り、個々人の特性に正確に把握してチームを作る。出来上がるチームをもとに、次のワールドカップに向けて、準備して戦略を練る。
勝利について、確実に言えることがあります。それは、勝利は「得ようと強く意識しなければ、決して得られない」ということです。
また、たとえいっとき勝ったとしても、好調を維持するのは非常に難しい。これは勝敗が明白なスポーツだけでなく、ビジネスでも同じではないでしょうか。 (出所:現代ビジネス)
エディの言葉には説得力がある。私が、このブログに、スポーツやアスリートを取り上げるのも、何か、ビジネスとスポーツの共通性を感じるから。それはどちらもがチームワークを必要とするから。
しかし、そんなエディも越えられない壁があるようである。
「あと1勝」
オーストラリアを率いた時も、今年の決勝戦と同じように敗れ、優勝を逃している。2015年もスコットランドに勝てば、目標を達成することができた。 あと1勝。
どんな優れた戦略家であれ、完璧な人間などいないということかもしれない。
「衆力功をなす」という言葉がある。「単独の力では困難でも多数の力を合わせれば物事に成功することのたとえ」(出所:コトバンク)
不確実性の時代といわれる現代においてはチームプレイの重要さはますます高まっている。Vol.20で「君にともだちはいらない」の著者の瀧本氏を紹介した。かつて瀧本氏はチームプレイの重要性をこう説いた。
「若者たちはそんなもの(武器)より友だちが欲しい、誰かと繋がりたい、承認されたい、とうめき声をあげている。『僕は君たちに"友だち"を配りたい』が読みたい!」
この『君に友だちはいらない』という本は、その声に対する瀧本氏からの"解答"だという。
本書のタイトルを額面通りに受け取れば「友だちをつくらずに孤独に生きろ」というメッセージの本に思えるが、そうではない。
副題の「The Best Team Approach to Change the World」(世界を変える最高のチームの作り方)こそが本書の"真のテーマ"である。
「経済のグローバル化が猛烈な勢いで進行し、"本物の資本主義"の大波に翻弄されるいまの日本に必要なのは、"小さなチーム"があちこちで新しいチャレンジを試みることだ」と瀧本氏は考える。 (出所:現代ビジネス)
チーム作りは人材探しから。多様性あるチームを作るにはその人となりを見抜くシャープアイ 慧眼が必要になる。
慧眼とは、論語のこの章のことなのかもしれない。
そんなことを感じさせてくれるエディジョーンズ。そして、瀧本哲史さん。
不確実性の時代を生き抜く知恵のひとつに「シャープアイ 慧眼」があろう。

ラグビー元日本代表ヘッドコーチとゴールドマン・サックス社長が教える 勝つための準備
- 作者: エディー・ジョーンズ,持田昌典
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(参考文献)