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【国際秩序は保てるか】差別や同性婚で欧米から批判される日本、失言を繰り返す政府関係者

 

 国連の人権理事会が、日本の人権状況についての審査を行い、各国からの勧告を盛り込んだ報告書が採択したそうです。

国連の人権理事会 日本の人権状況を審査 死刑廃止などを勧告 | NHK | LGBTQ

報告書には、115の国と地域から表明された300の勧告が盛り込まれ、死刑制度の廃止や、国際的な基準に沿った独立した人権救済機関の設置を求める勧告が多く記載されました。(出所:NHK

 記事によれば、欧米諸国からは、性的マイノリティーへの差別の解消や、同性婚を合法化すること、政治や経済分野における女性の参加を促進することなどを求める勧告が盛り込まれたといいます。

 

 

失言、それとも本音

 そんな中、また政府関係者が失言し、その発言を撤回したそうです。

荒井総理大臣秘書官 同性婚「見るのも嫌だ」発言 撤回し謝罪 | NHK | LGBTQ

 荒井総理大臣秘書官が、記者団の取材で同性婚について「マイナスだ。秘書官もみんな反対している。僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいたらやっぱり嫌だ」と述べ、「もちろん人権や価値観は尊重するが、心の底では嫌だ。同性婚を認めたら、国を捨てる人が出てくる」と発言したそうです。

 その後、荒井秘書官は、「差別的なことを思っていると捉えられたとしたら撤回する」と発言を撤回したといいます。

 本音がぽろりというところでしょうか。その撤回理由を聞いてもそう思わざるを得ません。

 正しいことを発言しているのなら、撤回する必要もないのでしょう。自身が信じることが社会と乖離していることに気づくべきではないでしょうか。

秩序、それは力なのか

 国際秩序維持するためといって、欧米諸国と足並みを揃えようと防衛費を増額させる一方で、人権についての足並みはそろいません。これで国際秩序を保つことはできるのだろうか疑問に感じます。

 人権が秩序の根幹にならないのでしょうか。力によってのみ秩序を維持させようとすれば、対立する国と何ら変わりません。首相はそういう国にしたいのでしょうか。まったくもってこわい話です。

 

 

論語に学ぶ

季氏 閔子鶱(びんしけん)をして費の宰と為ら使(し)む。閔子鶱曰わく、善く我が為に辞せよ。如(も)し我を復(ふたた)びする者有らば、則ち吾は必ず汶上(ぶんじょう)に在(あ)らん、と。(「雍也第六」9)

 魯の国の実質支配者 季氏が、徳行の士として著名であった閔子鶱を採用して治めにくい費という地の長官にしようとして使いを出したところ、閔子鶱は季氏の不徳を知っていたので、使者にほどよくお断りしてほしい、もし再度招かれるようなことがあったなら、きっと私は国境の汶川のほとりに逃れて、外国へ亡命することになるでしょうといいました。

dsupplying.hatenadiary.jp

「類は友を呼ぶ」、国のリーダーが不徳であれば、徳を知る者は去り、その周りには不徳なものが集まってしまうことになるということでしょうか。

 

 

7人の首相に仕えた賢人

 首相官邸の名裏方 元内閣官房副長官の石原信雄氏が亡くなりました。自民党が下野するなどの混乱期にあって「政」と「官」の接点の役回りに徹し、7年余の長期にわたり、7人の首相の番頭役を務めた人だったといいます。

追悼 「官僚は政権の下僕になるな」 7人の総理を支えた元次官の警鐘 (3ページ目):日経ビジネス電子版

 存命時、石原氏は内閣人事局による人事運営について批判していたそうです。

内閣は公務員が萎縮しないように人事権を行使すべきです。内閣が権限を振り回すと、公務員は萎縮してしまいます。そんな職場で有益な政策が生まれるでしょうか。役人が身分的に保障されないと、良い人材は集まらない。結果的に、行政のレベルが下がってしまうと心配しています。役人の視野が狭くなるかもしれないし、官邸の顔色をうかがって仕事をしたほうが無難となれば国民にとってもよくはないですよね。(出所:日経ビジネス

 官僚出身の石原氏は、所管行政について人生をかけた仕事をしたいと思って職を選んでいる人もいるわけで、「時の政権は聞く耳を持たないといけません。官僚が政権の「下僕」になっているようじゃダメですね」と語っていたそうです。

 政治改革のときではないでしょうか。そうでないと、悪化に歯止めがかかることがないのかもしれません。

 

 

「参考文書」

政と官つないだ名裏方 掃海艇派遣に道―石原元副長官:時事ドットコム