「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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止まらない円安、いびつな国際収支、デジタル赤字とOpenAIの日本進出

 円安が一体どこまで進むことになるのでしょうか。予測されていた155円に肉薄しています。早くも市場関係者の中からは160円、170円という声も聞かれるようになってきたようです。海外勢にすれば、どこまで進もうがお構いなしなのかもしれません。

1ドル=160円に備える為替トレーダー、介入リスクお構いなし - Bloomberg

 神田財務官が、「あらゆる事態に常日頃から備えている」と述べ、当局が危機感を持って為替相場を監視していると市場に警告していましたが、単なる口先介入と受け止められてしまっているのでしょうか。

 行き過ぎれば、経済への影響は大きく、暮らしにも甚大なものとなりそうですが、政府には動けない事情もありそうです。

 

 

 こうした事態に危機感を強めたのでしょうか、神田財務官が財務省内に国際収支に関する私的な懇談会を立ち上げ、「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」を議論するようです。

貿易から投資、稼ぐ構造変化の処方箋議論へ勉強会立ち上げ-政府 - Bloomberg

近年の貿易収支は赤字基調で「サービス収支ではデジタル分野や研究開発関連といった先進分野で赤字が拡大」するなど、国際収支から見える日本の課題に言及。これを放置すれば「将来大変なことになるという危機感が共有化される中、それぞれの分野においての問題や解決策を幅広く議論する」。(出所:ブルームバーグ

  昨今ではインバウンド消費の回復で外貨を稼げますが、一方で、デジタル分野は競争力が弱く、デジタル化が進むほど赤字が積み上がりサービス収支が赤字になる構図となっているそうです。

 日本経済の構造が変化している中、制約要因を洗い出し、成長機会を見いだす狙いがあるようです。過度な円安の流れから抜け出るきっかけを作って欲しいものです。この懇談会には学者や名だたるエコノミストが参加しているようです。

 

 

 そんな中、東京オフィスを開設したOpen AIが本格的にに事業を始めたといいます。日本語に最適化したGPT-4ベースのカスタムモデルを企業向けなどに提供するそうです。

OpenAIの「GPT-4」、日本語最適化で処理速度3倍 国産AIの脅威に - 日本経済新聞

 日本語の処理能力は前モデル比で最大3倍速くなるといいます。国産AIの日本勢にとっては手ごわい競合相手となるといいます。日本語による使い勝手の向上に取り組む企業と今後連携を図る可能性もあるようです。

 この他にも、日本政府が進める生成AIの開発や活用にあたってのルールづくりについて、事業者の立場から協力していく考えを示し、日本拠点にロビイングの機能を持たせる予定だといいます。既に日本の政策担当者とも対話を始めているようです。今後の行方が気になります。

論語に学ぶ

子張(しちょう) 明(めい)を問う。子曰わく、浸潤(しんじゅん)の譖(しん)、膚受(ふじゅ)の愬(そ)、行なわれざる、明と謂う可きのみ。浸潤の譖、膚受の愬、行なわれざる、遠と謂う可きのみ、と。(「顔淵第十二」6)

 子張が明とは何でしょうかと質問しました。孔子は「水がしみこむように伝える非難、皮膚に感じられるように伝える訴えがあっても、その嘘を見破る。それを明ということができる。同じくその嘘を退ける。それを遠識ということができるといいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

 数多くの日本企業が生成AIに関わるようになっています。NTT、NECKDDIに、ソフトバンク楽天など、これらが競合になるのでしょうか。サイバーエージェントなども独自に開発しています。それ以外の新興勢の飛躍があってもいいのかもしれません。

 さて、この競争はどんな結末を迎えることになるのでしょうか。誰が勝ち残ることになるのでしょうか。いずれにせよ、「デジタル赤字」が圧縮され、円安抑止につながり、また日本がデジタル後進国から抜け出る確かなものにして欲しいものです。各社に優れた見識、そして戦略が求められていそうです。

 

 

「参考文書」

1ドル155円が視野に:当局はG20を控えて為替介入を見合わせているか|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

パウエルFRB議長、利下げ開始の先延ばし示唆-インフレ根強く - Bloomberg

経済産業省・財務省の珍しき共鳴 国際収支に危機感 牛込俊介 - 日本経済新聞

生成AIのChatGPTを開発した米OpenAI 東京に新拠点を設立 日本での事業強化方針 | NHK | 生成AI・人工知能