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【G7広島サミット】続々と発出されるであろう成果、和平への希望、厳しい現実

 

 G7広島サミットが始まり、ニュース報道がそれ一色になっています。ウクライナのゼレンスキー大統領が来日、G7広島サミットに参加するそうです。さらに盛り上がりを見せることになるのでしょうか。

 早速、核軍縮に関する「広島ビジョン」を発出したといいます。ロシアによる核の脅しを非難し、中国の透明性や対話を欠いた核戦力増強に言及、それを念頭にして、核保有国に核戦力のデータ公表を要求しているといいます。また、世界経済をテーマにした討議では、「サミットのテーマは分断と対立ではなく、協調の国際社会実現に向けたG7の結束の確認と役割の強化」と首相は訴えたそうです。

 中身の是非はともかく、我が国政府の尽力を報道機関は熱心に報道するものなのでしょう。

 

 

 国際秩序の主導権争いにおいては、「グローバルサウス」の賛意が不可欠といわれています。今日のサミット会合ではその貢献について話合うようです。その代表格であるインドが会合に参加するといいます。

発言力増すグローバルサウス 中核インド、実利狙う―取り込み図るG7:時事ドットコム

 インドは、伝統的にロシアと友好関係を持ち、中ロを中核とする上海協力機構にも参加しています。また、G7が主導するロシア制裁にも同調していません。

「制裁強化は広島サミットの主要議題となるが、インドがG7と完全に足並みをそろえるとは考えにくい」と記事は指摘します。本日はどんな成果がまとまるのでしょうか。

非同盟、戦略的自律

「G7主導の対ロ制裁は途上国に悪影響を及ぼしている」と、インドの前の国家安全保障顧問であったシブシャンカル・メノン氏が語り、「解決には制裁ではなく交渉が必要」と訴えているそうです。

制裁ではなく交渉を インド前安保顧問インタビュー:時事ドットコム

途上国の債務危機に関しても大国間の対立が解決を妨げている。多国間主義は機能していない。途上国の声を代弁するのは当然だ。(出所:時事ドットコム

 冷戦期、インドは非同盟運動を主導していたといいます。同盟に参加すれば、いかなる問題でも同盟が行動を決めることになるとし、歴代政府が追求してきたのは、自ら能動的に決断する自由であり、「中立」ではなく「戦略的自律」だったといいます。

 

 

問題解決の唯一の方法は、当事者がテーブルを囲み利害を調整することだ。さらなる制裁や武器の供与、戦闘ではなく、交渉しかない。戦争はエネルギーや食料の価格高騰をもたらし、誰の役にも立たない。制裁により欧州や途上国も経済的代償を支払っている。基本は状況をどう打開できるかであって、どう悪化させるかではない。(出所:時事ドットコム

 説得力の言葉のようにも思います。

論語に学ぶ

道同じからざれば、相(あい)為に謀(はか)らず。(「衛霊公第十五」40)

 進む道が同じでないならば、たがいに心を割って話し合うことはしないと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 それぞれの国がそれぞれの思惑で動くのでしょうから、この難局に意見集約することは困難なことなのでしょう。それを乗り越えるため、有能な政府関係者が知恵を絞り、戦略を練って、美辞麗句で文言を作るのでしょう。しかし、それではたして政府の思いが実現に向かうことはあるのでしょうか。

G7広島サミット、岸田首相はなぜ8カ国を追加招待したのか - BBCニュース

 英BBCが、日本政府のサミットでの狙いを解説しています。どんな成果文書がまとまることになるのでしょうか。

 早く争いが終結し、対立が解消に向かって欲しいとの希望は持ちますが、やはり現実は厳しいそうです。

 

「参考文書」

G7サミット開幕 台湾海峡平和と安定で一致 「核軍縮広島ビジョン」発出 - 産経ニュース

「ロシアに無駄だと分からせる」イギリス スナク首相の決意とは? | NHK