G7広島サミットが始まりました。政府の入れ込み様が凄まじいように見えます。何としてでも世界のリーダーのポジションを確固としたものにしたいのでしょうか。
気候変動対策、半導体、AIなどにおいても、動きが活発化しているようです。
岸田文雄首相、半導体投資を要請 米台韓の大手幹部と会談 - 日本経済新聞
悪いことではないのでしょうが、野心ばかりが先走っては、思いとは別な結果を招くことはないでしょうか。
核兵器の廃絶と現実
首相が訴える「核兵器の廃絶」もサミットの場で議論されることになるのでしょうか。首相自身は「広島で平和へのコミットメントを示す。歴史に刻まれるものにしたい」と述べたそうです。
ただ、ロシアのウクライナ侵攻により、核抑止力の重要性を再認識することになったといわれています。
焦点:被爆者がG7で訴え続ける「核なき世界」の夢と現実 | ロイター
「核なき世界という理想と、核の傘の下にあるという現実が共存している」、「日本人は「核の傘」を容認せざるをえないと意識しつつある」と広島大学平和科学研究センターの川野徳幸センター長が述べています。「共存し続けているが、より現実的な見方へとバランスが壊れつつあるのかもしれない」とも語っているといいます。
記事によれば、バイデン米大統領は今回のサミット期間中に広島平和記念公園を訪れるが、核廃絶についての独自のメッセージを発することはないそうです。また、ドイツの政府高官は、核廃絶問題はG7において「もっぱら日本にとって重要なこと」であり、優先度の高い議題としては挙げなかったといい、別の欧州高官の1人は次のように語ったといいます。
最終目標は核兵器なき世界だ。しかし、我々がこれまで以上に抑止力に依存しているという認識のもとでは、ナイーブに今すぐ核を廃絶するというわけにはいかない。(出所:ロイター)
「非公開の会議では、核兵器を持たない日本や韓国などの同盟国を守る米国の「核の傘」を拡充する方策が議論される見通し」とブルームバーグは報じています。
「核兵器なき世界」求める岸田首相、広島サミットで厳しい現実に直面 - Bloomberg
一方、被爆者の一人はロイターの取材に「実際の変化がなければ、広島のG7は岸田首相のパフォーマンスだけを宣伝するような会議で終わってしまう」と語り、「それでは、なんのために広島でやるんだということになる」と話したといいます。
高貴な理念も厳しい現実の前にはかすむような気もします。ただ、異なるアプローチで、言葉を変えて表現すれば、目標へ向かうプロセスとなるのかもしれません。
論語に学ぶ
民は之に由(よ)ら使む可(べ)し。之を知ら使む可からず。(「泰伯第八」9)
「人々は政策に従わせねばならない、だが、なぜそうした施策をおこなうのか、その理由を知らせてはならない」と意味します。
政府が人と平和を大切にし、まちがいなく善政を施しているのなら、孔子の言葉にも間違いはないのでしょう。しかし、政策を理解させることはできないといって、発する言葉と現実が異なることがあってはならないはずです。
様々な報道がなされます。何がほんとうなのかはわかりません。ほんとうに平和が守られ、核兵器の廃絶に向かうことはあるのでしょうか。サミットが終わった後、どの方向に進むことになるのか気がかりになります。
「参考文書」
ジャニーズ性加害問題とTIME誌「軍事大国」騒動、実は同じ闇を抱えている理由 | 情報戦の裏側 | ダイヤモンド・オンライン