「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

Z世代の今どきの就活、壊れゆく古い秩序、台頭する新興勢力

 

 1990年代半ば以降生まれの「Z世代」が就活生の中心となり、その活動に異変が生じているようです。

「秩序が変わり、学生と企業の関係は対等になりつつある」

 この世代は多様性を重視し、社会課題の解決に取り組むことは当たり前という価値観を持っているといわれているそうです。企業を見る目も変わり、就活にも変化を生じさせているようです。

[新連載]Z世代の就活 選ぶのは学生「共感できる会社に入りたい」:日経ビジネス電子版

 記事によれば、「リクナビ」「マイナビ」などの就活サイトを使った一括大量採用では学生を引き寄せられなくなったといいます。

 大企業志向は薄れ、『ホワイト企業』を希望する学生もいれば、「激務でもスキルが身に付くなら問題ない」と考える学生もいるそうです。

 記事はその背景を説明しています。就活生のデータを不適切に扱った「リクナビ問題」が2019年におき、これがZ世代の離反を招いたといいます。企業ページの閲覧履歴などから就活生が内定を辞退する確率を推計し、本人に知らせないまま、それを企業に販売していたといいます。一方、サステナブルがトレンドとなり、多くの企業がそれを前面に出しマーケティングを展開したともいいます。

 

 

日本経済の「失われた30年」しか知らない若者たち。取材を重ねて浮かび上がったのは、「応援したいと思える会社に就職したい」といった彼らの行動原理だ。理想の就職を実現するため学生たちはどう動いているのだろうか。(出所:日経ビジネス

 そもそも、誰しも自分にとって好ましい企業で働きたいと思うものではないでしょうか。売り手市場であるなら、一層その傾向が強く現れそうな気がします。短絡的な企業側の思惑が通用しなくてなっているのかもしれません。

 インターネット上の情報で新しい価値観を身につけたデジタルネイティブ世代と古い秩序のままの世代のミスマッチのように見えます。古い秩序の押しつけが通用しなくなってきたということなのでしょう。

国際秩序もまた然り

 こうしたことは国際秩序においても同じなのかもしれません。

「グローバルサウス」と呼ばれる新興国や途上国の台頭し、国際社会の構造は大きく変容、G7の影響力が低下してきているといわれます。「リープフロッグ現象」がその後押しをしているのでしょうか。

「リープフロッグ」とは、新興国や途上国は最先端技術を導入することによって、既存技術で成長を遂げてきた先進国よりも、さらなる発展を遂げる可能性があるといいます。

 

 

「世界の構造は変わってしまった」と国際政治の専門家はいい、「G7だけで国際秩序の重要な価値やルールを決めることはもはやできない時代になっている」といいます。

影響力低下のG7、開催意義とは? 寛容な秩序観、日本の役割重要-細谷慶大教授に聞く【ニュース深掘り】:時事ドットコム

G7はかつてないほど国際社会の中でマイノリティーになっている。G7として結束を示して強いメッセージを送ったとしても、かつてのように国際社会の中核的多数を占めることができなくなっている。(出所:時事ドットコム

「グローバルサウスは客体として米国や中国に取り込まれつつあるのではなくて、主体として自らの意思価値観を持って行動している。われわれは、グローバルサウスが独自の価値観で行動していることを認識しないといけない」「この1年で国際秩序の見方は革命的に転換しつつある」と専門家はいいます。

 G7広島サミットを前に、議長国として日本が積極的に「法の支配」に基づく国際秩序像を発信しています。しかし、それも従来の民主主義を言葉を代えた表現でしかないとも言われます。

 ここ最近「それは西側諸国の価値観の押しつけ」と聞くようになりました。古い秩序をいつまでも押しつけるなとのメッセージなのでしょう。言葉を代えただけではあまり意味をなさないのでしょう。その背後にある動機を見透かされているのかもしれません。

論語に学ぶ

衆 之を悪(にく)むも、必ず察し、衆 之を好むも、必ず察せよ。(「衛霊公第十五」28)

 世の多くの人が悪く言うときも、よく言うときも、必ずその底まで察することだと意味します。「察する」とは、推測するとの意味の他。おもいやる、同情するとの意味もあります。

dsupplying.hatenadiary.jp

 邪心を抱いては真実を見ることはできず、また、そうした邪心は逆に、心有る人たちから容易に見透かされてしまうのでしょう。素直な心が求められているということではないでしょうか。そうあってはじめて共鳴が起こり、協調が生まれるのかもしれません。