「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【君子敬して失うこと無く、人と恭々しくして礼有らば、四海の内、皆兄弟為り】 Vol.286

 

司馬牛(しばぎゅう)、憂えて曰わく、人皆兄弟あり、我独(ひと)り亡し、と。商 之を聞けり。死生(しせい)は命(めい)有り、富貴(ふうき)は天に在り、と。君子敬して失うこと無く、人と恭々(うやうや)しくして礼有らば、四海の内、皆兄弟為(た)り。君子何ぞ兄弟無きを患(うれ)えん、と。(「顔淵第十二」5)

 

  (解説)

司馬牛落ち込んで言った、「世の中の人には、みな兄弟がいるのに、私にはいない」と。子夏がこう慰めた。「私はこう学んだ。死ぬも生きるも、運命があり、財産も地位も天命のままだ、と。君子 教養人たる者、自重して失礼がなく、他者に対しては謙遜して礼儀を重んじているならば、世の中の人々がみな自分の兄弟のようなものになる。実の兄弟がないからといって、どうして落ち込むのだ」と。論語 加地伸行

 

「司馬牛」、姓は司馬、名は耕、字名が子牛。孔子の弟子の一人。宋国の人で、実兄の司馬桓魋(向魋:しょうたい)が、主君を殺そうと謀叛を企てたとき、長兄の向巣(しょうそう)とともに桓魋を攻めた。しかし、戦いに敗れて、斉国、呉国に亡命し、その後、魯国に来たといわれる。

 

桓魋は「述而第七」22に登場し、孔子も殺害しようとした。

 

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「子夏」、姓は卜(ぼく)、名は商。字名が子夏。孔子より44歳若く、孔子学団の年少グループ中の有力者。文学にすぐれた、つまり最高の文献学者だったという。孔子晩年の弟子。

孔子が外出しようとしたとき、雨が降ったが、傘がなかった。弟子が「子夏がもっていますよ」というと、孔子は「あれはケチだからなあ」と答えたという。続けて「人の長所を言い、短所を忘れることによって、長くつきあいができるのだ」と言ったと、加地は「孔子家語」の一節を紹介する。 

 

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(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 
論語 (ちくま文庫)

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  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫