「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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【季氏 周公より富む。而るに求や之が為めに聚斂して之に附益す】 Vol.273

 

季氏 周公より富む。而(しか)るに求や之が為めに聚斂(しゅうれん)して之に附益(ふえき)す。子曰わく、吾が徒に非(あら)ず。小子(しょうし)鼓を鳴らして之を攻むるも、可なり。(「先進第十一」17)

 

  (解説)

季子は周公よりも豊かであった。にもかかわらず、冉求は季子のために税を多く取り立て、季子をさらに富ませていた。孔子はいった。「もはや私の仲間ではない。弟子たちよ、まっこうからその罪を声(な)らして攻めてよいぞ」と。論語 加地伸行

  

 「季子」は魯国の実力者で、三桓氏のひとつ。

 「周公」は、周王朝を建てた武王の弟周公旦ではなく、孔子と同時代のころに任ぜられた周公のことをいう。格は公爵で、天子に対して周公と諸侯は同格。天子の領地、財産等を管理、運営する長官で、天子の領地の一部を知行所としていた。

 「鼓」は、戦闘開始や前進の合図に使う。退却のときは鐘であった。「鼓」は音が響き続け、「鐘」は音が収まる。その相違によって使い分けたといわれる。

 

 

  「季子」は、魯君の臣下(家臣)であるから、天子からみれば陪臣である。冉求は、さらに季子の臣であった。冉求の行為は季子に対して「忠」とみえるが、魯君に対して「不忠」となる。そうであれば、結局季子への「不忠」にもつながる。

 「冉求」は孔門十哲の一人と言われる。字名は子有。「冉有」とも呼ばれる。孔子が晩年魯国に帰国した後、冉求は季子の臣となったといわれる。   

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(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)