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【米中首脳会談で進展か、気候変動対策に期待も】バイデン大統領の老獪さ、気になる今後の首相

 

 米中首脳会談がインドネシア バリ島で行われ、これまでの対立に終止符を打ち、緊張を緩和する方向へ努力することで一致したようです。もう少し早い段階でそうあって欲しかったと思ってしまいますが、時宜を得る必要があったのでしょうか。

米中首脳会談、緊張緩和の方向で一致-ブリンケン国務長官訪中へ - Bloomberg

約3時間の会談で両首脳は、世界の2大経済大国である米中間の緊張緩和を呼び掛けた。バイデン氏の大統領就任以来、両者の対面会談は初めて。(出所:ブルームバーグ

 バイデン氏は会談後、習主席は「直接的で率直」だったと表現し、中国が台湾を侵攻する「差し迫った」脅威はないと明言、米中関係改善の兆しをうかがわせ、「新たな冷戦の必要性はないと確信している」と語ったそうです。

 また、気候変動や経済安定、食料安全保障などの問題について高官同士の協議が再開されることになったといいます。突出した2大経済大国の融和で、これまでの対立・分断の潮流に変化が起きて欲しいと願わずにいられません。

 

 

緊張緩和へ

「核戦争は決して起こしてはならない」という点でも両首脳は合意、「ウクライナでの核兵器の使用もしくは核使用の脅し」に反対することで一致したそうです。中国のロシアに対する態度に若干変化が起きたということでしょうか。

 ブルームバーグによると、バイデン大統領は会談の冒頭、「米中が相違を管理し、競争が衝突に至ることを防ぎ、よりよく協力する方法を見いだせることを示す責任を、われわれは共有していると思う」と語ったそうです。

 また、習主席は「紛争や対立を防ぎ、平和的共存を達成することは互いの基本的な利益にかなう。両国経済は深く相互に関わっており、いずれも発展における新たな課題を抱えている」と述べたといいます。

台湾問題

 バイデン大統領は「一つの中国政策」に言及、このコミットメントに対して米国に変化はなく、続けると説明、一方で「台湾に対して高圧的で攻撃性を増している中国の行動には米国として反対だと表明し、中国の行動は台湾海峡や周辺地域の平和と安定を損ね、世界の繁栄を脅かしている」と主張したそうです。

 一方の習主席は、台湾問題は中米関係の政治的な基盤を成す礎であり、両国関係において越えてはならない最初のレッドラインだと強調したといいます。

 この他バイデン大統領は新疆やチベット、香港での中国の慣行やより全般的な人権について懸念を提起したそうです。

 

 

サプライチェーン

 会談終了後、中国外務省は習主席が「貿易戦争やテクノロジー戦争の開始、壁や障壁の構築、デカップリングの推進やサプライチェーンの切り離しは、市場経済の原理に逆らい、国際貿易のルールをないがしろにする」と主張し、既に施行された、あるいは提案された米国の政策に言及し、「こういった試みは誰の利益にもならない」と発言したと発表したそうです。

 また、「世界は米中が発展し繁栄するのに十分広い」との発言があったようにブルームバーグは伝えています。さしあたって台湾問題を両国で共有しつつ、これからは緊張関係ではなく、あくまでも競合し、競り合っていくということになるのでしょうか。ただ熾烈さは増していくのかもしれませんが。

COP27 気候変動対策

 米中首脳会談で、気候変動対策において協力を再開することで合意したことで、現在エジプトで開催中のCOP27 国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議の協議に弾みを付けるとの見方が出てきたとうです。

米中首脳、気候問題で協力再開 COP27交渉に弾み | ロイター

 ロイターによると、停滞気味だった協議の活性化につながるとして、スペイン当局者や環境保護団体などからも歓迎の声が上がっているそうです。

G20 首脳会議

 米中会談の結果は、インドネシアで始まるG20サミットにも好影響を及ぼすのでしょうか。

G20当局者が共同声明草案に合意、ロシア巡る相違は残る-関係者 - Bloomberg

 首脳会議を受けて発表される予定の共同声明草案に各国が合意、この草案を首脳らが受け入れれば、共同声明とし発表されるといいますが、まだ予断を許さない状況ともいいます。

 

 

民主主義

 バイデン大統領がインドネシアバリ島での記者会見で、中間選挙の結果に言及し、「米民主主義の力強さと強靭性を目の当たりにした」と指摘、「政治的暴力や有権者への脅迫に対する強い拒絶があった。米国では民意が勝利することが強調された」とし、「今回の選挙で示されたのは、民主主義を維持し、保護し、守るという深く揺るぎないコミットメントが米国にあるということだ」と発言したといいます。

米中間選挙、民主主義の力強さと強靭性示す=バイデン氏 | ロイター

 2020年の大統領選挙が不正に操作されたと主張する「選挙否定派」を排除するものだったとも語ったそうです。

 一時巻き起こった旋風を鎮めるには、それなりの時間を要することなのかもしれません。また、旋風によって生じた影響、対立や分断を鎮静化させることもまた同様なのでしょう。

 計画の緻密さが功を奏したのでしょうか。それとも大統領の長年の政治経験からくる老獪さだったのでしょうか。

 いくつかの問題とその緊張は残しつつも、流れとしては雪解けのように徐々に良い方向に向かうトレンドに変わったのでしょうか。そう願いたいものです。

 

 

論語に学ぶ

斉(せい)一変すれば、魯に至らん。魯一変すれば、道に至らん。(「雍也第六」24)

 武力による制覇の覇道と、徳治による統治の王道とがあるという。「斉」は覇道を第一とし、「魯」は王道を所望したとそうです。

 斉国がその態度を改めるならば、魯国のようになれるだろう。その魯国に改革があるならば、道に至ると意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

  風向きを変えるためには、一変させるための行動を続けなければならないのでしょう。そうした行動によって生じた小さな変化が積み重なって、あるとき改革となり、はじめて一変したと気づくのかもしれません。バイデン大統領はこうしたことも承知していたのでしょうか。

 

 

日中首脳会談

 日中首脳会談が17日にタイで開催されるそうです。「主張すべきことは主張し、大国としての責任を果たすよう求めていく」、これまで中国脅威論をあちらこちらで触れ回り、防衛費増額に突き進んできた首相は、建設的で安定的な関係の構築に向け、どんな会話をすることになるのでしょうか。

首相 17日に中国 習近平国家主席と首脳会談 対面は約3年ぶり | NHK | 中国

 国内対中強硬派を無視できないのでしょうし、一方で、米中会談の結果も踏まえなければならないのでしょう。岸田首相の今後に注目が集まるのでしょう。ちぐはぐにならないことを望むだけです。

 米中会談を見ては、Face to Face、対面での会談での重要性を感じたりします。やはり、意思疎通には対面による距離の近さが必要なのでしょうか。岸田首相にもぜひそのメリットを活かしてもらいたいものです。

 

「参考文書」

バイデン米大統領、台湾侵攻の「差し迫った」脅威あると考えない - Bloomberg

習主席、世界は米中が発展し繁栄するのに十分広い-米中首脳会談 - Bloomberg