「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

中東情勢で揺れた株式市場、進まない緊張緩和

 中東情勢の緊迫化で日経平均株価が急落しました。米国市場は被害が限定的との報道も伝わり、何とか持ちこたえたようです。

【日本市況】日経平均1000円安、中東緊迫化でリスクオフ-金利が低下 - Bloomberg

 週明け、株式市場はどう動くことになるのでしょうか。

 

 

 イスラエル、イラン双方とも今のところなんとか踏みとどまっているようです。報復の応酬は避けられそうなのでしょうか。双方がこれ以上のエスカレーションを望んていないことを信じてみたいです。

 しかし、なぜに報復の応酬のようなことになってしまうのでしょうか。国際社会が自制を求めるにもかかわらず。

ネタニヤフ首相が、政治生命を引き延ばすため強硬策で賭けに出るリスクはくすぶる。(出所:日本経済新聞

 ここでも「保身」が優先されているようです。世界のどの国においても、このタイプの政治家ばかりということでしょうか。対立するような行為を慎み、平穏無事な世界を希求して欲しいものです。対立し争うことより、気候変動のような重大な問題を世界が協力して解決に向け歩めるようになることを願わずにはいられません。

論語に学ぶ

与(とも)に学ぶ可(べ)きも、未だ与に道に適(ゆ)く可からず。与に道に適く可きも、未だ与に立つ可からず。与に立つ可きも、未だ与に権(はか)る可べからず、と。唐棣(とうてい)の華、偏(へん)として其れ反せり。豈(あに)爾(なんじ)を思わざらんや。室(しつ)是れ遠し、と。子曰わく、未だ之を思わざるか。何の遠きことか之有らん、と。(「子罕第九」30)

 いっしょに学問をすることはできても、同じ考え方をもち同じ道に進みうるとはかぎらない。同じ道を行くことはできても、同じような思想、信念を持ち、世に出ていくとは、かぎらない。いっしょに思想や信念を確立しても、特定の問題について適切な処置をせねばならぬ場合に、同じ判断をし同じ行動をなしうるとはかぎらない。

「唐棣の花は開いたが、花弁がたがいに背を向けている。あなたを想わないであろうか。たがいの家が遠いためだ」とある。「まだ本当に愛していないからだ。惚れて通れば千里も一里、というではないか」と孔子はいいました。

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「権なるものは経に反して義に合す。尤も知り難きなり」、孔子は俗謡を引いて、いかに遠くても愛はそれを近づけるという意味で、非合理的なものを含む権道もまた同じで、熱意をもって考えれば必ずしも難しいものとはかぎらない、といわんとしたのではないかといいます。

 

 

 権力を目指せば対立するのが常ということでもありそうです。しかし、それを乗り越えていくためには、熱意とか、愛が必要ということでもあるのでしょう。昨今の政治家に欠けている資質でしょうか。

 くしくも今年は選挙イヤーで世界各地で選挙となります。その影響はこの騒乱の遠因であったりするのでしょうか。いずれにせよ、権に恋い焦がれる人ではなく、人間性を重んじ、道徳、倫理を知る人格あるリーダーが誕生してもらいたいものです。

 それは総裁選を控える日本においても同じなのでしょう。しかし、始まった補選の選挙活動はかなり醜いものになっているようです。

 

 

「参考文書」

イスラエル、イランに再報復「明確に強力に」 危ういネタニヤフ首相の延命策 - 日本経済新聞

「傍観者であってはならない」ジャック・アタリ氏の警鐘とは? イラン 中国 ロシア トランプ氏への見方は? | NHK | WEB特集 | ウクライナ情勢

 

止まらない円安、下げる株価

 円安が続いています。これまでは円安の効果を是認したきたのでしょうが、さすがに度が過ぎればいつまでも許容することはできないということなのでしょう。産業界からも是正を求める声が出て、政府も口先介入に続き、G7やG20などの国際会議の場を利用して国際協調の枠組みによる円安阻止に活路を見出そうとしているようです。

国際協調でドル高円安に歯止めがかかるか:G7声明に為替の文言が盛り込まれる|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

 しかし、円安を是認するような政府施策が変わることはなく、円高に転じさせるような改革の原動力はなそうです。当面は為替介入があるかないかで注目されるのでしょうが、それも一時しのぎでしかなく、トレンドを変えるほどのものにもならないのでしょう。

 

 

 日本株も足元では3万8千円を切るなど急落して悲観的な見方がでそうです。しかし、一方でまだその魅力は失われておらず、一段高が期待できるとの意見もあるようです。

訂正(17日配信記事) 日本株、なお魅力的な投資対象 年初来の株高でも=市場関係者 | ロイター

それでもなお日本のコーポレート・ガバナンスの改善に支えられた収益やマクロ的なファンダメンタルズ(基礎的条件)が引き続き楽観的な見方を支援している。(出所:ロイター)

 何を為すべきかが割とはっきりしており、そのポテンシャルも読みやすいということのようです。マインドセットを新たにして改革を推進できるかにかかっていそうです。

終わりなき改革

 コーポレートガバナンス企業統治)の改革に終わりはなく、企業の継続的な努力が必要との認識を、東京証券取引所を傘下に持つJPX 日本取引所グループの山道CEOが示したそうです。

企業統治改革はエンドレス、情報開示の「質」向上必要-JPX山道氏 - Bloomberg

 JPXが企業に改革を促し、それが目に見える形となっての株価高との見方もあるのでしょう。今後は各社取締役会での議論の質が高まるなど実質的な改善内容に焦点が移ると、山道CEOはみているといいます。

 ここまでは大企業を中心して改革が進んできたといわれます。この先はそれ以外の企業においても改革が進むのかにかかっていそうです。大企業に比し株価がさえない新興企業の改革は待ったなしのようです。

 

 

論語に学ぶ

子 顔淵を謂う。曰わく、惜しいかな。吾 其の進むを見るも、未だ其の止むを見ざりき、と。(「子罕第九」21)

 孔子が弟子の顔淵ついて回想しました。惜しいことであった。彼の進歩、努力はいつも見ていたが、立ち止まること、怠惰を見ることがなかったと、孔子はいいました。

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 欲に走って迷いを生じさせては、白黒をつけよりしたり、結論を急いだりしてしまう。一見、効率的なことのように見えるが、実はかえって手間がかかったり、道を間違えたりで非効率に陥るの関の山なのかもしれない。ただひたすらに進歩を求め、学んでは熱心に取り組みさえすればいいはずなのになかなかそうできない。人間の弱さなのかもしれません。

 これまでなかなか経済が上向かったのはこんなところに原因がありそうな気がします。

 今になって過去を振り返れば、うまくいかなかった理由を見つけることはできます。あの頃も必死だった.... でも足らないものもあった、それだけのことなのかもしれません。向上心、進歩しようとするマインドがもっと強ければ、もっと早く改革、改善に着手できたのかもしれない。転換点といわれる今、何をやっているのかといえば結局、進歩を求めて改革を進めているのですから。

 政治改革が進みそうにありません。まるで進歩を拒んでいるかのようです。これがすべての元凶になっているような気もします。物事がしだいによりよいほうや望ましいほうへ進めていくことを「進歩」と呼ぶのですから。不要な対立をしている時ではないのでしょう。

 

投資詐欺広告、怒る著名人、不正を許すSNS事業者、放置される問題

 SNS上で前沢友作氏など著名人になりすました偽広告による投資詐欺被害が広がっています。この問題についてメタ社は声明を発表しましたが、これに前沢友作氏は強く反発しています。

“なりすまし詐欺広告”に対するMetaの声明に前澤友作さんら怒り心頭 「行政処分を出すべき」 - ITmedia NEWS

「日本政府はMeta社に対して、広告配信業務停止の行政処分を出すべき」と、強い不満をあらわにしたそうです。

 詐欺広告の根絶のためには「社会全体のアプローチ」が必要とするMeta社の主張も理解できないものではありませんが、まずは目先の問題をつぶす姿勢をみせる必要もありそうです。

 

 

 インターネットにSNS、その便利なツールが悪用されるケースは増え、それによって生じる不利益や被害も拡大しているようです。問題は放置され、対応は遅れるばかりです。

情報流出のLINEヤフーに指導 2度目、再発防止策不十分と判断 | 共同通信

 マスコミにおいても、倫理に関わる問題が露見しました。小林製薬の紅麹問題を巡って、読売新聞大阪本社社会部主任が、談話を捏造していたことが分かったそうです。

読売新聞記者が談話捏造 紅麹関連記事巡り:時事ドットコム

 不祥事や不正が後を絶ちません。なぜ倫理や道徳が軽んじられるになったのでしょうか。

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子張(しちょう) 徳を崇(たか)くし惑いを弁(わか)つを問う。子曰わく、忠信を主とし、義に徒(うつ)るは、徳を崇くするなり。之を愛しては其の生を欲し、これを悪んでは其の死を欲す。既に其の生を欲して、又た其の死を欲するは、是れ惑いなり。(「顔淵第十二」10)

 弟子の子張が人格を高め、迷いをどう分別すべきかと質問しました。孔子は「まごころを尽くすこと(忠)、言ったことは必ず守ること(信)、正しさをもとめてそれを行うこと(義)、そのようにすれば人格を高めることができる。また、ある人を愛すると、その人が長生きできるようにと願う。ところが、その人を憎むとなれば、早く死ねばいいのにと願う。前には生きてと、今は死ねと、ころころ変わる。これが惑いというものだ」といいました。

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 人格を磨かず、徳を高めることもなく、迷っては過ちを犯すのが人なのでしょう。

 超情報化社会となり、清濁併せ様々な情報が飛び交います。それらを鵜呑みすることなく正しく判断することが求められます。美徳、美意識を育まなければ、それらに流されてしまうのでしょう。そうして知らず知らずのうちに悪に手を染めることになったりしそうです。

 

 

 政治も相変わらずです。裏金事件が尾を引き、政治改革の議論が永遠と続いています。自民党は骨抜きにするかのようなことをいい始めます。ズルする奴が得することを許すようなものです。当然、野党は反発します。問題解決は進まず、時間ばかりが費やされ、やるべきことがどんどん後回しになっていきます。時間をかけ議論すべきことも議論されずに多数決で決するという乱暴なことも増え、政治が粗雑になっています。 

共同親権」の衆議院における法案採決にあたって 自民党の野田元少子化担当相が反対したといいます。

共同親権、自民・野田聖子氏が反対:時事ドットコム

「子どものための法案だったのが、政党間のけんかみたいになっていて、賛成しかねるという思いに駆られた」と説明し、また、法案については「党全体としての議論をほとんどやっていない状態だ。中身が周知されていない」と指摘したともいいます。

 政治が仕事をしていないようです。これでは社会が良くなるはずもありません。まして、より良くしていこうとの雰囲気が醸成されることもなさそうです。

 政治においても、倫理や道徳の意義が問われているのでしょう。

 

「参考文書」

Meta、「著名人なりすまし詐欺広告」で声明--根絶には「社会全体のアプローチが重要」 - CNET Japan

前沢友作氏らになりすまし投資詐欺広告、メタに2300万円の賠償提訴へ…「被害予見できた」 : 読売新聞

伊藤忠、双日が一斉退会!日本風力発電協会の窮地 「洋上風力」の推進役が空中分解のおそれも | 特集 | 東洋経済オンライン

 

止まらない円安、いびつな国際収支、デジタル赤字とOpenAIの日本進出

 円安が一体どこまで進むことになるのでしょうか。予測されていた155円に肉薄しています。早くも市場関係者の中からは160円、170円という声も聞かれるようになってきたようです。海外勢にすれば、どこまで進もうがお構いなしなのかもしれません。

1ドル=160円に備える為替トレーダー、介入リスクお構いなし - Bloomberg

 神田財務官が、「あらゆる事態に常日頃から備えている」と述べ、当局が危機感を持って為替相場を監視していると市場に警告していましたが、単なる口先介入と受け止められてしまっているのでしょうか。

 行き過ぎれば、経済への影響は大きく、暮らしにも甚大なものとなりそうですが、政府には動けない事情もありそうです。

 

 

 こうした事態に危機感を強めたのでしょうか、神田財務官が財務省内に国際収支に関する私的な懇談会を立ち上げ、「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」を議論するようです。

貿易から投資、稼ぐ構造変化の処方箋議論へ勉強会立ち上げ-政府 - Bloomberg

近年の貿易収支は赤字基調で「サービス収支ではデジタル分野や研究開発関連といった先進分野で赤字が拡大」するなど、国際収支から見える日本の課題に言及。これを放置すれば「将来大変なことになるという危機感が共有化される中、それぞれの分野においての問題や解決策を幅広く議論する」。(出所:ブルームバーグ

  昨今ではインバウンド消費の回復で外貨を稼げますが、一方で、デジタル分野は競争力が弱く、デジタル化が進むほど赤字が積み上がりサービス収支が赤字になる構図となっているそうです。

 日本経済の構造が変化している中、制約要因を洗い出し、成長機会を見いだす狙いがあるようです。過度な円安の流れから抜け出るきっかけを作って欲しいものです。この懇談会には学者や名だたるエコノミストが参加しているようです。

 

 

 そんな中、東京オフィスを開設したOpen AIが本格的にに事業を始めたといいます。日本語に最適化したGPT-4ベースのカスタムモデルを企業向けなどに提供するそうです。

OpenAIの「GPT-4」、日本語最適化で処理速度3倍 国産AIの脅威に - 日本経済新聞

 日本語の処理能力は前モデル比で最大3倍速くなるといいます。国産AIの日本勢にとっては手ごわい競合相手となるといいます。日本語による使い勝手の向上に取り組む企業と今後連携を図る可能性もあるようです。

 この他にも、日本政府が進める生成AIの開発や活用にあたってのルールづくりについて、事業者の立場から協力していく考えを示し、日本拠点にロビイングの機能を持たせる予定だといいます。既に日本の政策担当者とも対話を始めているようです。今後の行方が気になります。

論語に学ぶ

子張(しちょう) 明(めい)を問う。子曰わく、浸潤(しんじゅん)の譖(しん)、膚受(ふじゅ)の愬(そ)、行なわれざる、明と謂う可きのみ。浸潤の譖、膚受の愬、行なわれざる、遠と謂う可きのみ、と。(「顔淵第十二」6)

 子張が明とは何でしょうかと質問しました。孔子は「水がしみこむように伝える非難、皮膚に感じられるように伝える訴えがあっても、その嘘を見破る。それを明ということができる。同じくその嘘を退ける。それを遠識ということができるといいました。

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 数多くの日本企業が生成AIに関わるようになっています。NTT、NECKDDIに、ソフトバンク楽天など、これらが競合になるのでしょうか。サイバーエージェントなども独自に開発しています。それ以外の新興勢の飛躍があってもいいのかもしれません。

 さて、この競争はどんな結末を迎えることになるのでしょうか。誰が勝ち残ることになるのでしょうか。いずれにせよ、「デジタル赤字」が圧縮され、円安抑止につながり、また日本がデジタル後進国から抜け出る確かなものにして欲しいものです。各社に優れた見識、そして戦略が求められていそうです。

 

 

「参考文書」

1ドル155円が視野に:当局はG20を控えて為替介入を見合わせているか|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

パウエルFRB議長、利下げ開始の先延ばし示唆-インフレ根強く - Bloomberg

経済産業省・財務省の珍しき共鳴 国際収支に危機感 牛込俊介 - 日本経済新聞

生成AIのChatGPTを開発した米OpenAI 東京に新拠点を設立 日本での事業強化方針 | NHK | 生成AI・人工知能

止まらない円安、拡大する賃金格差、進む日本離れ

 互いに理解、信じあうことができれば対立なぞ消滅するはずなのに、何かが邪魔しては人は衝突する。それぞれが取った行動を正当化し、それが成功した認識するという微妙なところで、今のところ最悪は避けることできているそうです。

中東戦争の回避、外交努力の焦点に-イランとイスラエル直接対決受け - Bloomberg

 世界には善も悪もなく、あるのは思い込みだけ。それが度を超え極端になると衝突し、無慈悲な結末を迎え、後悔することになるのでしょうか。これ以上中東情勢が悪化していないことを願うばかりです。

 

 

論語に学ぶ

司馬牛(しばぎゅう)、憂えて曰わく、人皆兄弟あり、我独(ひと)り亡し、と。商 之を聞けり。死生(しせい)は命(めい)有り、富貴(ふうき)は天に在り、と。君子敬して失うこと無く、人と恭々(うやうや)しくして礼有らば、四海の内、皆兄弟為(た)り。君子何ぞ兄弟無きを患(うれ)えん、と。(「顔淵第十二」5)

 弟子の司馬牛が落ち込んで、「世の中の人には、みな兄弟がいるのに、私にはいない」といいました。子夏が「私はこう学んだ。死ぬも生きるもすべて運命であり、財産も地位も天命のままだ。君子 教養人たる者、自重して失礼がなく、他者に対しては謙遜して礼を重んじているならば、世の中の人々がみな自分の兄弟のようなものになる。実の兄弟がないからといって、どうして落ち込むのだ」と慰めました。

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 無慈悲な結末にも抗わず、運命として受け入れるしかない。しかし、立場の違いを知って、それを尊重し合うようになれば、衝突も対立もなくなる。そこにはもう善も悪もない。謙遜、尊重、美徳を追求し人格を高めた君子になって、それもかなうということなのでしょうか。

 

 

絶望や無力感に苛まれてしまうような今の時代だからこそ、美しいものは慰めとして、切に求められているのかもしれない。美しさに触れる湯治のような時間を持つことで、ふたたび現実を生きていくだけの力を得られることだってあるだろう。(引用:『小さな声の向こうに』 はじめに 全文公開 塩谷舞)

差別、戦争、虐殺──人の心を失った者たちの愚行は止むこともなく、平和への願いは今日も虚しく踏みつけられている。この国の中でも権力者たちによる理不尽は大きな顔で横行し、SNSでは極論と極論が泥を撒き散らしながらぶつかり合っている。私たちがいま生きている現実は、そういう薄汚い場所だ。(引用:『小さな声の向こうに』 はじめに 全文公開 塩谷舞)

 

 

日本離れ

 若者たちの日本離れが進んでいるそうです。生活の場を海外に移す人は増え、23年の海外永住者は57万人と統計開始以降で最多となっているといいます。

高賃金求め海外へ出稼ぎ、「ワーホリ」人気が示す若手人材の日本離れ - Bloomberg

 海外との賃金格差が拡大しています。今では2倍以上の開きがある国がざらだといいます。円安がさらに進行すればますます拡大していくことになりそうです。「日本がより早く成長できる環境にならないと、若者にとって魅力が戻らないかもしれない」と専門家が警鐘を鳴らしています。

これだけのことがあったのだから、何か変わるだろうと思ったが、変わらない。むしろ社会全体はひどくなっていく。どんどん悪くなるのに、そこに目をつぶっていこうとする風潮が高まっている。(出所:日本経済新聞

進む円安

 国際情勢が変われば、そのゆがみがどこにあらわれるものです。思惑で商品価格は動き、人々は警戒して原油価格や為替を見つめます。

 円安がさらに進み、いとも簡単に154円を突破しました。米経済の好調さを示すデータが示され、米国の長期金利上昇で売り圧力が高まったためといいます。

円が対ドルで約34年ぶり154円台に下落、米長期金利上昇で売り圧力 - Bloomberg

 円売り圧力が強いようです。中東情勢が緊迫化し原油価格が高騰することになれば、日本の貿易収支が悪化、さらに円安になることもありそうだといいます。

 この流れが変わることはあるのでしょうか。

 

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「参考文書」

濱口監督『悪は存在しない』が示す善の可能性 『ドライブ・マイ・カー』に続く超期待作 | 社会に斬り込む骨太シネマ | 東洋経済オンライン

「悪は存在しない」の濱口竜介監督 社会の不穏さに反応 - 日本経済新聞

日米給与格差が信じられないほどに開いてしまった、特に専門分野では (現代ビジネス)

『小さな声の向こうに』 はじめに 全文公開|塩谷舞(mai shiotani)

 

混沌とする中東、原油高騰、物価上昇の危機、機能しない政治

 イランがイスラエルに対し報復行動に出たことで、中東情勢が混沌としていくことになるのでしょうか。

 G7先進7カ国がイランの行動に対して「最も強い言葉で非難する」との首脳声明を発表し、イスラエルへの「全面的な連帯と支持」を表明しました。イランに対しては「さらなる措置を講じる用意がある」と警告したといいます。

G7首脳、イラン制裁検討 革命防衛隊を「テロ組織」提案 | 共同通信

 国際情勢も様変わりしているとつくづく感じます。米国をはじめとするG7が弱体化しているのかもしれませんが、それよりは他の国が大幅に力をつけその差が縮まり、これまでの枠組みでは制御できなくなってきたようにも見えます。

 

 

 追われる側が結束を強化し、威勢を見せつけようとしても限界がありそうです。G7という枠組み自体がもう時代遅れの古めかしい陳腐なものになったのかもしれません。

 多様なる世界を認めつつ、世界平和を成立させていく叡智が求められているのでしょう。しかしもう少し痛みを経験してからではないと世界を変えていこうとするチエは生まれないのでしょうか。

原油価格、物価上昇リスク

 とりあえず原油価格は様子見になったようですが、ホルムズ海峡の原油輸送網が混乱するとの見方から上昇基調にある相場がさらに上振れする可能性があるそうです。

原油相場に上昇観測、イランとイスラエルの対立激化でリスク見直し - Bloomberg

 欧米先進国では、沈静化してきたインフレが再燃するリスクがあるともいいます。色々事情もあるのでしょうが、もめごとを作って対立を深め、国民生活にしわ寄せを生じさせるようでは割に合わないと感じます。どうにかできないのでしょうか。

論語に学ぶ

子貢(しこう)、政を問う。子曰わく、食を足らし、兵を足らし、民 之を信ず、と。子貢曰わく、必ず已(や)むを得ずして去らば、斯(こ)の三者に於いて、何をか先きにせん、と。曰わく、兵を去らん、と。子貢曰わく、必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於いて、何をか先きにせん、と。曰わく、食を去らん。古(いにしえ)自(よ)り皆死有り。民 信ずる無くんば立たず、と。(「顔淵第十二」7)

 子貢が政治を問いました。孔子は「民の生活の安定、十分な軍備、そして政権への信頼である」と答えます。すると子貢は「三者のうち、どうしても棄てなければならないとしましたならば、まずどれでしょうか」と問い、孔子は「軍備だ」と答えました。子貢はさらに「では残った二者のうち、どうしても棄てなければならないときは、どれでしょうか」と質問します。孔子は「生活だ。古来、人間はいつか必ず死ぬ。もし政治の信頼がなければ、国家も人も立ち行かないのだ」と教えました。

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 孔子の言葉が虚しく響きます。優先順位を違え、ただ混乱させるのが現代政治のようです。特に日本においてはそれが顕著になっているようです。

 

 

 政治改革を進めなければならないのでしょう。それに加えて国の抜本的な構造改革も急がれていそうです。方向転換が求められる中、遅々たる動きであれば、激動の世界から取り残され、ますます国民生活が苦しくなっていきそうです。

<社説>週のはじめに考える アベノミクスの片付け方:東京新聞 TOKYO Web

 後半国会が始まり、政治資金規正法の強化など政治改革が最大の焦点となるそうです。

 しかし、自民党は相変わらず後ろ向きのようで、企業・団体献金の禁止や「政策活動費」の廃止などについて、「政治活動に支障が出かねない」など慎重姿勢を崩していないといいます。

 相変わらず意識改革しようとの意志がないようです。改革を進める気はあるのでしょうか。その意識を変えることが求められているのです。

 もしかして「長期の安定」をいまだに標榜しているのでしょうか。これこそが遅滞など諸悪の根源なっているように思えてなりません。

「失われた30年」「新陳代謝がなく停滞する日本」に、ようやく変化の兆しが現われ、薄らぼんやりと灯りが見えてきました。しかし、変わるのに時間が掛け過ぎたということでもあるのでしょう。政治が、変化によって生じる痛みやダメージを極度に恐れ、ゆっくりと変化することを好んだ結果のような気がします。

 

「参考文書」

円安・原油高の物価シミュレーション:輸入インフレ・ショックからの経済の正常化を遅らせる要因に|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

イラン報復攻撃、原油高の懸念 輸送混乱、インフレ再燃も | 共同通信

日本経済に「失われた時代」なんかない!シリコンバレー顔負けの“舞の海戦略”企業を米教授が絶賛 | ビジネスを強くする教養 | ダイヤモンド・オンライン

 

なりします広告、蔓延する不法行為、著名人たちの訴え

 新NISAがスタートし投資ブームが到来したためでしょうか、SNS上になりすまし広告が蔓延するようになったようです。堀江貴文氏や前沢友作氏など著名人になりすまし、勉強会に招待したり、投資を呼びかけたりしているそうです。その被害額は昨年、277億9千万円に上り、警察庁ののSNS型投資詐欺の認知件数は2271件だったといいます。

前沢友作氏が米Metaを提訴へ Facebookでなりすまし投資の詐欺広告放置 自民に規制強化要請 - ITmedia NEWS

 堀江、前沢両氏はフェイスブックを運営する米メタの対応の鈍さを問題視、自民党デジタル社会推進本部などの合同勉強会に出席し、被害の実態を説明し、投資詐欺広告への規制強化を求めたそうです。

 前沢氏は米メタを提訴する考えを明らかにし、「プラットフォームへの規制は政府にしかできない。迅速にお願いしたい」と語ったといいます。

 

 

「被害が発生すると回復することが難しい」、なりすまし広告は現状、景品表示法などの法規制の対象にはならないとの見解を消費者庁が示しているといいます。詐欺被害防止のため、関係省庁と連携して注意喚起していくそうです。

 また、警察庁の担当者は詐欺罪などでの検挙について一概に答えるのは困難とし、犯罪の事実が確認されれば、積極的に摘発する考えを示しているといいます。

 明らかな不法行為に思われますが、法に抜け穴があるということなのでしょうか。進む様々なデジタル化に規制が追い付かないようにも見えます。それとも脱法行為を繰り返す自民党はこうしたことに寛容なのでしょうか。国民保護には関心がないといわれそうです。

 社会をより良いものにしたい、そう思って働きかけようにも、自民党に陳情するしかないという現実は虚し過ぎます。無理なことなのかもしれませんが、両氏が野党も巻き込んでくれれば違う展開もありそうな気もします。

論語に学ぶ

季康子(きこうし)、政を孔子に問いて曰わく、如(も)し無道を殺して、以て有道を就(な)さば、何如、と。孔子対(こた)て曰わく、子 政を為すに、焉(いずく)んぞ殺(さつ)を用いん。子 善を欲すれば、民 善なり。君子の徳は風なり、小人の徳は草なり。草 之に風を上(くわ)うれば、必らず偃(ふ)す、と。(「顔淵第十二」19)

 季康子が政治について孔子に「もし無道な連中は殺してしまって、世の中の正しい規律を完成するというのは、どうだろうか」と質問しました。孔子は「為政者であなたが、どうして殺すなどいたしますのか。あなたが善を欲すれば、人々も同じく善を求めるようになります。君子の品位は風のようなもの、小人の品位は草のようなものです。草は風が吹きますれば、草は必ず靡(なび)いて仆(たお)れます」といいました。

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 法規制を司り社会に大きな影響を及ぼす政治家たちが、真に国民保護を願い、社会をより良きものにしようと率先していかなければならないはずなのに、そうではなく、自らの利益を優先して法の抜け道を作ることに余念がなく、それを正々堂々と実践するのですから、みなもそれでいいのだとなってしまうのでしょう。これでは社会が良くなることはなそうです。しかし、自民党議員たちはなぜこうも頑固者ばかりなのでしょうか。

 

 

 世の中が変わっていく現実を受け入れて、それに合わせ変化、アップデートさえすればいいだけなのに、そうしようとする動きを阻止し、それがあたかも悪のように一方的に決めつけるのが問題のように思えてなりません。それが社会の停滞の原因なのでしょう。批判を歓迎し、激しくやり合うこともあるのかもしれませんが、対話しその中から最善を探求するのが問題解決の近道なのですから。

 しかし、そう簡単にできないのも現実なのでしょうか。イランがイスラエルに報復を始めたようです。

イスラエルへ向かうイラン無人機撃墜、米とヨルダン 英も戦闘機発進 | ロイター

 どうすれば事態の悪化は避けられるようになるのでしょうか。

 

「参考文書」

米メタは「なめている」 堀江氏と前沢氏、なりすまし広告減らず怒り:朝日新聞デジタル

“なりすまし偽広告” 詐欺被害など未然防止へ省庁連携を | NHK | デジタルでだまされない