ChatGPTの登場で生成AIに火がつき、一気に普及が進みました。グーグル「Bard(バード)」など、それ以外の各社もより優れたシステムを開発・導入し始めています。今後10年にわたりブームが続き、生成AI市場は2032年までに売上高ベースで1兆3000億ドル(約180兆円)規模に大きく成長する見通しといいます。
ChatGPTがけん引、生成AI市場は10年以内に180兆円に拡大へ-BI - Bloomberg
生成AI市場は10年間に42%のペースで拡大し、まずAIシステムの訓練に必要なインフラの需要、その次にAIモデルや広告などのサービスを利用する後続デバイスの需要がけん引する可能性がある。(出所:ブルームバーグ)
その一方で、オープンAIのアルトマンCEOなどが、米非営利団体の AI安全センタ―を通じて、AIが人類滅亡を招く恐れがあると警告したといいます。
人工知能(AI)がもたらす絶滅のリスクを低減することは、パンデミックや核戦争などの社会規模のリスクと並んで、世界的な優先事項であるべきだ。(出所:Forbes)
AIの潜在的な害に対する懸念が高まり、その危険性に注意を促す声が高まっているといいます。
AIで人類「絶滅」の恐れ、テック業界リーダーらが警告 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
AIによる絶滅リスクを低減するには、核戦争のリスク低減と同様のグローバルな行動が必要になると指摘し、核に対して取られているのと同等レベルの努力と調整を行わなければ、将来的なAIのリスクに適切に対処できないとしているそうです。
AI業界と世界中の政府が、将来AIによって人類の生存が脅かされるリスクに真剣に向き合うことが肝要だと訴えている。(出所:Forbes)
現実、間違った情報の拡散などの問題が生じ、この対処も求められるようになっています。そればかりでなく、教育への影響も危惧する声もあります。
ChatGPT活用で増殖する「間違った主張を堂々とする素人」:日経ビジネス電子版
「生成・対話型AIが、これからの子どもや大人の学びにどのような影響を及ぼすのか」、「無防備に活用すれば、人間の知性の本質に大きなダメージを与えかねない」と、慶応義塾大学の今井教授は警鐘を鳴らしているといいます。
教育課程にある子どもたちが、このChatGPTの大きな流れに無防備に乗ってしまうことには、強い危機感を抱いています。今、このタイミングで「学びとは何か」を考え、学びのあり方を本質的に変えなければ、人間にとって何よりも大事な直観力や想像力、創造性がAIによって奪われてしまいかねません。(出所:日経ビジネス)
また、個人情報の保護や著作権などをめぐる様々な問題も生じ、倫理的な使用の必要性も説かれ、日本政府もオープンAIに対し、個人情報の取得方法に懸念があるとして、注意喚起したといいます。
しかし、警鐘を鳴らしたり、事後対応するだけでは、テクノロジーの進化スピードに追従できていないようにも見えます。
何かを変えなければ、またテクノロジー企業によって作られるルールにみなが従わざるを得なくなるということのでしょう。同じことの繰り返しです。
論語に学ぶ
日々に其の亡き所を知り、月々に其の能(よ)くする所を忘るる無くんば、学を好むと謂(い)うべきのみ。(「子張第十九」5)
日々、新しいこと、まだ知らないことを知り、月々にその復習を怠らなければ、学を好むということができると意味します。
こうした「学び」「学習」の態度がより求められるようになっていそうです。
急速に進化、進歩していくテクノロジーに、教育機関や政府がどこまで適合していけるのか、それが問われているようにも思います。
「参考文書」
チャットGPT、政府が注意喚起 個人情報の取得方法に懸念 | 共同通信