「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【日々に其の亡き所を知り、月々に其の能くする所を忘るる無くんば、学を好むと謂うべきのみ】 Vol.482

 

子夏(しか)曰わく、日々に其の亡き所を知り、月々に其の能(よ)くする所を忘るる無くんば、学を好むと謂(い)うべきのみ。(「子張第十九」5)

 

(解説)

子夏の言葉。「日々に新しいことを知り、月々に復習を怠らないようにするのであれば、学を好むということができる論語 加地伸行)  

 

 学校で学ぶような読みよりも、そのままに読んだ方が良くなかろうか。

 自分の弱点や欠点を知り、それを正していく、それこそが学びであり、その態度を身につけ習慣にしていく。そうすることで、新しい発見があり、新しい自分との出会いが生まれ、それが喜びになっていく。

 

 

  

 子夏は「学而第一」7で、「賢を賢として色に易(か)え、父母に事(つか)えて能(よ)くその力を竭(つ)くし、君に事えて能く其の身を致し、朋友と交わるに、言いて信有らば、未だ学ばずと曰うと雖(いえど)も、吾れは必ず之れを学びたりと謂わん」という。

「賢者を尊敬し、父母に孝行で、君主によく事え、朋友に信があれば、正規の学問がなくても学問をした人間として評価したい」との意味し、個々の徳目よりも、むしろ、本を読んで正式の学問をしていなくても、実践的に立派であれば学問をしたといってよいと桑原は解説する。

 専門知識ばかりの勉強ではなく、徳を身につける学習も必要であるとも解釈できそうだ。

 

 「子夏」、姓は卜(ぼく)、名は商。孔子より44歳若く、孔子学団の年少グループ中の有力者。文学にすぐれた、つまり最高の文献学者だったという。孔子晩年の弟子。孔門十哲の一人。後に魏の文侯に招かれ、その師となる。 

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 孔子が外出しようとしたとき、雨が降ったが、傘がなかった。弟子が「子夏がもっていますよ」というと、孔子は「あれはケチだからなあ」と答えたという。続けて「人の長所を言い、短所を忘れることによって、長くつきあいができるのだ」と言ったと、加地は「孔子家語」の一節を紹介する。

 

 

 

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

  • 作者:加地 伸行
  • 発売日: 2009/09/10
  • メディア: 文庫
 
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫