「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

そのリーダーシップは正しいのか、功績作り、G7広島サミットの準備に奔走

 

 人はなぜこうも憎しみあったり、いがみ合うのかと思う今日のこの頃です。G7広島サミットが直前に迫り、政府関係者の動きが慌ただしくなり、それを伝えるニュースが頻繁に報道されているからでしょうか。

 あたり前だったはず平和を守ろうとそれに向けて着実に歩みを進めていることが実感できればよいのでしょうが、どうにもそう思えないから心配になったり、不安になります。

 首相がサミットを前に、会場を視察したといいます。

平和記念公園でG7首脳出迎え 岸田首相表明「被爆の実相伝える」―広島サミット会場を視察:時事ドットコム

G7首脳が原爆資料館を訪れる方向で調整している。首相は「広島と長崎に原爆が投下されてから77年間、原爆・核兵器が使用されていない歴史をないがしろにすることは決して許されないとのメッセージを力強く世界に発信したい」と述べた。(出所:時事ドットコム

 原爆投下による惨劇を伝え、核兵器なき世界へとの理念には共感できます。しかし、どうにもそれを実現しようとするプロセスには納得感がありません。世界貢献も大変重要なことなのでしょうが、そのために国民が犠牲になるようであれば、歴史が繰り返されかねません。理念は正しいのかもしれませんが、どこかに間違いがありそうです。

 その戦略、計画、プロセスなのでしょうか。その文脈、ナラティブに共感できるものがないということなのでしょうか。また、その手法においても同じことがいえるのかもしれません。リーダーシップとしては正しいのかもしれないが、それを間違った方向に使ってしまっては納得できずに正しくないと言わざるを得なくなってしまいます。

 サミットの場で、ロシアを非難し、中国の「経済的威圧」に対する懸念を表明することは共同声明としてはまとまるのかもしれませんが、それでは意外性もなく、納得感もありません。いつものように反発されて終わってしまうのであれば、今と何も変わることはなく、ただ国民負担が増加するばかりの現実が残りそうです。

論語に学ぶ

鄙夫(ひふ)は与(とも)に君に事(つか)う可(べ)けんや。其の未だ之を得ざるに、之を得んことを患(うれ)え、既に之を得るや、之を失わんことを患う。苟(いやし)くも之を失わんことを患うれば、至らざる所無し。(「陽貨第十七」13)

 いやしい人と一緒に主君に仕えることが出来るであろうか。まだ下っ端のときに、出世できるかどうか心配し、地位を得ると、なんとかしてて失うまいと苦心する。失うまいとする限り、そのためにはどんなことでもすると意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 政権をとるためには何でもやり、地位を得ると国民に負担を求めることも厭わなくなる。力による現状変更には反対するが、それに力で対抗しようとする。国際会議の議長としての功績をまとめようとしますが、それで理念の実現に近づくことはあるのでしょうか。

 綺麗な文言で語ったところで、あまり共感できるストーリーではないような気がします。どちらかといえば、孔子がいうように個人の利得を考えるだけのいやしい人にますます見えてくるだけのように感じます。

 

「参考文書」

中国の「経済的威圧」に懸念、G7広島サミット共同声明案=関係者 | ロイター